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魔書世界設定誌/Vol1・基礎編

この記事は、コミティア148にて後悔する冊子の全文となります。
一定期間メンバーシップ限定公開記事となりますのでご注意ください。

内海郁

魔術師とは

▼概要
 世界人口の殆どを占める、魔術を行使できる人種のことをいう。
 魔術師が魔術師たるには『属性』を纏う『魔力』を持ち『発動器官』を通し、魔術を行使できるという定義を満たす必要がある。魔術を行使できない人間は『獣の病』罹患者とされ、地域によって差別・崇拝の対象となる。

▼魔術師としての目覚め
 生まれた直後は魔術の行使に必要な臓器が不完全であるため、魔術師として目覚めるのはおよそ6歳~10歳頃が多い。
 発育のよい子どもほど魔術行使ができるようになるのが早いという調査が挙がっている。また類似の調査で、貧民層の平均覚醒年齢は、裕福層の平均覚醒年齢よりも高い事が示されている。

魔術師の個性

▼魔力
 魔術師たるもの、魔術行使の為のエネルギー源が不可欠である。これを『魔力』といい、心臓に付随する形で存在する臓器『粒子臓』によって生成される。この粒子臓の生まれつきの強度によって、魔力の『精度』と『総保有量』が決まってくる。『精度』は行使する魔術の威力やコントロール性に関わり、『総保有量』は一度に保持できる最大魔力量に関わる。

▼属性
 魔術師は生まれつき一つの『属性』を持って生まれてくる。この属性は、行使できる魔術の傾向を示すものであり、大きく六種類に分類できる。
・光……火、光    ・地……大地、生命
・天……風、音    ・闇……水、闇
・理……秩序、定理    ・沌……混沌、歪み
 先天的性格への影響は特になく、遺伝性も確認できていない。

▼発動器官
 魔力を発動する為に必要な臓器、またはその臓器を余裕する部位を指す。発動器官の能力の高さを示す指針に『魔力放出量』というものがあり、一度に放出出来る最大魔力量を示している。
 多くの魔術師は『手元』に発動器官を持つが、『脚』『眼球』『髪』『声帯』等の場所に発動器官を持つ魔術師も存在する。こういったイレギュラーは世界各地の地域によって扱いが異なり、文化人類学を研究する上で重要な視点となっている。
 また、発動器官の場所も遺伝性は無いと言われるのが定説。だが、発動器官の遺伝する一族の例が報告されているのは事実である、

▼例外
 遺伝性がなく、遺伝したように見えてもそれが偶然であったとされる『属性』『発動器官』。だが、これらが不自然な程に遺伝している例もまた存在している。現在の科学では証明不可能であるが、研究者は彼等の先祖が何らかの体質以上であったのではないかと推測している。

魔書とは

▼歴史
 獣の病罹患者の皮膚や骨を素体とし、制作された人革本型の魔術道具。
 形態は地域によってさまざまだが、古くは邪馬台国、メソポタミア文明などからその原型は確認できる。紙の本として確立されたのはパピルス紙の登場と皮なめしの文化が発展して以降である。

▼魔書の作り方
 素体となる者は子どもより、皮膚面積の多い成長した大人が好まれる。
表紙→素体の皮を使用。
   骨や爪などが装飾として使われる。
ページ→中表紙など、重要なページは人革を使用。     そのほかは羊皮紙を使用する。
綴じ糸→髪を使用する。髪が短い者の場合は腸など。
 基本、一人分の素体で一冊装幀されるが、数人分の材料を使って装幀された魔書も存在する。この場合、魔術式が衝突を起こし効果を打ち消し合うか使用者の身が危険似晒される。稀に効果を持つ魔書も存在するが、数えられるほどしか発見されていない。
 一冊の装幀に個人差はあるが早い者で1,2ヶ月。平均半年~1年。最長で90年など様々。
 また、同じ能力を持つ魔書は二つとして存在しない。

