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デザインはワクワクを形にしていく道中に、あかりを照らしていく共同作業 〜AKARI DESIGN / コドモト代表 山本 安佳里〜

U35-KYOTO
京都の今を生きるU35世代の価値観を集めたメディアです。
次期「京都市基本計画(2021-2025)」を出発点に、これからの京都、これからの社会を考えます。


法人・個人のクライアントからの受注を中心に、プランニングから寄り添って考えるデザイナーの山本安佳里(やまもと・あかり)さん。当メディアを運営するU35-KYOTOのロゴデザインも担当。

京都への移住と出産をきっかけに「コドモト」を立ち上げ、未来を担う子どもと、まちや文化をつなぐ活動を行うなど、幅広く活躍中です。

そんな山本さんが大切にされている価値観「# 正解って1つじゃない」「# 良いことは分かち合い循環させたい」「# 自分の感覚に素直になる」について迫ります。

当事者になって分かった、解に捉われず変化を楽しむ大切さ

───普段どういうお仕事や活動をされているのか、教えてください

山本安佳里(以下、山本):企業やNPO、個人の想いを、ロゴやWebサイトなどの制作物を通して、どう表現していくかを一緒に考えながら、デザインやプランニングを行っています。

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元々は、プロダクトデザイナーとして長野や東京でキャリアを積んできました。今となっては良い経験と捉えていますが、20代の頃の私は、がむしゃらに働き、お医者さんに「このままじゃ、死ぬよ。」と、言われるほど持病が悪化していて。
でも、まだ死にたくないなと思ったので、勇気を持ってスピードダウンする決心をしました。その後、仕事もズバッと辞めて、夫の転職を機に京都へ移住することにしたんです。

京都で暮らす中で、何十年、何百年とその土地で生きる人々に受け継がれる歴史や伝統が、日々の生活にたくさん根づいていて、とても美しく、私が育った北海道とは違う時間軸の歴史が足元に流れていると感じました。

もともと私は、土地に縛られたり、固定の場所に根っこを生やさずに生きていきたいと思っていましたが、移住のタイミングで出産・子育てを経験したこともあり、この京都という土地に根を生やして、子どもたちと一緒に過去と現在と未来を、私も繋いでいきたいと考えるようになりました。

そして、よそ者の私だからこそ感じたこの土地のおもしろいまちの文化や魅力を、未来を担う子どもたちとも共有し、バトンを渡したいという想いから「コドモト」を設立したんです。

コドモトでは日本三大祭りの1つである京都・祇園祭で、子ども連れのファミリーが休憩しながら祇園祭の歴史に触れることができる、こどもステーションの設置やマップ制作などを行うプロジェクト「こどもと行こう!祇園祭」を開始しました。

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───心機一転、行動したことでどんな変化がありましたか?

山本:新しい土地での生活やコドモトの活動を通し、自分もゼロからイチをつくる挑戦をしたことで、今までのクライアントさん達がワクワクしながら一歩踏み出した道中には、葛藤や迷いも共存していたんだなと分かりました。

また、自分の思い通りにいかないことはたくさんある、ということを子育てが教えてくれましたね。子育ては正解があるわけでもないし、自分の思うように相手をコントロールすることでもない。私は、頑固で負けず嫌いな面も持っていたのですが、子育てをする中で、もっと柔軟に生きていくことが大切だなと思いました。

このような気づきから、デザインすることやものづくりは、ただ完成品を提供するだけではないと思ったんです。それ以降、クライアントが目指すゴールまでの道のりにあるモヤモヤに寄り添いながら、心地よい正解を一緒に探す柔軟性を持ったデザイナーを志すようになりましたね。


■文化のバトンを繋ぎながら、みんなでよりよいものへアップデートさせていく

───人と一緒になにかをつくるときに大切にしていることを教えてください

山本:面白いなと思ったものを互いに共有して、よいものはどんどん活動に取り入れていくことを心がけています。コドモトの活動初年度に祇園祭で設置したこどもステーションの役割は、子ども連れのファミリーが避暑するためであったり、屋台で購入したものを食べてもらったりといった場の提供が中心でした。

でも、私たちが本来やりたいことは、祭りを快適に過ごしてもらうための場の提供だけでなく、文化や歴史をもっと近くに感じてもらい、子どもたちにバトンを繋いでいくこと。

活動回数を重ねる中で、そもそも祇園祭についてあまり知らない人や、宵山の露店しか行ったことがない人が、とても多いことを知りました。
反面、本当は祇園祭のことを知りたいし、我が子へも伝えたいと感じる大人が多数いることも実感し、山鉾連合会や保存会の方のご協力のもと、「厄除ちまき」や「お神輿」などを親子で学ぶワークショップも行うことにしたんです。
「これいいかも!」と思うアイデアを共有しながら、積極的に実行してみることにしましたね。

