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ぜったいに「愛」と言わない愛のはなし──ミュージカル刀剣乱舞 東京心覚(現場・配信・ライビュ)

ネタバレしかありません。だいぶ時間が経ったので、感想の時系列はごちゃごちゃ。筆者は五月雨江推しです。考察なし。

鑑賞情報

・2021年3月14日(日)@会場
・初日アーカイブ配信
・2021年5月23日(日)@ライビュ

会場

TOKYO DOME CITY HALL
1バル(2階)見切れ席。

・ステージは近い
・スクリーンが全く見えない
・舞台二階の中央部分がほぼ見えない

ドームシティホール、いつ以来だろう……? 18年のつはもの以来? あ、葵咲本紀の東京凱旋が青年館じゃなくてドームシティホールだったんですね(調べた)。だから、きしょほんの当日券チャレンジで観たのが最後で……2019年の10月ですね。か、過去だ……。

今回はもともと持ってたチケットの日時にどうしても行けなくなってしまって、泣く泣くチケトレに出して、一般販売に賭けたのだった。まさか、見切れでも土日公演が取れるとは思わなかった(これもコロナの影響だろうが)。
見切れ、「こんなに横から刀剣男士見たことある? ない」という気持ちになれるし、捌けるところが見える。あと、捌けた後に裏を通る足音が聞こえる……。いる……。なんなら元々のチケットよりも近かったかもしれない。それに、自分より前にいる人の頭の数は明らかに少ないので、視界は良好。
ただ、スクリーンが見えないのは閉口した。今回のは特にスクリーン見えた方が話がわかりそうな。

登場人物

大典太光世(雷太)
大典太だった!! 大きな身体を持て余すみたいな動き(うまく言えない)、上腕で血を拭う動き……。低い歌声。体幹がしっかりしている感じ。
ソハヤが名乗るのに続けて「その兄弟」! 良い!

ライビュ:首回す音、いい……。殺陣が、会場で見た時の、蔵から出したてみたいなぎこちなさが減ってなめらかになっていた気がする。ソハヤをからかう表情がよい。ライビュ後コメントでは画面に映るだけで笑いが起きる(私があんまり家の外に出ないから、他者の笑い声を聞くのが本当に久しぶりで感動するなどした)

ソハヤノツルキ(中尾暢樹)
陽の者! 「おい!」というツッコミ。2部の手拍子のやり取りがとても楽しかった。刀剣男士と審神者が通じ合っている感じがある。

ライビュ:好きになっちゃうじゃん……。天海僧正の数珠でハッするところ見たら……。

豊前江(立花裕大)
どう見ても豊前江。どう見ても。
太田道灌を殺すところがとても鮮やかだった。殺す人のことを知っておきたいっていうのはなんなんだろう……。
「自分もあやふやなものだ」と思いながら、同じ悩みを持つ人に寄り添う姿勢が好き。

ライビュ:カメラがつい追ってしまう。わかるよ。完全なんだよな、ミュ豊前……。豊前そのものが完成なのに……それが動いたり歌ったりしたらもう大変だから……。

桑名江(福井巴也)
めちゃ良では? 鍬の扱いが本当に大地に向かうようで良かったと思いました。コンコンコンの歌はかなりどうしようと思った。アコギの音? とても桑名らしい。村雲江のなだめ方が桑名らしくておおらかで優しくて好き。

ライビュ:歌、より伸びやかになっておったような!! 飛び出すシーンとかかわいい。

水心子正秀(小西成弥)
なんであんな苦しい役割を? 清麿がいてくれてよかったよ……。月と魚と歌がとてもよかった。清麿……。水心子の、幼くて青くて、理想にまっすぐで努力家なところどうしてこんなに好きなんだろうね。好きだ。幸せになってくれ。いや、幸せを掴み取ってくれ。

ライビュ:「ぐにゃっとしている……」(かわいい)

源清麿(佐藤信長)
かわいい。水心子への愛が良い。「一緒に来てくれるか」後の「もちろん」の笑顔が本当に良かった。だって「できることある?」って聞いた時黙り込まれちゃったんだもんね……よかったね……。

ライビュ:なんていい友だちなんだ。

五月雨江(山﨑晶吾)
良。肉体が完全に良い。そんなことある?? 顔と身体とその動きが全部好き……。
『刀剣乱舞』の歌詞に「我が言の葉よ」(?)って入ってたみたい。良い……。※パンフに『刀剣乱舞』の歌詞書いてあった!! 画期的!!
最後お辞儀する時に襟巻をちょっと摘み上げるんですけど、あんなに良い仕草があるか? 私にはわかりませんね。一礼の前に立ち絵もやってくれた気がする。良い。わん。
現場、見切れだったために、最後短冊に筆で句作をしているところで、五月雨江本刃は見えないが、短冊と筆だけが見える瞬間があり、これはこれで缶バッジにしてほしいなと思いました。

ライビュ:笑顔!!!!! 太田道灌への笑顔……、「わん!」……ああ〜……あとETERNAL FLAMEの笑顔でやられた。心が決壊した。刀ミュってたまにこういうことあるんだよね、忘れてたよ……。

村雲江(永田聖一朗)
挨拶動画を見て以来「おねえちゃん……!」とばかり思ってしまう。おねえちゃん。でも「クソ!」って言うところはちゃんと村雲江……、いや、村雲江がおねえちゃんであり村雲江であるので、なんの矛盾もなかった……?
五月雨江の人とは双子役をやったこともあるとのこと。うわーん!! 良いキャスティングありがとうございます!

