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Twitter @tam_lbp 理学療法士や作業療法士、鍼灸師、柔道整復師、スポーツトレーナー向けの痛みに関する情報発信をしています。

最近の記事

肩甲上腕リズムは1:2という固定観念から脱却する

肩甲上腕リズムというと学校では肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きが2:1、度数に言い換えると180度挙上する時に肩甲上腕関節で120度、肩甲胸郭関節で60度動くと習います。 肩甲上腕リズム機能不全により肩甲上腕関節の病変が起こりやすくなる可能性がある仮説に基づき、臨床で肩の挙上時に肩甲骨の可動性が減少、あるいは過剰に動いていないか判断する人もいます。 この解釈は肩甲上腕リズムが2:1であることが正常、2:1でないことが異常と仮定する評価方法です。 しかし全ての条件でこの2:

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    • 【患者教育】運動の遵守率を上げる/下げる要因【チェックシート付き】

      痛み治療において多くの医療従事者の介入に関する興味の関心は徒手療法や運動療法、治療理論にあります。 実際にほとんどの介入に関する会社の研修や実技セミナーは治療理論やそれを用いた徒手療法や運動療法で構成されることが多いです。 これは治療理論・徒手療法・運動療法が直接的に治療効果や患者の予後に影響すると直感的に認識しているからかも知れません。 しかし、治療理論・徒手療法・運動療法は治療介入の中の一部でしかないことを認識しなければなりません。 これを理解するためにダイエットを

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      • 腰痛の再発率と再発に寄与する因子

        はじめに腰痛を急性と慢性に分ける場合、3ヶ月未満と3ヶ月以上と分けたり、本邦においては2019年の腰痛診療ガイドラインでは急性を4週間未満、亜急性を4週間以上3ヵ月未満、慢性を3ヶ月以上としています。 このように腰痛は急性・(亜急性)・慢性に分類するケースが多いですが、もし1つの腰痛エピソードに基づいて分類する場合、腰痛の解釈としては不十分です。 なぜならこのような解釈ではある程度の期間をおいて腰痛が2度生じた場合、4週間未満であれば2度の急性腰痛とされてしまいますが、

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        • 腰痛→安静×活動維持○。ここからさらに一歩進む

          腰痛に対して「過度に安静にしないように活動維持する」といった推奨は現代においてはもはや一般的に広まった知識だと思います。 従来は腰痛に対して安静は一般的に広く採用されていました。 本邦で過度な安静が推奨されないことが広まったことに大きく貢献したのは旧版である2012年の腰痛診療ガイドラインで、腰痛に対する安静の推奨度はGrade Dとなっており、Grade Dは「推奨しないまたは否定する根拠がある」、より具体的には肯定できる論文はないか否定できる中程度のエビデンスが少なくと

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        肩甲上腕リズムは1:2という固定観念から脱却する

          【初学者向け】教科書に載ってない肩関節可動域のこと

          はじめに関節可動域は最も基本的な検査法の1つです。 医療系の学校では基本的な検査法と参考可動域について習いますが、詳しく習うわけではありません。可動域に関する情報は、読みきれないほど膨大で集めるのも読むのにも苦労します。 ここでは特に肩の可動域の改善を治療の目標の一つに加えるときに、考慮しなければならないいくつかの因子を紹介します。 これは学校で習わないことも多く、しかし臨床上重要なことです。 シリーズの紹介 本記事は「ストレッチ・可動域」シリーズです。このシリーズで

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          【初学者向け】教科書に載ってない肩関節可動域のこと

          【五十肩】痛みが強くて運動ができない人に使える運動療法

          ここで紹介する五十肩のエクササイズはほとんど推奨しているのを見たことがない種類のエクササイズでありながら、臨床的に使いやすいものとなっています。 またここで紹介するエクササイズはシンプルなため、医療者が運動指導できるまで特別な訓練の必要がなく、患者さんもすぐにやり方を覚えることができます。 はじめに肩関節周囲炎では可動域制限が日常での問題になることが多く、特に急性期(炎症期)では将来的に可動域制限が残存することが強く予想できるため可動域訓練を行いますが激痛を伴うため、肩を大

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          【五十肩】痛みが強くて運動ができない人に使える運動療法

