そういうわけで、林芙美子の「浮雲」は面白かった。
今のところそのほかの作品も読もうかという気にはなっていないが、林芙美子に対する興味はなんとなくまだ続いていて、思い立って新宿区中井にある「新宿区立林芙美子記念館」に行って来た。
西武新宿線の中井駅から歩いて5、6分といったところ。
林芙美子の生涯の最後の10年間を過ごした家を公開している。
記念館と云っても資料の展示等はそれほど多くなく、基本的には建物や庭を見せる記念館である。
林芙美子はこの記念館になった建物を建てる前からこの近辺・・・新宿区西部・・・落合、下落合、中井の辺りに住んでいたらしい。
落合に越して来たのは「放浪記」が出版された昭和5年。
この記念館の建物が建てられたのはその十年ほど後である。
記念館になっているこの家は、
こんなコンセプトでつくられたそうだが、
「どんな贅沢もいらない」というのはもちろん外装とか造作とかを豪華にしたり金をかけたりしないということなのだろうが、時間のかけ方は贅沢だ。
林芙美子は建築に関しては素人だったのにもかかわらず、かなり勉強して自分の意見も多く取り入れたという(設計者は山口文象)。
この記事で引用している文章は、すべてこの林芙美子記念館で買った「林芙美子小品集・落合日記」からのもの。
随筆、童話、詩などが収められている。
太宰治がこの家に訪ねてきた話なんかもあった。