装幀の文化

▼装幀師
 魔書を装幀する技術を持った者、または装幀する資格を得た者のことをいう。
 一族の中に一人でも装幀師がいれば家は安泰と言われるほどの高給取りであり、人気の職業。だが、一冊の本を仕上げるのに忍耐と技術双方が必要になるため、志した者の中で夢をかなえられるのはほんの一握り

▼流通
 場所にもよるが、魔書一冊の最低金額は中流家庭の3ヶ月の生活費に相当する。買おうと思えば買えるが、痛い出費である金額。また著名な装幀師、印象的な曰くのついた魔書だとより金額が上がる。
 魔書の販売には、国への申請と販売員資格のようなものが必要。未所持での販売は違法であり、
 上記の理由から貧困層だと入手が難しい。一部の地域では無認可の販売員が劣悪な性質の魔書を販売している。

獣の病とは

▼概要
 生まれつき魔術を行使できない体質を持つ者全般の総称。病名により性質が全く異なり、今もなお解明されていない面の多い、謎多き病である。
 何故「獣」の病かと言われる理由については、「自然界に存在する動物や鳥、水生生物などが魔力を持たない」=「魔術を遣えない人間は獣同然だ」という考え方から。

▼見分け方
 一部の病種を除いて、魔術師か獣の病罹患者かを見分けるのは難しい。だが必ず「魔術が使えない」「魔術攻撃に対する耐性を持たない」という特徴を持つので、魔術を使わせたり魔術攻撃を浴びせれば判別は可能。
 かつて中世で行われた『獣狩り』という獣の病罹患者を炙り出す慣習では、疑いのかかった者に魔術攻撃による審判を行っていた。だが過剰なまでの攻撃により、処刑された者の中には通常の魔術師も少なくない数含まれていたという。

▼獣の呪い
 獣の病の中には、「獣の呪い」という他者に何らかの影響を振りまいてしまう特性を持つものもいる。
 自身によい印象を抱かせる「魅了」、被呪者の欲望を顕在化させる「狂気」、潜在能力を強制的に引き出す「覚醒」など、使い方によっては人を狂わせることも成功させることもできる。

▼獣の血
 獣の病罹患者が子孫を残した場合、ごく稀に獣の病の特性を引き継いだ子供が生まれることがある。その現象・及び発現者のことを「獣の血」と呼ぶ。魔術が使えるが、獣の特性を得た分本来より能力が低下する。

獣の病の種類

▼獣生病
 獣の病の代表格と言える「動物の性質を持って生まれる」病。
 人獣の姿のもの(獣人系)、体の一部に動物の特性が出たもの(半獣系)、普段は人間の姿だが任意で動物に返信できるもの(変化系)の3種類が存在する。

▼アガルクト二
 感覚器官が異常発達しており、他者の思考を読み取る能力をもつ。美しい容姿を持ち、精神が成熟すれば人間の精神を食い尽くす『精神貪食』を行うことができる。

▼ネクタレヴェレス
 優れた容姿を持ち、獣の呪い『魅了』をばら撒く体質を持つ。また、寿命が人間の10倍近いく、心臓を貫くか首を落さない限り死なない頑丈な体を持つ。

▼ベルクグール
 食人衝動と高い身体能力・治癒能力を持つ。精神的肉体的に相性がいい相手程、血肉を美味しく感じるという特性がある。獣の病罹患者にしては珍しく五~七歳までは発症してるか判断できない。

フランス

▼フランス魔書協会
 魔書装幀や魔術師に関する取締や世界有数の装幀師育成機関『パリ=ルリユール学院』の運営。同盟関係を結ぶビブリオ=アレキサンドリアとの情報交換を主に行う。国会とは別の組織であるが、蜜月関係にあるのは公然の秘密。
 フランスに住む装幀師は皆、この協会に開業申請を行わなければならず、また申請を出しても「議席貴族」と呼ばれる幹部たちの了承が得られなければ看板を掲げることは許されない。

