往けるはずもない世界



聞き慣れたメロディーに耳を傾ける。
目をつぶれば、あなたの世界に行ける?
桜の下で座り込むあなたの顔は見えない。
桜は散り続けているのに。
どれだけ見つめても、手で触れても、その感触は平らで冷たい。わかりきっているのに、私は一体何をしているんだろう。

手元にあるカバーを閉じて、今日はおしまいにしよう。



私はちょっと疲れているのかも知れない。
また会いたくなってる自分がいて、おもむろに手元のカバーを開いて機械を立ち上げる。
思い出せない。その読めないタイトルも。
アルゴリズムは消えていて、こんな簡単に見失う。


近づきたくても、
永遠に、あなたは散り続ける桜の下。




fin.

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