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言葉で言葉の呪いを解く。

「一つの価値基準で人を評価する性質を持つ言葉」をよく使われるお方がたまにいらっしゃいます。わたくし、そのようなお方が苦手です。例えば「人間力」とか。その言葉をご自身の社会的能力の指標として使うならば何の問題もございません。ですが、その指標を人様を評することに使ってしまう方もいらっしゃいますね。「あの人は人間力が高い」とか「あの人はあの人より人間力が低い」とか。正直なところ、大変迷惑です。てめえの一方的な物差しで他人をジャッジできると思ってんじゃねえよ知性足りねえのかよ、という気持ちになってしまいます。おっと、いけません。ついつい口調が荒くなってしまいました。申し訳ございません(批判的なことを言いたい時、攻撃性が強くなりすぎないようにお上品言葉で中和できないかと思いましたが逆効果でしたね。ごめんあそばせ!)。

安心してほしい。「人間力」なんかなくてもちゃんと全員人間だ。そもそもそんな定義の曖昧な「力」は社会学的にも生物学的にも存在しない。純粋に疑問なのだが、「人間」のあとに「力」を付けるということは、例えば西ローランドゴリラであれば「西ローランドゴリラ力」、猫であれば「猫力」ということになるのだろうか。「あの西ローランドゴリラは他の西ローランドゴリラよりも西ローランドゴリラ力が高い」「あっちの猫はこっちの猫よりも猫力が低い」。ちょっと面白い。

僕は占い師なので、言葉のもたらす効力には人一倍敏感だ。特に「一つの価値基準で人を評価する性質を持つ言葉」をよく使う人を僕は結構明確に嫌うし距離を置くようにしている。その言葉の影響力の強さも危険性もよく知っているからだ(単にそういう人と一緒にいるとこちらも怪我しかねないのでしんどいというのもある)。言葉は呪(しゅ)だ。言葉は人を縛りもするし、人を自由にもする。

占いは言葉の力を用いた呪術である。言葉の持つ性質を用いて、人の悩みを「締める」技術でもある。「締める」は「占める」。これからこうなります。こういうことが向いています。こうするとよいです。しかしこれだけは覚えておいてほしい。人を自由にする言葉は魔法だが、人を縛る言葉は催眠術だ。言葉は人を縛りもするし自由にもする。語弊を恐れず言うならば、僕のタロット占いは、既にその人にかけられている言葉の呪(しゅ)を見つけて解くことを目的としている。

人は誰しも成長過程でさまざまな言葉に縛られる。小さい頃から言われ続けてきた言葉。影響力のある誰かの言葉。耳に残るコマーシャルの歌。SNSの誰かの発言。所属している集団や界隈に漂う通念。流行って一人歩きしている用語や言い回し。ことわざ。社会の常識。地域の常識。親の教育。自分の名前。思い込み。ある程度言葉による縛りがないと人は社会的に生きることができない。縛りすべてが悪いわけではなく、それで心地よく暮らしているなら何の問題もないものだ。が、当人が苦しんでいて、それをなんとかしたいと思っているなら話は別だ。不要な縛り、苦しみの原因になっている縄をほどく。そういう言葉は、様々な場面で“呟き”のような姿で現れる。例:「わたしなんて」「どうせ」「あいつさえいなければ」「どいつもこいつも」「わたしがいちばんすごい」「わたしはまちがってない」「こんなもんでいいでしょ」「なにもかもめんどくさい」…etc.

これらの呟きが呪いの正体だ。話を聴く中でいかにこれを見極められるかがセッションの質を左右する。もちろんカードの意味も読むのだが、カードを読むこと以上に話を聞くことにリソースを割く。カードを読むが3、話を聞くが7くらいの割合だ。聞くと言っても肉の耳で聞くのではない。呪いの呟きが直接的な会話の中で語られることは少ないからだ。本人に自覚がないこともかなりある。しかし直接語られていなくても、その糸口は語られた物語のどこかに必ずある。話の内容のみならず、その人から立ち上ってくる気配のヴァイブレーションも大きなヒントになる(この辺りは“霊感”の領域だ)。呟かれない呟きに心の耳を澄まし、目敏く見つけて掴んでほどく。ほどくと言ってもほどきっぱなしにはしない。僕の占いでは「別の言葉を語ることで対象の呟きを無力化する」という形をとる。言葉の効力を逆手に取って、言葉の呪いを解くのである。その日僕の口からどんな言葉が紡がれるのかは、イチニノサン!でカードをめくるまで僕自身にもわからない。

言葉は動く生き物だ。飛び回ったり、泳ぎ回ったりしている。言葉の呪いを解くためには、無意識の海を泳いでいる別の新しい言葉を“キャッチして渡す”必要がある。そのへんをふわふわ漂っているぬるい言葉ではダメだ。魂まで届かない。短い言葉がいい。思わず呟いてしまうような、クリティカルな一言がいい。並んだカードの絵柄を見ながら僕は無意識の海に深く潜っていって、無数に泳ぐ魚の群れからギラリと光る金色の魚を見つけて、エイヤッ!と掴んで「はい」と手渡す。「なんじゃこれは」と相手は言う。「意外」と相手は笑う。その生き物が何なのかは僕も知らない。知らない言葉を語るんだ。そいつが一番光ってたんだ。驚いているうちに呪いが解ける。笑っているうちに呪いが解ける。洞察力と俊敏さと野蛮さが要る。これが僕のやっている仕事の実際的な所感である。タロット占いというより、ほとんど北沢由宇のオリジナル占法と言える。無意識の海に潜って漁をするイメージだ。僕はこの占法を仮に「ダイバー・リーディング」と呼んでいる。

と、格好をつけたは良いものの、とどのつまりは「好きに生きればいい」ということだ。僕はあの手この手の言葉を駆使して目の前の人に「好きに生きればいい」と言い続けている。占いの話だけではなく、着る服、髪色、リノベ、やることなすことすべてを通してそう言っているつもりである。この世界であなたは何をしてもいいし何をしなくてもいい。望みがあるならこういう方法があるかもね。苦しみがあるならば原因はここかもね。あとは皆さんご自由に。好きに生きればいい。好きに生きることを神様は人間に許している。

中には僕の存在を知るだけで勝手に自分で自分の呪いを解いてしまう人もいると最近は噂に聞く。いやはや、それでは商売上がったりだ。でもそれでいい。好きに生きればいい。こっちに来てもいいし、来なくてもいい。僕はあなたに会いたいけどね。

◆北沢由宇タロット占い
(30分~ご納得されるまで向き合います)
 1件/5,000円 2件/8,000円 3件/10,000円
◆オーラの絵を描いてお渡し
 一人3000円/30分程度
(タロット占いとセットの場合-1000円)
◆ご宿泊 素泊まり・ドミトリー1泊3000円

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