ライビュ:ちょっと半眼めになってた!? だるそうな感じがよかった。ひたすらにかわいい。おねえちゃん。

太田道灌(有馬自由)
あんな陽気なおじさん好きになっちゃうわよ!!

「山吹伝説」の項に『七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき』の話がある。作中で「いつかわかる。己の愚かさにも気づく」とか言ってたのはこれもある……?

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E9%81%93%E7%81%8C

天海僧正(三上市朗)
勝海舟と二役なの気が付かなかった……。
天海僧正も平将門も、『姫神さまに願いを』シリーズを読んでいなかったら意味がわかんなかったんじゃないだろうか。ありがとう藤原眞莉先生。ありがとうコバルト文庫。

平将門(川隅美慎)
すっき……………………
刀ミュ人間キャストでこんなに好きな人はおらんな!? なお私は秀忠が大好きです。
将門公、大柄で、動きも派手で、表情が繊細で、「惚れた女がいたからよ」が最高で、もう好き……好き……。それと俳優さんがとてもまめにブログを更新されてらして、それも好きになってしまうじゃん……。

場面

【一部】

・M1『刀剣乱舞』 ―東京心覚― 音楽がちょっとかっこよくなってなかった!? 8振りいると歌の厚みが違って圧倒されちゃった。

M3『ほころび』 新々刀の美しい歌。それぞれ別の歌詞を歌うところの重なりが好き。「水清ければ」、で、「心子」と「麿」なのね。

M5『雨と雲と犬』 「どこにいるの雨さん 癒してよ雨さん」(会場観劇直後の記憶違いのメモですが、本当に衝撃だった 実際の歌詞は「癒やして雨さん 癒やしてよ雨さん」(それはそれで……))

M6『大地とこんにちは』 コンコンコン!? びっくりしたけれど、ゆったりしたアコギの音? がとても桑名に似合うなあと感心した歌。

M13『次に降る雨』 このさ~……あのさ~……まず何もない世界であんな穏やかな歌を歌えるのは桑名江の感性もあるけど、知性だよね! 水の循環を知ること! そして村雲江のセンスの良さよ……。「最上川の流れを速くしたかもしれない」で泣いちゃったよ。とっさにその歌が出てくる君は、愛があるしセンスがあるよ……好き……(こういう趣味のやつにそういう歌詞を当てると死ぬ: https://twitter.com/your_re/status/1358629851876315136?s=20 )。
「焼き入れの時に触れた水かもしれない」でまたヴァッて泣いちゃう。刀、あなたたちにも、「生まれた瞬間」があった……。命の循環にきちんと思いを馳せられる村雲江、桑名江の意図をちゃんと汲んでいる。
しかしあの放棄された世界はなんだったのか? COVID-19が流行しなかった世界……?(と解釈してもいいように作ってくれていた、と思っている)

・『新たな戦力が投入されるのは今の戦力に不足があるからであり、問題だ』と考えるにっかり青江 そして修行に出るにっかり青江(わかる)(それで全国行脚に?)(わからない)※にっかり青江単騎出陣を見た今、この初見感想を見るととても口がむずむずするんですが、それはまた後の話……

・「わんと鳴くのは心が震えたから」という五月雨江、良い解釈です!!
「景色が美しいのは、景色を見て美しいと思う人の心が美しいから」……私が五月雨江のことが好きなのは、五月雨江が人を、人の心を、人の言葉を愛しているからかなあと思う。

・むちゃくちゃに線を結んで困る水心子、かわいい

・郷に与えられた「人と人ならざるものを繋ぐ」みたいな役割(うろ覚え)、「郷6振りor moreで東京ドームに出陣する」でありますように 頼むよ……

M18『問わず語り』 エンディング。絶対に泣いてしまう曲。寄り添いを感じる……。五月雨江が出だしの郷たちを「でも誰かがいなければ歌は生まれない」って受けるのが本当に好き、本当にありがとう。人間を愛してくれてありがとう……

【二部】

聞き慣れないジャンル(?)ゆえペンラ振りづらい曲の多い2部!
うちわの使い所が全然わからなかった。常にうちわ構えたままでペンラ振らないとではないか?