▼議席貴族
 9人の協会議員によって構成される、フランス魔書協会の意思決定権組織「議会」。この「議会」に出席できる条件が貴族であることから、着任した議員を「議席貴族」と呼ぶ。
・ラファイエット家
 貴族としては比較的新しい一族だが、議席貴族としては重鎮。彼の議員の鶴の一声で法案の再検討が成されるほどの影響力を持っている。革新派と懐古派の争いを傍観する中立主義を貫いているが、その心中は定かでは無い。
・ザントライユ家
 貴族としても古く、議席貴族としての歴史も長い。「家系図だけで議席を得ている」と言われるほどの超名門一族。だが同時に「好色一族」という俗名を持ち、常に浮いた話がつきまとうことでも有名。議員としては100年近く大人しいが、革命以前の彼等は先のラファイエットにも劣らない権力を持っていた。革新派と懐古派の争いには興味は無い様子。
・フリムラン家
 鬼才排出で有名な貴族。ラファイエット家と同様その歴史は浅いが、独自すぎる魔書想定技術と常に革新的な魔書業界の改革案を提案することから、爵位取得から最短で議席入りした。同行から窺える通り改革派であり、常に先を見た思考を持つことを重要視する。だが、そのせいで懐古派とは対立している。

▼その他の一族
・レイ家
 フランス貴族の中でも特に古いが、議席を一度も与えられた事がない。彼等の体内にはとある『呪い』が染みついており、それを監視管理する為に貴族の称号を与えられたという特殊な経緯を持つ。『呪い』に関しては議席貴族と当主を除き殆ど習知されていない。
・ガルニエ家
 ここ数十年で商家から貴族へと成り上がった一族。議席議員の資格を持ち合わせて居るが、魔書業界の行く末に関しては強い興味はなく、召集があったとしても辞退じている。一族はただ、美しいものがこの世に溢れることを願ってい。現在はオペラ座の管理者としての仕事に追われている様子。
・オルフェーヴル家
 魔書装幀には欠かせない金属細工の製作を生業としている古参貴族。特徴的な髪色と瞳の色を持ち、地を引く者は皆脚に発動器官を持つという一風変わった一族。だが数年前相次ぐ当主や分家長の死去によりまとまりがとれなくなっており、よく問題として議席の話に挙がる。

▼教育機関
・パリ・ルリユール学院
 フランス国内で最も学生数の多い教育機関であり、フランス魔書協会が管理する組織の中で最も大規模かつ重要とされている。近年では緩和されてきたが、徹底的な貴族主義が目立っており、未だ一般家庭出身の生徒は少ない。学院内での権力争いもかつて活発に行われていたとか。
・マルセイユ=ルリユール学院
 同じく装幀師や魔書関連の職人を育成する為に設立された。こちらは1913年設立と比較的新しく、主にアレキサンドリアとの交流を活発化する為に作られた。規模はパリの半分以下。学生に貴族出身が少ないことから、職人気質な者が多い。また、留学等も活発で、異文化交流の果てに生まれた名著も多数。
・リヨン国立魔術学園
 魔書装幀師育成が盛んなフランスの中では珍しい魔術師育成に特化した教育機関。他の学校と同じく上流階級出身者が在籍表の多くを占めているが、年齢幅が広いことが特徴。入学試験さえ突破できれば誰でも入学が可能だが、その難易度が極めて高く、合格者の時点で既に精鋭部隊が結成できると言われているほど。

英国

▼ペンドラゴン十三騎士団
 5〜6世紀活躍したというアルトリウス王と円卓の騎士にあやかり結成された団体。国の警備やら戦場での指揮、医療、貿易、魔書装幀など各々専門分野を持つ 12の騎士団で構成されている。
 ロンドン=ペンドラゴン城を中心に各地に拠点が設けられており、英国の隅々まで手が届くように組織されている。多くの国民に撮って騎士は身近な存在であり、憧れの対象でもある。
 いわば公務員的なポジションであり、試験に通過すればどの身分出身でも当人限りの貴族称号と安定した収入を得ることができる。と、されているが、そもそも教育を施してもらえる環境に生まれなければ入団は難しく、労働者階級出身者は少
ない。また、出身階級による内部差別も後を経たない。

