ICLを受けようと思ったら、網膜剥離が見つかった話


11月中旬、右目が網膜剥離していることが判明した。


網膜剥離のことを簡単に説明すると、目の内側でフィルムの役割をしている網膜という膜が、ペリッと剥がれてしまっている状態のこと。

剥がれが中心部まで進行すると最悪失明する恐れがあるらしい。(最悪すぎる!)

ここ2週間で、

病気の発見

入院

手術

退院

といった、予想もしていなかったことを一気に経験した。

退院後もしばらく療養生活が続いて暇なこともあって、この2週間のことを文章にまとめてみようかと思う。

この病気を知っていた人も、知らなかった人も、興味があればぜひ読んでみてほしい。

難しい言葉は使わない(使えない)から安心してね。



きっかけはICLの適性検査


Instagramで、友達がICLを受けたという報告をしていた。

ICLとは視力回復手術のことで、レーシックの兄弟みたいなもの。

私は元々強度の近視で、メガネやコンタクトが無いと外に出られない。
要するに、めちゃくちゃ目が悪かった。

だから "朝起きた瞬間からクリアな視界" を手に入れた友達の話を羨ましく思った。

前々からこの手術を知っていたこともあり、

すぐに、「私もICLを受けよう!」と決心した。

決心してからの行動は早く、その日に母に相談して、ICLで多くの実績があるという叔母が勤める眼科を紹介してもらった。



いざ、眼科へ


ICLの手術を受けるためには、事前に適性検査を受ける必要があった。
私も検査の予約をして、次の週にその日を迎えた。

この時は「このあいだ買ったメガネ、気に入ってたけど必要なくなっちゃうな〜」など呑気なことを考えていた(笑)

眼科についたら、視力や眼圧など定番の検査から、人生で初めての眼底検査をした。(今思うと、この眼底検査が私を救ってくれた。


叔母もその日出勤していたが、ICLを担当されている別の先生に診てもらうことになった。

検査結果を見ながら、先生は「ここが影になってるのが気になるから、もう一度写真を撮ってきてもらえる?」と私に声をかけた。

瞳孔を開く目薬をして20分ほど待ってから、再び写真撮影をした。



病気の発覚


「いや〜びっくりだよ」

再び診察室に入ると、すぐに声をかけられた。

びっくりしたのはこっちだ。
そこにいたのはICL担当の先生ではなく、叔母だったのだから。

同時に、担当が叔母に交代したということは、何かよくないことが起きているのだろうと察した。


「結論から言うと、網膜剥離が見つかりました。」

叔母が私の目を見て報告してくれたが、正直私はこのあと自分が経験することを全く予想できていなかった。

網膜剥離。
名前は聞いたことあるけど、ピンと来なかった。

叔母から聞いた説明を噛み砕くと、私の右目は1/3ほど既に網膜が剥がれてしまっている状態で、剥がれてしまっている部分には水が入っているという。

その "剥がれ" が視覚の大部分を司る中心まで進行すると、失明するらしい。


「自覚症状は本当にない?」

何度もそう聞かれた。

ここまで進行していると、

・視界の欠損(視界の一部が黒いカーテンがかかったように欠ける)
・雷みたいな光が突然見える
・虫やゴミが飛んでるように見える

などの自覚症状があるはずと言われた。

しかし、私には自覚症状が一切なかった。
(アホすぎて気づいてない説はある。そう言われれば最近右目がぼやけている気もしたけど、コンタクトの不調か気のせいかもしれない。)


自覚症状が無いから、
網膜剥離がいつ始まったものかも、
病気が進行するまでの時間もわからないそうだ。

もしかしたら明日一気に進行してしまうかもしれない。


原因は、強度の近視であることが大きいらしい。


なぜ近視が網膜剥離に繋がるのかという説明は難しいから省略するが、目を強くぶつけたなどの外的要因に心当たりもないので、きっとそうなんだろう。

※ ちなみに私は-6.5の度数のコンタクトをつけている。

(これを見て「そこまでじゃないから大丈夫だ」「うわ、私の方が強い同数だ」など様々な感想があると思うけど、そもそも同じ視力でも矯正に必要なレンズの度数は人によって異なる。だから、あくまでも参考として見てもらえると嬉しい。)

