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嘘だらけのノンフィクション、小説、雑技、日記、戯曲

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ころりころげたきのねっこ

  『ころりころげたきのねっこ』 登場人物 忌子 犯人。 水子 最新技術に目がない。 愛子 カルフォルニアロールが好き。  白い葬式。百合と蘭が遺影のまわりを賑やかにする。その下には棺がある。これは棺の常なのだが、小さな窓にうつる死相はそこに死体があることを示している。 喪服を着た女が3人、舞台中央に立っている。3人とも赤子を抱いている。 忌子 「(スマホを取り出し)はい!チーズ」 水子 「どう?見して見して」 忌子 「あかんわお父さんうつてない」 棺がう

    • 舞台下手に海がある。 上手には海から続く砂浜が途方もなく続いている。 中央にひとりの男、いやふたりかもしれない。いた。 その男たちは海水浴しようと、服を1枚1枚脱いでいく。時々戯れ合う。 しかし全部脱ぎ終わる前に満潮の時刻。 荒波が舞台をおそって、水浸し。役者も観客もド座右衛門となって紫色や赤い海藻に巻かれ浮かんだ。 干潮になると黒いあさりが顔を出した。水死体は濃紺の中に溶けた。 やがて1人の女、海より現れる。 女は何も纏っておらず、かといってそれを隠そうとせず、足の半分が波

      • サマヨエル・バケット

         世界の下手から男一が歩いてくる。お気に入りの服を着ている。 彼は、とある苦しみを抱えながら砂利道を歩いているのだが、それは彼自身も気づかない苦痛であるし私たちにもそれは伝わらない。実際にその苦痛があるのか誰にも確かめようがないのでこのことは誰かの嘘かもしれない。 川の土手沿いにあるパン屋で、バケットを注文する。パン屋がなければコンビニエンスストアでも良い。土手がなければ住宅街でも良い。 川がなければ山でも良い。ともかく彼はそこに在る。 バケットを左脇に抱えて、店を出

      ころりころげたきのねっこ