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時には、一緒に活動するメンバーや大人からのアドバイスではなくて、参加してくれた子どもからヒントをもらうこともあります。
ある子どもがワークショップ中に言った「お神輿は神様が乗るタクシーなんだよ」という言葉は、大人の私たちでは思い浮かばない発想で、目から鱗でした。その素敵な言葉をお神輿の説明をする際に私も使わせてもらうなど、みんなでつくっていることを実感しています。

世代や年齢関係なしに、人にはそれぞれ魅力や能力があると思います。そんな素敵な人たちと一緒に何かできること自体、楽しい。だからこそ、もっとその面白味をいろんな人と分かち合いたいし、知って欲しいんだと思いますね。


───共有することや分かち合うことを大切にしたいと思ったきっかけはありますか?

山本:学生の頃、通っていた美術大学で卒業制作をしていた際に、作品に込めたい自分の想いをうまく消化できなくて苦戦したことがあります。そのときに教授から、「あなたが面白い、よいと思うことは、個人の感覚ではあるけれども、世の中には同じような感覚を持った人や賛同してくれる人もいるから、外に出した方がよい」とアドバイスをいただきました。

その言葉を受けてから、仮に自分と同じ感覚を持った人が身近にはいなくても、きっと世界中のどこかに一人はいるだろうと考えられるようになり、自分の感じたことや想いを素直に表現してみていいんだなって思うようになったんです。


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■常に人から学ぶことで自分の五感を磨きつづける

───今後もつづけていきたいことや展望を教えてください

山本:私は「人」が好きです。くらしや活動・仕事を通し、さまざまな人たちと出会います。当たり前ですが、同じ人は一人もいなくて、その一人ひとりから学ばされることがたくさんあるんです。人とのコミュニケーションから生まれるものを大切にしたいので、尊敬できる人たちのスタンスを、常に自分に照らし合わせてチューニングしつづけたいと考えています。
自分の心のアンテナに素直になって、耳を傾けて行動することが、心地よい人間関係づくりや活動にもよい影響を与えていくんじゃないかなと思うんです。

あと、常にニュートラルで居たいと思っています。何かに傾いていると物事の見え方にフィルターがかかって、異なる捉え方をしてしまったり、 新たな魅力が見えなくなったりしてしまいます。色々なことに凝り固まらず自由な感覚を開放しておきたいですね。

何事も、楽しそうなことをやってみる柔軟性と好奇心を大切にして、これからもいろんなことに挑戦していきたいです。正解があるようで、ないことも、一緒に歩む道を手探することもデザインの楽しさです!

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<インタビューを終えて>
取材中、終始優しい眼差しで、ご自身のルーツや活動にかける想いを語ってくださった山本さん。節々から伝わる柔らかな雰囲気を纏った中にある芯の強さ。その背景には、これまで出会った人たちから受け取ってきた目には見えない、でも確かなバトンがあるのだと感じました。文化や伝統を次世代に繋いでいくだけではなく、山本さんから溢れる温もりもセットで届いていくんだろうなと思います。これから山本さんが、どんな人生をデザインしていくのかとっても楽しみです。


今回集まった新しい価値観は3つでした。

「# 正解って1つじゃない」
「# 良いことは分かち合い、循環させたい」
「# 自分の感覚に素直になる」


<山本安佳里(やまもと・あかり)さんのプロフィール>
1984年札幌市出身。デザイナー/ プランナー/ コドモト 代表/ 二児の母。
多摩美術大学・生産デザインプロダクトデザイン学科卒業。
メーカーのデザイン事務所にて従事し、2015年より「AKARI DESIGN」開始。ブランディングやディレクション、グラフィックデザイン、プロダクトデザインと多岐に渡り活動中。2014年より京都へ移住し出産。自分自身が母になったことをきっかけに、「こども=未来」だと実感し「コドモト」を立ち上げる。未来を担うこどもと一緒に文化・伝統・芸術を繋ぐ場をデザインすべく、多様な価値観を育んでいけるカタチを日々模索中。「こどもと行こう!祇園祭」主催。


<山本安佳里さん関連URL>
・AKARI DESIGN 


・コドモト

取材・文:ワカモノラボ代表 有馬華香
写真:其田 有輝也


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