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電力業界の今を紐解く

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電力業界の有識者に寄稿いただいた玉稿です。
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#供給力

容量市場/Energy Only Marketと信頼度基準について(上) 2021年01月19日

#本稿は、第9回公益事業学会政策研究会(電力)シンポジウム「電力自由化20年の検証と2050年への展望」(2021年1月18日)におけるプレゼンテーション内容に加筆したものである。 【はじめに(再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースによる意見)】 内閣府に設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」が「容量市場の対する意見(以下「TF意見」)」を公表した。当該意見において、容量市場の必要性について次のように指摘されている。 『

この冬の電力需給のひっ迫と電力市場価格の高騰について 第1回 市場価格高騰は異常事態であったのか 2021年02月22日

【はじめに】 2020年年末から2021年年始にかけて発生した電力需給のひっ迫と電力市場価格については、経済産業省の審議会は勿論、内閣府の再エネ規制総点検タスクフォース(以下「再エネTF」)でも取り上げられるなど関心が集まっている。今回の事象は、東日本大震災後に競争促進に大きく舵を切って進められた電力システム改革の課題をいくつか顕在化させたものと考えられ、今後の電力システム議論に重要な示唆を与えるものと考える。 本件については「異常事態である」とか「市場構造、市場制度が原因で

この冬の電力需給のひっ迫と電力市場価格の高騰について 第3回 テキサスで10年ぶりの輪番停電 日本は燃料調達のリスクにどう対処するか   2021年03月02日

【はじめに 再エネTF提言について】 2020年年末から2021年年始にかけて発生した電力需給のひっ迫と電力市場価格について、第1回、第2回では内閣府再エネ規制総点検タスクフォース(以下「再エネTF」)周辺から提起された「異常事態である」「市場構造の問題である」「市場制度が不備である」といった論点を考えてみた。率直に言ってこれらの論点提起は、一部関係者の利害には影響するものの、筆者は本質的な問題とは思わない。 他方で、再エネTFの2月3日会合で公開された緊急提言は、今般の

あいまいな定義/戦略的予備力とは何か 2022年07月04日

戸田 直樹:U3イノベーションズ アドバイザー       東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所 (電気新聞 2022年7月1日版 3面掲載記事を転載、一部修正、追記あり)  内閣府の再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(TF)は電力需給逼迫を受けて4月25日に公表した提言の中で、戦略的予備力の活用に言及した。これに対し東京電力ホールディングス経営技術戦略研究所経営戦略調査室チーフエコノミストの戸田直樹氏は、「戦略的予備力」の定義をい