これらの説明を受けて決心した私は、

「手術、やりたいです!」

と意を決して告げた。

すると叔母は半ばあきれた様子で、

「いや、手術をしない選択肢はないよ。」

と、未だ自分の状態を把握できていない私に現実を見せた。

その日の検査はこれで終了となり、手術をするために総合病院の紹介状を書いてもらって帰った。



総合病院での精密検査


約1週間後、総合病院の予約の日になったので長野から神奈川まで向かった。

病院に着くとまず、スタンプラリー用紙みたいなものを持たされて院内を回った。

・心電図検査
・血液検査
・X線検査
など、健康診断みたいなことをして手術に耐えられる身体かどうかを検査した。


いよいよ眼科の検査。

先生は私の目を隅々まで診るなり
「穴ぼこだらけだね〜」と言った。

※ 網膜剥離の進行は ①網膜に穴が開く→ ②網膜が剥がれる という流れ。
つまり、網膜剥離だけでなく剥離の前兆が至るところにあるという。


さらに衝撃の事実を告げられた。

「左目にも穴がありますね」


・・・左目も!?

流石に驚いたが、幸い "穴" の段階のものは手術しなくてもレーザー治療で治すことができるらしい。


しかも、当日に(笑)
というわけで、あとでレーザー治療を施してもらうことになった。

その前に、手術の内容や入院についての説明をうけた。



手術内容について


網膜剥離の手術は大きく分けて2種類あるという。


①硝子体手術
▶︎白目に小さな穴を開けて器具を入れ、目の内側からアプローチする手術法。

②強膜バックリング術(網膜復位術)
▶︎シリコンでできたバンドで白目をギュッと固定し、目の外側からアプローチする手術法。

強膜バックリング術


私の手術法は ②強膜バックリング術(網膜復位術)に決まった。

硝子体手術は白内障を発症するリスクがあるため、若い人は強膜バックリング術で治療する人が多いらしい。

ちなみに、目にいれたシリコンバンドは一生取らないみたい(笑)



入院期間は約1週間。

検査通院から退院後の療養含め、最低2週間は仕事を休むことになるだろう。

ちなみに、私が病気の発覚から入院までかかった時間は10日間。

私は自営業なので問題はなかったが、会社員の方は「突然ですが来週から2週間お休みさせてください」とはなかなか言いづらいだろうなぁと入院手続きをしながら思った。



レーザー治療



入院手続きが終わると、早速レーザー治療を両目に施してもらうことになった。
網膜光凝固術というもので、穴のまわりにレーザーをあてることで、穴が網膜剥離に進行するのを防ぐ役割があるらしい。

麻酔の目薬をさして、専用のレンズを目に当てた状態で20-30分ほどの治療をうけた。


これが地味に痛くてつらかった。泣

我慢できないほどの痛みではないのだが、
帰り道も目の奥の鈍痛に襲われ、涙を流しながら長野へ帰った。



入院レポ

①入院初日

手術の前日から入院をした。

特に自覚症状もない健康体なので、
病室では仕事したりアニメを見たりとにかく自由に過ごした。

4人部屋がたまたま埋まっていて、入院前半は個室部屋でゆっくりできたのはラッキーだった。

個室部屋


②手術当日


いよいよ手術当日。

手術の1時間前から点滴と目の下に麻酔テープを貼って待機した。

時間になると看護師さんが車椅子でオペ室へ連れて行ってくれた。
今まで元気すぎて、ここではじめて病人であることを自覚した。


麻酔は局所麻酔で、意識や視界がある中で行う。

※中には 全身麻酔の人もいるらしいが、私は局所麻酔で十分だなと思った。
痛みのピークは目に麻酔を打つ時。(痛みレベル:涙が滲むくらい。)
手術中は麻酔が効いているので、我慢できる程度の痛みだった。(痛みレベル:顔が歪むくらい。)


手術時間は約1時間半。

意識があるので、恐怖心や痛みと戦わなければいけない時間はあったけど、覚悟していたより過酷ではなかった。

遠くで絢香の曲が流れているのに気がついてからは、意識をそっちに持っていけたので楽だった。


手術後すぐは、家族に連絡したり眼帯姿の自分を鏡で見る余裕があった。

ただ、2時間くらい経つと段々と麻酔が切れてくる。
目の奥がズキズキする。左目を使うと右目も無意識に動いてしまうからか、両目をつぶった状態でないと耐えられない時間が何時間か続いた。


