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深臀部症候群の検査と保存療法


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はじめに

「深臀部症候群(DGS:Deep gluteal syndrome)」という語に聞き馴染みのない方も多いかも知れません。
深臀部症候群は比較的新しい語であり、従来は梨状筋症候群(piriformis syndrome)と呼ばれていたものがこれになります。
深臀部症候群と梨状筋症候群もイコールというわけではなく、梨状筋症候群は深臀部症候群のサブグループに分類されており、同時にすべての梨状筋症候群が深臀部症候群ではないという少し複雑な状態になっています。

重要なことは梨状筋症候群と考えられていたもののいくつかは梨状筋が原因ではないということです。
この名称の問題は梨状筋症候群と類似する疾患をすべて梨状筋の問題と捉え、治療も偏ってしまうことです。
例えば臨床家が臀部構造が原因の下肢に放散痛を出す様な疾患を梨状筋症候群しか知らなければそれを梨状筋症候群であると断定する証拠をみつけるように検査や医療面接を行なってしまうリスクがあります。

時代が進むにつれてどんどん解剖学の知識や病因に関する知見は深まってきています。
知らないものは検査することができないため、検査するにはまず様々な解剖や病理を知る必要があります。

ということでこここでは「深臀部症候群」を見ていきます。
具体的には深臀部症候群の理解を深めるための坐骨神経の詳細な解剖学、深臀部症候群の特徴と病因、検査法、保存療法を14枚の画像と4つの動画を併せて紹介していきます。


坐骨神経の詳細な解剖学

坐骨神経は人体で最も大きな神経であり、仙骨神経叢のL4~S3腹側枝によって形成されます。
この神経は脛骨神経と総腓骨神経に分かれます。

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