見出し画像

【詩】執念

蓮の台にひとり、
分かつ者がいない
嗤う人、蔑んだ
心がない
お前を許さない

怒りはうたにした
憎しみは糧にした
生きねばならない
身体は大地に縛られた

無垢な空の青
無邪気な手毬花の白
コンクリートの大地に爪は立たない
傍で笑うきみ
助けもせずに

「まだはしれるでしょう?」と、この身体を燃やす

空を睨み、手毬花に唾棄した
美しい顔だけしやがって
唾は届かなかった
おれは無力だ
おれを許さない

──逃がさない!──

這った大地に爪痕も残せない
それでも身体はもう底にいない
きみと共に次の地へ
残された声にピースサイン

「また会おう」

大火傷の身体に鞭打った
いのちなんかかがやかないこの国で健気に生きている

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。