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豊かな人生は手をつなぐことからはじまる 〜株式会社ロマンライフ 河内 康太朗~

京都の今を生きるU35世代の価値観を集めたメディアです。
次期「京都市基本計画(2021-2025)」を出発点に、これからの京都、これからの社会を考えます。

京都の洋菓子店として有名な「京都北山 マールブランシュ」を運営する株式会社ロマンライフで取締役を務められている、河内康太朗(かわうち こうたろう)さん。
マールブランシュは「茶の菓」が有名ですが、実は侘家(わびや)事業部として、飲食店や調味料の販売をされるなど、お客様の心と体が喜ぶ事業を展開されていています。

河内さんは、侘家事業部の事業部長として、事業構築から企画立案を手がけられ、これからの飲食・食品販売に挑戦されています。
そんな河内さんが大切にされている価値観「#人生が豊かになる選択を」「#この世界は素晴らしい」「#未来のために手をつなぐ」について迫ります。


───普段どういうお仕事や活動をされているのか、教えてください。

河内康太朗(以下、河内):2018年より、物販と飲食店事業の事業構築から運営までを行っています。「マールブランシュが飲食?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は喫茶店からスタートした会社なので、はじまりの事業でもあるんです。

今の仕事を拝命した時には、飲食事業そのものを改革する必要があり、事業を作り直すためにテーマ探しから取り組みました。

お客様に美味しいご飯をもっと届けたい。飲食店の売上が席数や回転数の限界を越えられない。こうした課題をどう解決するか、飲食の原点とは何か、お客様が喜ぶことは何か。考えられることをひたすら試し続けた結果、調味料の物販業態をはじめることにしました。

今、祇園や京都駅、先斗町に構えるお店に、2020年4月にリリースしたうまみ調味料を置いて、お店に「試食」という新たな一面を持たせています。これによってお店からお家まで、お客様に一気通貫して楽しんでいただき、これまでと違うところで売上を見込めるようになりました。

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■1つ1つの選択が人生の豊かさに繋がる

───河内さんが大切にされていることを教えてください。

河内:人の人生はどうやったら豊かになるのだろうと、常に考え、行動することを大切にしています。

例えば、社員の退職の相談を受ける時も、「退職することで、あなたの人生は豊かになりますか?」と聞くんです。
会社も人も十人十色なので、実際に働いてみて合う合わないがわかることって多いと思います。だからこそ、合わない時は、違う場所でその人の人生が豊かになれるように応援したいですよね。
逆に、社員が職場で楽しそうに仕事をしていたり、仕事を通じて成長する姿を見たりすると嬉しくなります。人が豊かになっていくことが、僕のやりがいにつながっているんです。

■角度を変えることで生まれる幸せ

───豊かさって素敵なフレーズですね。他にも大切にされている想いをお聞きしたいです。

河内:僕の座右の銘は「この世界は素晴らしい」なんですね。
みんながそれぞれ持っている自分自身の世界を、素晴らしいと思えるかどうかということです。自分の人生を振り返ってみた時に、オシャレもできる、美味しいご飯も食べれる、こうして明るいところで楽しくお話しもできる。当たり前のことを見つめ直すと、恵まれているな、素晴らしいなと感じるんです。そう思うと、なんでも前向きに感じられませんか。

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「仕事が大変だ」と思ったとしても、もし働けなくなったら辛いだろうな、仕事があることはありがたいな、と別の角度から考えるんです。
もちろん、朝起きて、二日酔いでしんどいなぁと思う時もあったりしますよ(笑)。
それでも徐々に元気になってきて、夕方には仕事を終えた達成感が生まれる。
やっぱり今の仕事があるって素晴らしいと感じられるんです。


■仕事とプライベートの繋がりをどう受け止めるか

─── 今の社会の中で、違和感を覚えることはありますか?

河内:プライベートと仕事を切り離して考えるということに、時折違和感を覚えますね。

以前、東京で働いていた時に、暗い顔をしている企業人が多いなと感じることがあったんです。家族のために働いているけど、会社で暗い顔をしていたり、会社では元気だけど、家族を蔑ろにしている人がいたり。
プライベートと仕事を分けて、割り切っているような感じが気になったんです。

本当はプライベートも仕事も充実させたいけど、諦めてしまっているような感じといいますか。家族のために仕事をしていても、暗い顔をした自分を見た家族は幸せに感じないと思うんですよね。家族の幸せというのは、自分も幸せであることが必要だと思うので。
だからこそ、仕事も充実させることが大切で、切り離して考えない方が、楽しいと思うんです。

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■これからの仕事のやりがいの生まれ方

─── 仕事を充実させるためのポイントなどありますか?