▼騎士団の歴史と現在
 起源については諸説あるが、10世紀ウェセックス王国王アゼルスタンの設立した近衛騎士団が最古であるという節が最も有力とされている。明確に「ペンドラゴン十三騎士団」の名前が出てきたのは、14世紀の歴史学者トマス・クーガンの著書内におけるプランタジネット朝の近衛騎士団及び魔書装幀組織としてである。

▼国立ペンドラゴン騎士学院(アカデミー)
 騎士は基礎能力や愛国心を問え荒れる『騎士団試験』に合格して受勲するものである。その前課程として『国立ペンドラゴン騎士学院(アカデミー)』と呼ばれる機関が存在する。ここでは2年間にわたる試験合格のための教育が施されており、ここへの入学が登竜門とされている。現在在籍する騎士の9割はこのアカデミー出身。
 だが、一割はアカデミーを通過せず騎士になったり、様々な事情から「騎士として受勲せざるを得ない状況」に陥り騎士になった者も存在する。

▼獣の病に対し友好的な国
 大半の欧州では獣の病の罹患者の人権について考えておらず、家畜同然の仕打ちをしているのに対し、英国は魔術師と平等に扱い補助制度を整えたり、騎士団試験の際に評価点を上乗せし騎士に就きやすくするなど、他では考えられない扱いをしている。そのため、大陸から迫害を逃れ英国に渡る罹患者も多い。
 獣の病罹患者への福利厚生の手厚さだが、『国家そのものがアレキサンドリアと癒着していること』『国民の支持を得る英雄譚・アーサー王物語に獣の病の騎士が存在すること』に起因しているといわれている。
 獣の病罹患者に補助制度を使わせることによって、厳密な戸籍の管理を行うことが魔書素体の確保や病の進行推移などを集計して統計を取り、資料としてアレキサンドリアに提出しているのでは。騎士団の設立にアレキサンドリアが深く関わっているのではという都市伝説が存在する。
 真偽の程は定かではないが、多くの獣の病罹患者が英国にて穏やかに生を終えていることは確かである。

▼違法魔書問題
 1910年代、英国は『違法魔書問題』に直面している。これは、市場に流通した『劣化魔書』によって引き起こされた事件全般を指す。これらは本業の魔書装幀師や販売元の収入の減少や、劣化魔書の行使によって引き起こされる魔力暴発事件などの社会問題となった。
 騎士団が総力を挙げて製造元の調査を行っているが、未だ不明。素体や製造元の心理等様々な疑問が渦巻いている。

▼アルトリウス王伝説
 トマス・クーガンにより編纂された、イングランド及びウェールズの伝説的君主の物語。欧州でも絶大な人気を誇る騎士道譚である。かつては実在してたとされているが、近年はその存在を疑問視されている。元になった物語もあるのではと研究者の間で議題に挙がる。実際にアルトリウス王の元となったローマ将軍のアルトリウスの存在が確認さている。

▼競馬
 英国発とされる競馬文化は、初めは貴族間での遊技として楽しまれていたが、現在は一般人やブックメーカーも加わった一大祝祭として多くの国民に指示されている。また、ロイヤルアスコットを初めとした祭典には騎士も騎手に扮しパレードを行い、11月の末にはペンドラゴン騎士団によるその年の人気馬を13頭集めたグランプリレース『ペンドラゴンカップ(通称聖杯競走)』が開催されている。

プロイセン(ドイツ)

▼歴史的背景
 遡ればゲルマン人・アングロサクソン人の国というルーツを持つプロイセン(ドイツ)は、魔書の盛んなフランスやイギリス、またはそれらと深い関わりを持つビブリオ=アレキサンドリアとは、余り交流がなかった。
 故に魔書の技術はあまり発展せず、近世に近づくにつれ、代わりに医療魔術を中心とした魔術技術や錬金術が発達することになった。

