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将来のエネルギーマネジメントにおける需要サイドの役割

東京電力パワーグリッド 取締役副社長執行役員最高技術責任者 岡本浩

これから進む発電側の脱炭素化と需要側の電化・AI/機械学習(ML)による自動化の進展により、カーボンニュートラルと第4次産業革命が同時実現されると想定されます。
 
現在のエネルギーマネジメントの仕組みは左図の通り、変動する需要に合わせて火力発電や揚水発電を調整することで電力系統内の需給バランスを保っています。電源の脱炭素化が進むと、ベースロード電源である原子力、水力、地熱、潮力に加えて、出力が変動する太陽光や風力が供給電源になります。したがって、将来のエネルギーマネジメントでは、右図のように電源の変動に応じて需要側を調整することになり、調整対象が現状とは完全に逆転することになります。
 
今後は需要側のヒートポンプや定置用蓄電池を柔軟性の源泉として活用することが可能です。また、AIやブロックチェーン・マイニングなど、クラウドコンピューティングのワークロードシフトに適した柔軟な消費にも注目すべきです。さらに、自動運転される電気自動車、ドローン、ロボット、その他のモビリティ・デバイスに内蔵されたバッテリーやコンピューターは、これらのマシンが移動していないときには分散型電力貯蔵設備や分散型コンピューティングの源として社会全体で活用することができます。
 
結論として、デジタル技術は、こうした豊富な柔軟性の源泉を活用することで、需要と供給のバランスを維持するのに役立つと考えられます。
 

本稿はEnergyCentral.comへの以下の投稿記事を和訳したものです。
 
"Future load management envisioned by TEPCO Power Grid"