その日は追加の鎮痛剤をもらって、なんとか眠りについた。



③入院3日目〜5日目


入院中の生活はほぼ毎日おなじだった。



朝7時に起こされて、

8時に眼科で術後の経過をチェックしてもらい、

時々体温と血圧を測って、

1日4回3本の目薬を点して、

暇な時間は本を読んだり自由に過ごして、

目が痛くなってきたら休んで、

22時には消灯。



つまり基本的には、寝てるか、本を読むか、アニメ(進撃の巨人)をみるか、目を開けてられない日は音楽を聴いていた。

ちなみに入院中に読んだ本はこの2冊。

『52ヘルツのクジラたち』町田 そのこ
『赤と青とエスキース』青山 美智子


どちらも人から勧められて読んだ本だが、
ぜひみんなにもおすすめしたい。

心に残る本を見つけられた喜びは大きいし、

何より、この本を勧めてくれた人のことを改めて素敵な人だなと思うことができた。


結論としては、入院中は思っていたよりも自由に過ごすことができた。左目が健康なのが大きかった。

TVの置かれている方向がベットの右側(手術をした目の方向)だったから、TVだけは見ることができなかった。

※ ちなみに、眼帯をしているので眼鏡は上手くかけられない。眼科で入院する予定がある人は、健康な方の目のコンタクトを忘れずに!



④退院日


経過が順調だったため、1週間を待たずに退院を迎えた。

退院後しばらくは、

・目を水に濡らさない(洗顔、洗髪NG)
・1日4回の目薬
・日中から寝てる間までずっと眼鏡着用

の3つを守るように言われた。

寝る時用の眼鏡というかゴーグル


それ以外の制限は特になかったが、
まだ東京グールの金木くんみたいに目が真っ赤だし、
腫れてて痛いのでしばらくは家でゆっくりすることになりそうだ。

とくに、眩しさに敏感になっている気がする。ずっと眼帯をしていたからか、室内なのに眩しいと感じる。


もちろん、メイクやコンタクトもしばらくできない。

私はデスクワークなので既に少しずつ仕事へ復帰しているが、職種によっては仕事復帰に時間がかかるなと思った。

正直、フルタイムで働くのは術後2-3週間きついかもしれない。

身体はとても元気なので、できる範囲で出かけてみたり仕事をして、徐々に完全復帰しようと思う。



まとめ


だらだらと書いていたら5,000字近くなっていて驚いた。

こんなに長い文章を書くことや、
ゆっくり療養する機会はあまりないので、
いい機会だったかもしれない。


ネットで調べると網膜剥離が起こる確率は1万人に1人くらいと書いてあった。(若い人にしぼると、もう少し可能性は低いかも。)


私はICLの検査をきっかけにこの病気を見つけることができた。

もっと早くに見つけられていればレーザー治療だけで済んでいたかもしれないが、とにかく失明する前の段階で防ぐことができたのだから、ラッキーだと思う。


ここまで読んでくれた人はきっと何らかのかたちで私と縁のある人だと思うので、

何か少しでも視界に違和感があれば、すぐに病院に行ってみてほしい。

ぼやけてる気がするとか、小さな黒い虫が飛んでる気がするとか。


もちろん私みたいに自覚症状がない人もいると思う。

そういう人はどうすればいいんだろう…
人間ドックなら眼底検査(今回の病気を発見してくれた検査)もやると思うから、若いうちに一度受けてみるとか?

正解はわからないけど、
何らかのかたちであなたが自分の身体と向き合うきっかけがあることを願います。
私も人間ドック受けてみようかな〜


ひとまず、私は無事に手術を終えました。

・・・元気です!!!


今後も定期的に検査を受けながら大事にしていきます。

最後に、ここまで読んでくれてありがとうございました。


自分はもちろん、周りの大切な人たちが健康でありますように。




おまけ


美味しかった入院食べスト3

暇すぎて毎日ごはんのことばかり考えていた。(いつもかも)
病院の食事ってこんな感じだよ!

3位「唐揚げ」

質素な入院食に揚げ物という光。
たった2個だけどありがたい。

入院食1

2位「きつねうどん」

うどんというより、添えてあるカボチャのそぼろ煮が美味しすぎてランクイン。

入院食2


1位「ビーフシチュー」

入院中唯一牛肉が使われてたメニュー!
洋食屋さんのシチューみたいでおいしかった。

入院食3


おわり

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