▼薔薇十字団
 上記の歴史背景上、多くの錬金術師がドイツに集まることになった。中でも、魔書の普及が徐々に広がってきたフランスから、錬金術師の流入が盛んになった。国家同士で仲が悪くても志を同じくする者同士、共に切磋琢磨するという意思があった。そこから生まれたのが『薔薇十字団』である。
 薔薇十字団は欧州の錬金術師コミュニティとして、才能ある者を国内の学院に招待したり、研究発表の場を設けたり等活動をつづけている。

▼獣の病の研究
 ビブリオ=アレキサンドリア同様、この国の研究者たちは『獣の病』に対する強強い探究心を持っている。そこで錬金術と医療魔術を組み合わせた技術によって、日々その核心を迫る研究が行われている。その勢いはアレキサンドリアを上回る勢いであり、人工的に獣の病の子どもを産む方法を理論上確立しているとも言われている。その真偽は定かではないが、研究関係者の相次ぐ死はその信憑性を増長させている。

▼プロイセン王国立アルケミストアカデミー
 錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーがフリードリヒ1世の融資を受け、1710年に設立した錬金術の学校である。多くの優秀な錬金術師を輩出することで有名。
 入学試験時に「特定の鉱物の生成式を組み立てる」と言う課題が出されるのが定番。その完成度によって合否を問い、同時にクラス分けも行うという特殊な試験方法をとるという手法でより学生に合ったカリキュラムを採用している

▼国立ベルリン魔術医療大学
 ベルリンの中心に存在する、医療を魔術的観点で学習・分析する大学。小規模ながらも優秀な人材を多く輩出しており、『発動器官』『粒子臓』などの臓器概念を確立させたのはこの学校の出身者であるのは有名な話。
 閉鎖的な国内に対し、教育機関の多様性は高いこの国であるが、特に当校は様々な国籍を持つ学生が多い。これは比較的安価な入学費と歴代校長の意向の結果と言える。


東洋諸国

▼中国:阿片戦争の名残と跋扈する犯罪組織
 先の阿片戦争にて、清には阿片が広く普及した。英国が撤退してからも国内で阿片の製造は止むことはなかった。中でも、古くから地域に根差した犯罪組織では、阿片の依存性を更に高めた薬品を製作・流通させることで利益を得ている。彼らは欧州進出も視野に入れており、近々米国に阿片窟を立ち上げる予定があるという。

▼中国:各地に存在する『摩天楼』
 広い清の中にぽつんと存在するガラス製の摩天楼。近代科学技術の結晶ともいえる建造物だが、なぜこの地に建っているかは不明。突如として建設され、阿東的な威圧感をもってして住民たちを黙らせた。
 管理者はころころと変わりつつあるが、もっとも最近の管理者は『美術品のバイヤー』と記録されている。

▼日本:獣の病に関しての独自の文化
 大日本帝国では、獣の病の罹患者を八百万の神の分け御霊と解釈しており、国にて幼少から厳重な教育が行われている。どれだけの獣の病の罹患者を集め、その遺体から回収できる素体及び魔書も、専門家が全て管理している。だが、これは明治政府が始まって以降の話であるため、それ以前についてはまた別の話。
 彼らは軍神として一般兵と共に戦場を駆ける。日清日露戦争においても、彼らの活躍があったからこそ、弱小国であった日本は勝利できたと解釈されている。

▼治安維持組織『魔獣同盟』
 九州から本数全土にかけて、『魔獣同盟』なる組織が活動している。これは
 また、同名の犯罪組織が米国をはじめとして活動しているが、元は同じ組織であったという噂がある。それはさておき、日本の魔獣同盟が犯罪組織とはかけ離れた存在であることは確かだ。

▼伝統技法集団『自在天元派』
 魔術師の多くは、腕に発動器官をもつものが多い。だがこの自在天元派は、髪を発動器官とする者しか入門できない特殊な職人工房である。彼らは自在細工と言われる金属製の造形物を製作する一門で、完成までの過程において、魔術で金属化させた自身の髪を編み込む。そうすることで、自律式移動発動器官として使用することができる。
 製作者本人しか使用できないものの、その文化的・美術的価値は高く評価されている。

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