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電力業界の今を紐解く

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電力業界の有識者に寄稿いただいた玉稿です。
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#一般送配電事業者

今冬の電力需給逼迫をどのように見るべきか(その2)2021年04月16日

市村 健:エナジープールジャパン株式会社 代表取締役社長 (エネルギージャーナル社『環境とエネルギー』2021年3月4日付からの転載) 前回は、中長期的視点で今冬の電力需給逼迫を考えた。そのポイントは、欧州との比較においての三つである。第一にエネルギーセキュリティの重要性、第二にBGに対する供給義務マインドの更なる醸成、そして健全な市場構築に必要な情報公開の励行である。既に政府の審議会では様々な検証が進められているが、ここではDSR(需要側リソース)目線で、即応性のある対

第2回オークションに向けた容量市場の見直しについて(上) 2021年05月24日

戸田 直樹:U3イノベーションズ アドバイザー       東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所 1.はじめに(改めて第1回オークション結果について) 第2回メインオークションに向けた容量市場の見直し議論がこのほどまとまった(経済産業省(2021))。2020年9月に行われた第1回メインオークションの中で指摘された課題を受けての見直しである。第1回メインオークションについては、約定価格が上限価格近くの14,137円/kWとなったことが耳目を集めたこともあり、実

第2回オークションに向けた容量市場の見直しについて(下)-併せて戦略的予備力、カーボンニュートラルの電力市場- 2021年05月24日

戸田 直樹:U3イノベーションズ アドバイザー       東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所 (上)から続く (5)減価償却費の扱い 細かいところで、一点指摘する。とりまとめの中に『「容量市場における入札ガイドライン」では、電源を維持することで支払うコストに減価償却費が含まれるかどうかについて、明記されていないため、明確化すべきというオブザーバーからの意見があった。取り扱いを明確化するため、電源を維持するために支払うコストに減価償却費を含めないことを