S1『革命前夜』
全員曲。新しい。エボリューション。

S2『未だ視ぬ世界』
三池デュエット。これも新しい感じ。大典太光世が軸をぶれさせることなく回転してすごい。

S3『illusion of my heart』
てんえどデュエット。「友情♪」じゃなくて「Illusion♪」だったのな!? はっはっはっあぁ~てぃまい♪ まい♪
手のひらを重ねて腕をぐるぐるする動きが印象的で好き。

S4『I want to be here』
郷4振りの曲。客席で篭手切江が号泣しているのが見える。松井は篭手切の鼻血を拭いてる。
あの、歌合で、痛み苦しみ……と歌って生まれた刀剣男士が、「ここにいたい」って歌うの、希望……。
ライビュの五月雨江のバリバリの笑顔にやられた。「終わらないで……ずっと笑っていて……ずっと踊っていて……」と願ってしまった、お手入れがあるのにね……そしてうちの本丸には、いるのにね、五月雨江……。刀ミュ千秋楽の「終わらないで」って気持ちも久しぶりな気がするよ。

S5『∞』
2振りずつ見せ場がある曲ね。大典太光世のボイスパーカッション! その両脇の狛犬みたいな雨雲コンビ……!!(好き……)階段に並んで座ってわんこみたいな動きで左右に揺れてるところも好き!
みんなにつっつかれてよろめく水心子の「? ?」って顔が大好き。

S6『ETERNAL FLAME』
ペンラフリフリする曲! これ楽しくて好きなんや~! 光世の直立不動両手振りがツボだったけど、ライビュではまたちょっと違う動きだった気がする。

S7『焔』
新しい脱ぎ曲だ……! 途中の静寂と、ゆっくりバチを振り上げる将門公が大好き。

『刀剣乱舞』〜カーテンコール〜
あのですね……あの、テレレレレ~レレから始まる「刀剣乱舞」、壽の最後にかかったやつっぽくない!? 現場でイントロ聞いて、「あっ、あっ、何だっけこれ、知ってる、なんかすごいことになるやつだ、あ~~刀剣乱舞ですね!?」ってなる頭の回転が自分で面白かった。好き……。

全体の感想

観劇前なんだかんだで4振りずつに分かれて浅草チームと東京ディズニーリゾートチームに分かれて遊ぶ話だったりせん!?

観劇直後青江が出るとは聞いてない。コロナ禍の私たちへの優しい寄り添い。青江が修行に行ったとは聞いてない。単騎はどうなるんだ。村雲江の『次に降る雨は最上川の流れを速くしたかもしれない』で泣いてしまい、完全に元を取りましたとなった。これは問わーずがーたり♪  放棄された世界、何? 三日月宗近、何? どんどん尖っていく刀ミュ。しかし審神者に優しかった。特別でない、普通の、私たちに。

歴史は勝者が書き残すもの。本当のことは誰にもわからない。でも、「愛しい」と思う人の気持ちには限りがなく、歴史の合間を縫ってとめどない。

アーカイブ:「ここに来られなかった」「来ないことを選んだ」、コロナ禍と演劇の話を示唆していると思って見ていました。ありがとうございます。いやでも本当にまだよくわかってないよこの話、あと3回くらい見たいよ……。
たまたま前日に19三百年と、葵咲本紀の途中まで見ててよかったです。悲しい役割の話。

ライビュ:豊前江が「覚えてもらっている間は、存在しているんだよな。だとしたら、こんなに主に拍手してもらえる俺たちは、めちゃくちゃ存在しているってことだよな! よくわかんねーけど!」って言ってくれて、そんで拍手をくれて、私もめちゃくちゃ存在しちゃった……。水心子の言葉からも、「頑張るね……これからも……」となった。そう……存在していくよ。これからも。
大典太が蔵から出てきたり、男士同士の掛け合いとか見るにつけても、カンパニーの中がやわらかくあったまってるんだな、時間をかけて、と心があたたまる感じがした。
ライビュ後コメント見てると俳優さんと刀剣男士似てる感じがして大好き。

今思うこと:脚本家さんが以前、インタビューか何かで「脚本で『愛』という言葉を使いたくない(使わない)」と話されていた。確かに、これまでのミュージカル刀剣乱舞で、「愛」の話って直接には出てこなかったと思う。「思い」とか「願い」とか「祈り」とか、そういう言葉で、あるいは視線で、行動で、「三日月宗近という機能」という名前で、人間や付喪神たちの間に交わされる(あるいは一方的に発される)大きな感情が表されていた。

東京心覚では、「愛しいという気持ちも、歴史を繋いでいたんだ」と言われていて、ああ……これは私に言わせれば、愛ではないですか、と思ったんですよ。
※これはけして「脚本家さんはたしかに『愛』とは書いてないけど、愛の話を書きたかったんじゃん、ケッ」って言いたいわけではありません。私の受け取り方だけの問題なのです。

今私があなたたちを愛おしいと、大切だと思う気持ちは、歴史には残らないし、何の役にも立たない。けれど、私がそう思ったことは事実だし、それを糧にして、今を、明日を、生きていく。私の歴史を。そして、ライビュで桑名江が言った通り、たぶん、意味がないものなんてないんだ。すべては循環の中にあるから。私が愛おしいと思うことも、大きな流れの一つだから。

何かを好きでいることを、肯定してくれてありがとう。こんな世界の中だけれど、何かを好きになれるだけの心がなければ、結局、きっと、生きていくことなんてできないから。何の役にも立たなくたって。たぶん、意味のないものがないように、役に立たないものだってないんだから。

ごきげんオタクライフに使わせていただきます🌱