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ただ好きだと、叫びたい

アイドルを見られなくなってしまった。

この1ヶ月の間、急に好きなアイドルを見られなくなってしまったのだ。



そのことに、テレビを付けなくなったことから気づいた。テレビが好きだったのに、わたしはいつからかテレビの音がなぜか怖くなった。

理由がほんとうにわからない。特に辛いこともなければ毎日平穏に暮らしていると思っている。ただどうしても見られないのだ。


見られなくなってから、新しい情報がくるたびに罪悪感に襲われた。見ないと。早く買わないと。見なきゃいけない。応援したい。しなきゃいけない。あれ、いつから義務になったんだろう。

好きになったときは義務なんかなくてただ勝手に好きになっただけだったのに、その好きを勝手に義務にしてしまったのはわたしだ。

音のしない部屋の中で、スマートフォンに入っているアイドルの写真を見ていた。好きになったときに見つけた写真。この写真はあの頃に見つけた写真。
真っ白な気持ちで好きをただ叫んでいた頃の写真を見て、涙がぼろぼろ溢れてきた。どうして。好きなのに。ただ好きなだけなのに。



友人が家にやってきたときに、一緒にライブ映像を観た。
多分2ヶ月くらいこういった映像も観ていなかった。

一人じゃ観られなかった。冗談を言い合ってくれなかったら、とても観られなかった。
ああもういつもそうだった。答えは彼らが教えてくれた。


あきれるくらいに好きだということを、しかと思い知らされた。




そういうところを好きになった。洗練された美しさの、たまに見せる"隙"に魅了された。ほら今の笑顔で、何万人がしあわせもときめきももらったんだろう。
叫ぶような歌声も囁くような歌声も。甘い歌声も湿度も高い歌声も。
だから好きだとわたしは答え合わせをしていった。


いちばん簡単な答えを思い出すことができた。
ただ好きなんだと、そんなことさえ忘れてしまっていた。

ありがとう。いつもほんとうにありがとう。
素敵な年に、先を走る彼らに、わたしは全速力で追いかけていきたい。