スポーツと競馬「スポーツの遺伝子と 東京優駿(日本ダービー)」
科学が進歩して、遺伝子を解析することによって色々なことが分かるようになってきた。今や何かの病気になりやすいDNA情報を持っている人は予防的治療をしたりする。美容業界も黙っているわけがないというわけだ。
スポーツの”才能”についても何かしら分かるのかもしれない。
しかし、スポーツにおいては、おそらく科学者が思っているほど簡単ではないと私は思っている。
なぜなら、スポーツの成績に影響する要素はあまりにも多く、さらにそれらの要素の複雑な組み合わせによって出力される身体の動きは全然違うものになるわけだから、例えば「筋肉が素早い収縮ができる遺伝子を持っているから短距離走の選手向きだ」なんて単純には言えないのだ。
例1)一卵性双生児は同じ遺伝子を持っているはずなのに、スポーツの成績は必ずしも同じにはならない。
例2)親が優秀な選手で、その子供も同じ種目で優秀な選手になるという例はたくさんある。しかし、全く普通の親からすごい選手が生まれたり、その逆だったりという例の方がはるかに多い。
例3)優秀な選手は優秀な遺伝子を子供に伝えるかもしれないが、全く同じ選手に育つことはありえない。子供が優秀な選手に育つことは、遺伝よりも、優秀な選手だった親の元で育つということ、すなわち、その種目をやるのに良い環境で育つということの方が影響が大きいと思われる。
以上の例のように、遺伝だとか才能とか生命の謎はとっても深淵なのだ。
いくら科学が発展して遺伝子の秘密が解明されたとしても、スポーツの世界は「貧乏な普通の親から生まれたオレだって世界のスーパースターになれるんだ」という希望を持てる世界であって欲しいと願う。
明日は東京優駿(日本ダービー)
競馬はブラッド・スポーツなどと言って、優秀な遺伝子を選りすぐり、優秀な馬を作ることを目的として生産から育成までを行っている。そこが人間のスポーツと最も違うところだろう。
そこには長い歴史により培われたノウハウが積み上がっているし、最近は、やはり遺伝子を調べて知見を集めていたりするらしい。
それでも、同じ父母を持つ兄弟でも同じようになるとは限らないし、忘れられた血統から突然、怪物が生まれることもある。それが競馬ファンを引き付けるロマンでもあるわけだ。
さて、そんなロマンの究極のひとつがこのダービー。
競馬界の格言にこんなものがある。
「ダービー馬はダービー馬から」
「最も運のいい馬が勝つ」と言われるダービーを勝つような馬は、やはり運のいい遺伝子が必要ということなのだろうか? 競走馬の世界には、そんな遺伝子がありそうである。
それにしても、今回の出走メンバーの父でダービーを勝っているのは2頭しかいない。お馴染みのディープインパクトと、久しぶりに名前を聞いたエイシンフラッシュだ。
そのエイシンフラッシュの仔
7番 オニャンコポン
ダービーに出ることを想定していた馬名とは思えないが、父と同じく京成杯に勝って、皐月賞の一頓挫を挟んでこの舞台だ。皐月賞は位置取りの差で0.4秒負けたが、左回りの広い東京コースならば充分逆転可能だろう。一番の心配は菅原騎手。若いとか実績が少ないとか関係なく、ベテランを蹴散らして勝っちゃう図太さを見せて欲しい。
ディープインパクト産駒
3番 アスクビクターモア
父と同じく弥生賞を勝って臨んだ皐月賞。1番枠から出て逃げて5着。厳しいレースだったが、それでもディープ産駒では最先着だ。今回もいい枠だし、他に逃げたい馬がいるのでうまくその後ろについて行ければ理想的ではないだろうか。そういうのは田辺騎手はうまいと思う。
9番 ジャスティンパレス
ホープフルS2着から直行で皐月賞に臨んだあたりは、最初からダービー目当てだったと思わせる。皐月賞はスタートで煽ってダッシュがつかず、最後の直線でも他馬に寄られてブレーキがかかり9着。本当に強ければそんなのものともしないのだろうけれども、ダービーで必要なのは強さより運。
ダービー馬ではないけれどもダービー馬を出した最後の種牡馬はハーツクライ(2014年ワンアンドオンリー)で、その産駒
12番 ダノンベルーガ
皐月賞は先行してよく粘ったが4着。得意の東京コースに戻れば、大きな馬体で馬群をこじ開けて堂々先頭に立ち、外から追い上げる馬たちを迎え撃つだろう。川田騎手も2度めの騎乗で自信を持って乗るだろうから、期待は大きい。
今年最も運が悪い一番人気になりそうなのは
18番 イクイノックス
大外枠っていうのも運が悪い。しかし、先週のルメール騎手を見れば、本当に強い馬とジョッキーが組めば18番でも関係ないと言える。運の悪さを跳ね返すほどの強さがあるのか。とても興味深い。
素人目に調教の動きがいいと思ったのは
13番 ドウデュース
15番 ジオグリフ
このあたりはさすがという他ない。普通のレースなら優勝候補にあげたいところだが、ダービーでは2着までと予想する。
今週の一点勝負は
7番 オニャンコポン 単勝
オッズは15倍くらいならありがたい。
2022春のG1シリーズ一点勝負 先週まで(中山GJ前まで)の予想結果
-900円 (1レースにつき100円の馬券を買ったとしての数字です)
シーズンごとにG1レースのみ、すべて一点勝負で収支トントンを目指しています。
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