河内:ロマンライフでは、お正月も働いている社員が多いのですが、みんな笑顔なんですよ。
お正月休みって、ゆっくりしたり旅行に出かけたりとお休みとしての楽しさがありますよね。それとは違った楽しさがうちの会社にはあって。
お正月、朝から社員が妙にハイなんです。忙しい分、沢山のお客様に喜んでもらえることがわかっているので、まるで文化祭の朝のようなテンションなんですね。その勢いで仕事に打ち込んでいくと、1日の終わりには、大きなことをやり遂げた後の充実感に満ちていい笑顔になっているんです。

大変な仕事もみんなで取り組むことで、達成感や喜びも分かち合うことができる。しんどさが大きい分、返ってくるものも大きいですよね。大の大人が涙を流して喜べるって、それだけ大変なことを成し遂げた時だと思うんです。
一人ひとりのモチベーションもあると思うんですが、みんなで苦楽を共にすることで得られること、それが仕事でのやりがいにもなっていくと思います。

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■お互いの良さを活かす繋がりを創る世代

─── 一人でなくみんなでというのは大事なキーワードですね。経済という大きな視点で見た時に、会社も複数の会社で苦楽を共にするということになりそうですね。

河内:そうなんです。コロナ禍の今、京都はいい意味で変革期に、厳しい視点から見ると危機にもあると思っています。例えばですが、過疎地域の温泉街だと、「街一体でこの危機を乗り越えるぞ!」と手を取り合っていますよね。
一方で京都は恵まれていて、京都というブランドがあるおかげで、そうした危機にならず、街全体でなんとかしなければ乗り越えられないということはなかったと思うんです。
だからこそ、お互いの価値を出し合ってシナジーを生み出していく、手を取り合っていくことのポテンシャルを感じるんです。

京都には、歴史と文化を持った老舗企業から、元気なベンチャー企業、住民自治を主導に進めてきた地域や町衆、他府県から集まる学生さんという活力もあります。
企業と企業が、企業と地域が、企業と行政が、色んな形で手を繋ぐことができますよね。
伝統を崩すわけでなく、良さを活かしていくような繋がりができると思うんです。

こうしたシナジーを僕ら若い世代が創っていくことが大事だと考えています。
まずは、年に1回だけでもいいので、組織や業界の垣根を超えた繋がりが生まれる場をつくりたいですね。実は、U35-KYOTOと京都の若手経営者の団体を掛け合わせることができないかと考えています。
お互いが持っている価値を出し合って掛け合わせてくような場のイメージです。そうすることでこの危機的な状況を「待つ」ことから「行動」へとシフトしたいと願っています。


今回集まった新しい価値観は3つでした。
「#人生が豊かになる選択を」

「#この世界は素晴らしい」

「#未来のために手をつなぐ」



■取材を終えて
河内さんのお話の中で、「僕」という主語以外に「京都が」「社員のみんなが」「お客様が」と自分以外の誰かが登場する場面がたくさんありました。
それは、自身のことだけでなく、常に誰かの事を想って話されている河内さんらしさ。
関わる人々の幸せを願い行動することが、人生の豊かさにつながる。それを体現するような姿勢が印象的な河内さんでした。ぜひU35-KYOTOとの共創を楽しみにしております。


<河内康太朗さんのプロフィール>
1986年 京都市生まれ。2009年同志社大学経済学部を卒業し、同年4月にエースコック株式会社に入社。2014年にエースコック株式会社を退職し、同年8月に株式会社ロマンライフに入社。商品開発部、マーケティング部を経験し現職に至る。
マーケティング部在職中には「夏向けお濃茶ラングドシャ涼茶の菓」、「ボンボンショコラ きょうの宙」等を企画。 広告・宣伝に頼らない、お客様とメディア関係者とのキズナを大切にした広報活動を展開。現在は侘家(わびや)事業部の物販・飲食事業を推進中。

<株式会社ロマンライフ>

<京都祇園 侘家古暦堂>

<京都祇園 侘家古暦堂 うま味さん>


取材・文:仲田匡志(株式会社MIYACO / フリーランス)
写真:其田 有輝也


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