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K-POPオタクがSexy Zoneに沼落ちしたけど少し距離をとった話


今までの人生で一度もジャニーズに触れてこなかった。これから先も関わることはないと思っていた。ある1つのMVを見るまでは。


Sexy Zoneとの出会い

2021年12月のある日、いつものようにYouTubeでK-POPの新しいMVないかなーとdigっていた。そういえば、INI・BE:FIRSTと同時期にデビューしたジャニーズグループがいたなと思い検索してみようと思い立つ。INIやBE:FIRSTは追いかけてはなかったものの、どんな楽曲の方向性でいくのか気になっていたし、頑張ってほしいなと思っていたのでそれぞれのMVは見ていた。

なにわ男子というそのグループの最初のMVを見てみると、いやはや正直面食らってしまった。グループ名にもびっくりしたが、今まで見てきたK-POPのMVと全く違い、確かにINI・BE:FIRSTとは客層が違うだろうなと感じた。

え、ジャニーズってみんなこんな感じなの?K-POPと全然違う世界だなー、と思いその他のグループも見てみようと検索した。その時ジャニーズに関しては、SMAPや嵐以外はグループ名もほとんど知らない、もしくは聞いたことあるかな程度だった。

まあ兎にも角にもジャニーズのグループ名をいちいちGoogleで検索して、全てのグループのMVを2、3個ずつ見ていった。

そして、私はある1つのMVに出会う。

それが、『Right Next to You』である。

え、めちゃくちゃ好みなんですが!!!

いろんなMVを見ている最中、見たことない世界で新しいなと思いながらも、やはり私はK-POPの音楽、つまりPOPS、HIPHOP、EDM、R&Bなどをベースにした音楽が好きだったので、J-POPのジャニーズにハマることは無いだろうと思いながら見ていた。

そうしていたら、突然自分好みドンピシャの音楽がイヤホンから流れたのだ。いや、自分の部屋で一人で立ち上がってしまうぐらい驚いた。

まず映像がシンプルながらもおしゃれである。MVを見る際、アートワークは私にとってかなり重要な要素だ。楽曲もめちゃくちゃいいし、ダンスブレイクもラップもかっこいい。コレオも美しさを感じさせるような振付でこの曲にあってる。何もかもがいい。

でも、それにしては再生回数が少ない。タイトルで検索してみると音楽記事が多くあり、MVが公開された当時、洋楽好きやK-POP好きの間で騒がれたという。いや、届いてないですけど!一介のK-POPオタクに全然届いてなかったですけど!

MVを次々に見始める。

『Let's Music』

Mark Ronson ft. Bruno Mars『Uptown Funk』じゃん!この楽曲が出た当時、あまりにも好きすぎて何回もMV再生してた私のための曲じゃん(その当時みんな好きだったけど)!そして、一貫してMVがおしゃれで良い。楽曲の参照先がわかりやすい(もちろん厳密には参照はしてないけれど、近年のファンク曲で最も流行した曲であるため間接的に意識はしているだろう)のは少々興ざめではあるが、セクゾの音楽性は私の感性とあってるかもと思い始める。

『NOT FOUND』

エッシャー的な世界観がいい。決意表明の歌詞と自己主張のラップが、私の好きなアイドル像に近くて好き。もうこの辺りから、セクゾファンのメンタリティになってきている。

ネットの海をあさり始める

セクゾの名前すら知らなかったその日、5人の物語を知る。

あまりにも幼い5人が急に寄せ集められデビューを告げられる。5人からの3人体制。数々のトンチキソング。また5人に戻って、メンバーの1人が休養。戻ってきてすぐまた別のメンバーが休養。そして、2019年頃を境に、音楽性もMVのクオリティも180度変わる。

まとめると、あまりにも大人に振り回され続けてるな、という歴史。そしてそこから自分たちで音楽性を見つけていく物語。

セクゾで調べると、マリウスに言及した記事が多く引っかかる。彼の社会やジェンダーに対する先進的な価値観がジャニーズの他の前時代的な発言とよく比較されている。すごく好感が持てる。そのようなメンバーが所属しているグループなら大丈夫だろう。松島聡が休養して戻ってこれたということは、他メンバーもメンタルヘルスに関して一定の理解があるだろう。私の中の地雷が踏まれることはないだろうと、安心した。

私の中で、教養と常識があるメンバーが、困難な過去を乗り越え、おしゃれな音楽をやっているという「セクゾ像」が出来上がった。

その日、すでに私はセクゾのファンになっていた。

でも、その時私はジャニーズのことを全く分かっていなかった。

コンサート映像を見て違和感を覚える

セクゾを知る前まで、ジャニーズに関してほぼ知らなかった。邦画も邦ドラマも邦楽もあまり触れない私の日常にジャニーズはほとんど登場しなかった。でも、ネットニュースで時々みるジャニーズにはなんとなくマイナスイメージを持っていた。女性蔑視コンテンツの配信、政権与党との近さ、未成年Jrの上半裸強制、遅れたジェンダー観。そして、結果的にいうと、ジャニーズの創るエンタテインメントを鑑賞するうちに、そのマイナスイメージはより強固なものになってしまった。

