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「ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界」を見て、「百貨店展―夢と憧れの建築史」を見て、「鉄道と美術の150年」を見た日。

12月×日
TOHOシネマズ日本橋で「ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界」(ドン・ホール/クイ・グエン)
何よりもびっくりしたのは、自分の他に観客がいなかった事。
けっこう長いこと映画を観てきて、それなりに客の少ない映画館も経験してきたが、客が最初から最後まで完全に自分一人というのは初めて。
ネットでのレヴューを見ると貸し切り状態だったという話が複数。
そんなに入っていないのか、ディズニーなのに。
まあディズニーはもうあまり映画館で公開することに力を入れていないみたいだが。
内容は、別につまらなくはない。
悪くないSF映画である。
ま、抜群に面白いとは言わないが、同じ監督(ドン・ホール)の「ベイマックス」よりはこっちの方が好き。

× × × × × ×

その後、日本橋高島屋へ。
高島屋資料館TOKYO4階展示室で「百貨店展―夢と憧れの建築史」

そういえば日本橋高島屋って入るの初めてだな。
生まれて初めて一人きりの映画館で映画を観て、生まれて初めて日本橋高島屋に入る。
この歳になっても生まれて初めての経験というのは色々あるものだ。
さて、「百貨店展」・・・入場無料だし、ちいさなギャラリーみたいな所なんだろうな、とは思っていたのだが、思っていた以上に小さい部屋。
ちょっと期待外れ。
戦前の豪華な百貨店の写真とか面白いものがあったので、もっと色々見たかった。
一番の拾い物は、サミュエル・フラー監督の「東京暗黒街・竹の家」(1955)が、壁に投影されていたこと。
この作品は未見。
日本を舞台にしていて、山口淑子や早川雪州も出ているらしい。
今回投影されていたのは、松屋浅草店の屋上遊園地を舞台にした7分弱のシーンなのだが、これが本当に素晴らしかった。
サミュエル・フラーは有名な監督だが、晩年の2作しか観たことがない。
しかしこの7分弱はここ数年見たどんな新作映画よりも素晴らしかった。
3回続けてぼーっと眺めていたので、20分くらいそこに立ち尽くしていたらしい。

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日本橋高島屋を出て、歩いて東京駅へ。
東京ステーションギャラリーで「鉄道と美術の150年」

日本の鉄道150年の歴史を美術から見ていくというコンセプト。
こういう、ジャンルを横断するような展覧会だと、思いがけない作品/作家に出会うのが醍醐味だ。
5つばかり印象に残った作品を挙げてみる(写真撮影禁止だったので画像は無し)。

1.勝海舟「蒸気車運転絵」
・・・ぼくの勝海舟に関する知識といえば、
① たしか幕末あたりに活躍した人(無血開城に関わりがあったような気がする)
② 江戸っ子
③ お父さんの書いた本が有名
という程度だったが、この展覧会で
④ なかなか味のある汽車の絵を描いた人
という知識が加わった。

2.不染鉄「山海図絵(伊豆の追憶)」
・・・以前テレビで紹介されていて興味を持った作品。
いつか実物を見てみたいな、と思っていた絵があってびっくりした。
精緻なミニチュアモデルみたいな日本画。

3.松本竣介「駅の裏」
・・・それほど沢山の作品を見たわけでもないし、詳しくも無いのだが、何十年か前に国立近代美術館で「Y市の橋」という絵を見て以来、ずっと自分の中に引っかかっている画家。
これは初めて見る作品だった。

4.柳沢信「新宿〈都市の軌跡〉より」
・・・これは絵ではなくて写真。
新宿の、廃線になった路面電車の線路の上を歩く女性を捉えた作品。
写真についてはまったく知らないのでこの写真家がどのくらい有名なのかはわからない。
ただ、路面電車/自分が生まれた前後の年の日常風景、という好みの題材で、とても気に入った。

美術館から出た回廊の部分には東京駅に関する模型などが展示されている。

実際に使われていた手すり
1914年の東京駅の模型
1964年の東京駅
2014年の東京駅

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