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SOMPO美術館・「シダネルとマルタン展」

新宿のSOMPO美術館で「シダネルとマルタン展」に行ってきました。

聞いたことのない画家の二人展です。
「印象派を継承しながら、新印象主義、象徴主義など同時代の表現技法を吸収して独自の画風を確立した(後略)」とのこと。
アンリ・マルタンが1860年生まれ。
アンリ・ル・シダネルが1862年生まれ。

セザンヌやモネよりだいたい20歳くらい、ゴッホやゴーギャンより10歳くらい若い世代の画家のようです。

1階エントランスで受付を済ませるとエレベーターで5階へ。
入るとまず、二人の紹介文と共にそれぞれの絵が一枚ずつ展示されています。
アンリ・マルタンの「野原を行く少女」

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(マルタン「野原を行く少女」・・・これは写真の撮り方が悪いので、実物はもっと明るく色彩が、特に草原の緑が鮮やかです)

そして、アンリ・ル・シダネルの「ベルク・孤児たちの散策」
(残念ながらこちらはポストカードがありませんでした)

「野原を行く少女」では鮮やかな緑の草原に立って太陽の光を浴びる少女の白い服を、色とりどりの花々が取り巻いているのに対し、
「べルク・孤児たちの散策」で海辺を散策をする孤児たちの服は灰色で、空は曇っていて、冬枯れた草地には緑はわずかしか見られません。

どちらも草地に立つ人物を描いている絵であるだけにその違いが鮮明で、導入としては効果的でした。

それからずっと見ていってもやはりシダネルのほうが内省的で色彩的にも派手さがなく、マルタンはもう少し鮮やかな色彩を使い、対象の輪郭がはっきりしているような気がします。
ただ、そこまで対照的というほどでもなく、なるほどこの2人を一組で紹介するのもわかるな、という感じもしました。

セザンヌやゴッホのような強烈な個性は感じられません。
良く言えば調和がとれている、悪く言えば地味で保守的。
美術史の中で比較的語られることが少なかったことも、それでも当時は人気があったことも、そして今また再評価されているということも、なるほど、という気がします。

印象派のあたりでそれまでの常識・・・【絵はこういう風に描かなければならない】・・・から解放され、どう描いても良いのだ、となって多くの画家が自分なりの表現を追求して当初の「印象派的」なものから離れていった中で、「印象派的なもの」にとどまった人、という感じでしょうか。

個人的にはシダネルの静謐な雰囲気が好みだったのですが、さあ、ポストカードを買うか、となった時に、シダネルの絵はあんまり買いたいと思うものがなく、マルタンの絵の方がこれ良いな、と思うものが多かったです。

シダネルの絵はあまりハッキリくっきりしたものではないし色使いも地味なのに対して、マルタンの絵は色彩が鮮やかだし、輪郭がはっきりしている分デザイン的な面白さもあるのでそれがポストカード映えするのだと思います。

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(マルタン「青い服を着た少女」・・・少し怖い絵でした)

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(マルタン「マルケロル、テラス」・・・デザイン的な面白さがある絵)

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(シダネル「ブリュッセル、グラン=プラス」・・・これはシダネルの中ではデザイン的な面白さがあってポストカード映えする絵でした)

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