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非効率的恋愛攻略法

私は誰かに自分の恋愛の話をしたことがほとんどない。おかげで周りには恋愛経験どころか恋愛感情が無いものだと思われている。失礼な、恋愛経験くらい人並みにある。上手くいった経験はほとんど無いけど。そういう訳で、これは誰にも秘密の話。

優しい人が好きだ。2月、私大入試の前日に塾の帰り際、君が私の席まで来て明日頑張ってねって言って帰って行った。座ってる私に目線を合わせるように少ししゃがんで、笑って言ったのをすぐに思い出せる。こんなに簡単に人を好きになるんだ、もっと簡単に好きじゃなくなれたらいいのに。

君は小さいことですごく頻繁に連絡くれるくせに、すぐそっちから会話を終わらせてくるよね。可愛いとか、私にしか言ってないよとか言うのに。君のこと、全然分からないし全然知らない。好きなこと、嫌いなこと、出身中学も、私のことをどう思っているのかも。こんなことで悩まされるのはあまりにも効率が悪すぎる。

攻略法なんて本当は知らないんだ、駆け引きもよく分からない。全然好きじゃないふりしちゃって可愛くないかも。でもお気に入りの服を着て会いに行くから、1番可愛いリップ塗って行くから、ちゃんと気づいて褒めてね。素直じゃないけど、君の好きだと言っていたアーティストの曲を毎日聴いています。結構レトロなユニットだけど、私も結構好き。まだ私は君のことなんて呼んだらいいか分からないから、君って呼んでるの、少し恥ずかしいです。山内桜良じゃないんだから。君は私のこと、名前で呼んでくれるのにね。さん付けは全然慣れないけど、結構気に入ってるよ。星空や朝焼けを送ってくれたり、私がおすすめしたスマホゲームの進捗を教えてくれたり、嬉しいから辞めないでね。君が5つ目の季節だ、まだしばらく夏は来ないらしい。

あぁ恥ずかしくなってきた、だからこういうこと人に話すのは苦手なの。読んでくれた人はこのこと、絶対に秘密にしておいてね、もしも誰かに言ったらあなたの好きな人言いふらしちゃうからね。

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