セクゾにハマったとはいうものの、メンバーが出るドラマもバラエティ番組も映画も興味が持てないし、音楽番組にも新曲を出さないと出演しないし、YouTubeやSNSでのコンテンツも無いし、とにかく供給がない。というわけで、セクゾを初めて見た日から数ヶ月後、コンサート映像を見ることにした。(その間他ジャニーズグループのYouTubeをみたり、セクラバさんジャニオタさんのブログを見たりして、異様にジャニーズに詳しくなってしまった。こういうあたり、オタク気質だなと思う。)

一つだけ断っておくと、良い演出もたくさんあった。だけども、それを上回って私の中の地雷は踏まれてしまった。

例えば、カーテン越しにシルエットが見える状態でメンバーたちが着替えをする演出があった。それを見た観客が歓声をあげる。意味がわからなかった。なぜ突然ステージ上で着替え始めるのか。なぜ私はそれを見なければいけないのか。あまりにも悪趣味だ。他人の着替える姿を見たいという欲望を持ったことは一度もないし、アイドルのライブと思って見てたらそんな演出を見ることを強制されるなんて正直吐き気を覚えた。

未成年Jrに上半裸でステージにあげた演出もあった。どういうことなのか。わざわざ上半裸にする意味はあるのか。児童虐待と訴えられてもおかしくない行為をメンバー及びスタッフは強制させたのか。見てる自分も加害者になることを強制させられて許せるわけがない。

そもそも、なぜ毎回あからさまなセクシュアルな演出や振付が入っているのか。ファンが歓声を上げるのは、多分「お約束事」だからやっているのであって、それ以上の意味はない。自然に上がる歓声と、お約束事の歓声は違う。

MCにおいて下ネタをしゃべることもホモソーシャル的な振舞いで、本当に嫌気しか感じない。セクゾのメンバーがホモショーシャルでしか絆を築けないんだとしたらそれは残念なことだと思う。

正直これらに対する嫌悪感があまりにも大きかった。思っていたより、ジャニーズはホモソーシャルの巣窟だった。


コア層とライト層の大きな壁

ジャニーズのライトなファンと、コアファンの間にはとてつもなく大きな壁がある。

壁の内側は、ジャニーズ帝国になっていて、現代では考えられないくらい前時代的になっている。音楽を聴くためだけにCDという遺物を買わされ、ホモソーシャルな価値観をぶつけられる。ファンクラブの他名義禁止と外に向かって言いながら、壁の内側に対しては黙認している。壁の外側では建前を言い、壁の内側には本音をほのめかす。ファンの大部分は女性なのに、女性蔑視の視線を向けられる。大抵の情報は一方通行に発信され、ファンの意見に耳を傾けようとしない。

私は壁の内側にはいられないな、と思った。
満身創痍になりながら、壁の内側にいることは、私にはできない。

ジャニーズアイドルは、時々「ファンのために」「ファンが望むもの」というような言葉を発する。この時のファンというのは、明確に壁の内側の人のことを言っている。そして、そのファンと自分たちは明確に違う人種だというニュアンスを感じる。同じ人間なのに。そのファンという実体のないものを本当に把握してるのか?歓声が大きければファンが望んでいると勘違いしてないか?売上の数字やチケットの枚数、再生回数など複合的に複雑に原因が組み合わさったものを本当に分析できているのか?

多分、壁の外側にいるような人でさえ魅了されるようなパフォーマンスを、壁の内側にいる人たちも望んでいるんだと思う。でも、セクゾのLIVEは、壁の内側の人たちを満足させる以上の内容はなかったなと思う。

それでも

それでも、(2020年ごろ以降の)MVの中のセクゾや、音楽番組でのパフォーマンスのセクゾは圧倒的に美しく魅力的だと思ってしまった。

そして気付いてしまった。ジャニーズの外部の人が演出しているからなんだな、と。作詞作曲、MV制作、音楽番組でのパフォーマンス、雑誌での発言、全て外部の人が演出制作編集したものだ。それらだけであれば、おしゃれで健全で上質なエンターテインメントだった。

それから数ヶ月間、新曲情報を追ったり、新アルバムを楽しみにしながら、メンバーが出てるテレビを見たり、メンバーの発言を検索して落胆したりしてきた。ジャにのチャンネルでセクゾの話題が出ないかみてみたり、佐藤勝利くんが出るJGRは何回かみた。何かジャニーズのマイナス面を上回るセクゾのエピソード情報が出ないかTwitterで検索した。結構熱心なファンだった。

ああもう、なんでこんな葛藤を抱えながら応援しなきゃいけないんだ。なんでメンバーの発言に傷つきながら、アルバムを楽しみに思ってしまうんだろう。もういっそのこと5人で独立してくれよ。もしくは、HYBEがジャニーズを買収して企業体質もう少しまともに改善してくれよ。

まあでも、そんなことはありえない。

所詮こういう事務所なのだ。事務所の根本的な価値観が私と正反対なのだから遅かれ早かれいつかはぶつかる問題だったのだ。

だから


だから私はセクゾを過度に追いかけるのをやめようと思う。メンバーに対しても期待しないし、外部の人間によって演出されたMVや音楽番組だけを楽しむようなライトなファンでいる。自分自身のメンタルのためにも。

その決意をするために、この文章を書いた。









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