          デスクワーカーの腰痛に最適な運動療法

          ここで紹介する腰痛のエクササイズはほとんど推奨しているのを見たことがない種類のエクササイズでありながら、臨床的に使いやすく、私自身デスクワーク中の腰痛に悩んでいる患者さんにはほとんどのケースで推奨しているものになります。 またここで紹介するエクササイズはシンプルなため、医療者が運動指導できるまで特別な訓練の必要がなく、患者さんもすぐにやり方を覚えることができます。 はじめに腰痛に対する運動は腰痛の臨床ガイドラインでも第一選択肢として推奨されているスタンダードな介入です[5]

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          デスクワーカーの腰痛に最適な運動療法

          臨床3年目までに知っておきたいデルマトームのこと

          デルマトームの基礎デルマトーム(Dermatome)または皮膚分節は医療系の学校で習うため、この用語と基本的な臨床での活用方法は自体はよく知られています。 デルマトームは、1つの神経根から供給される皮膚の領域を指します。 基本的にはデルマトームはどこの脊髄神経で障害が起こっているのかを教えてくれるものなので、例えば第4腰神経のデルマトーム領域の皮膚に症状があれば、第4腰神経に何らかの障害があると疑います。 デルマトームの臨床的な使い方(基礎編)医療面接から大まかな予測を

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          臨床3年目までに知っておきたいデルマトームのこと

          物を持ち上げるのに最も適した姿勢?

          記事の概要日常的に医療従事者やフィットネス業界では腰痛持ちの患者に対してリフティング(持ち上げ)動作の指導を行っている様子を見かけます。 しかしその多くは何かエビデンスに基づいたものではなく、文化的/伝統的に正しいだろうと考えられてきた方法です。 本記事ではリフティング動作に関する患者・医療従事者の考え方から予防効果、因果関係の説明を行いリフティング動作について現在どのような誤りがあるか、どうあるべきかについて言及していきます。 序論姿勢と腰痛に関連する信念はいくつかあり

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          オタワ足関節ルールが信頼できなくなる条件

          記事の概要足部を損傷した際には単なる捻挫等ではなく、時に骨折していることもあります。医療従事者は骨折の見逃しを減らした上で、不要で有害な検査を極力減らす様に努める必要があり、その上でオタワ足関節ルールは優れた手段です。オタワ足関節ルールは特別な道具が要らず、使用に時間がかからず、習得にかかる時間も短くて済むため非常に使いやすいツールです。 しかし臨床的にオタワ足関節ルールを適用するために2つの問題があります。第一にオタワ足関節ルールは必ずしも医療系の学校で習うわけではなく、

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          オタワ足関節ルールが信頼できなくなる条件

          拘縮肩に対する肩関節外旋エクササイズを考える

          いわゆる五十肩の呼び方は様々ですが、ISAKOS分類に基づけば拘縮肩と呼ぶのが包括的です[1]。 特に凍結肩の自然経過は 炎症期(Freezing phase):疼痛が主となる
 拘縮期(Frozen phase):痛みは和らぐが可動域が制限される
 回復期(Thawing phase):ROMはゆっくりと戻る となっており、臨床所見は40~60歳に見られやすく、70%は女性で三角筋部の場所が不明瞭な痛みがあり、信頼できる臨床検査やレントゲン検査はなく、
aROMとpROM

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          拘縮肩に対する肩関節外旋エクササイズを考える

          頸椎症性神経根症の理解を深める

          サブスクリプションではサイト内のすべての記事を読むことができます。 頸椎症性神経根症は臨床で混乱をきたしやすい疾患です。 なぜなら教科書と異なりデルマトーム通りの症状がでなかったり、正常な腱反射、感覚障害がないといった神経学的所見がみられないこともあり、タミニングによっては上肢に症状がないこともあります。時に肩こりと誤診されたりと他の症状や疾患を類似する厄介なものです。 神経根ごとに類似する疾患が異なり、幅広い知識が疾患を区別するために必要です。 典型的に以下のように神

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          天気は痛みにどの程度寄与しますか?

          天候の変化は痛みを悪化させるという信念が一般的にあります。 医療従事者もしばしば天候が痛み(特に関節の痛み)の悪化を引き起こすと患者に説明する様子を目にすることがあります。 この一般的によく広まった信念と一部の医療従事者の信念は正しいのでしょうか? 反対に天候と痛みには相関関係がないという人も見かけます。 それは本当に正しいのでしょうか? 天候と痛みに関連があるかどうかは過去広く研究されてきました。 ここでは天候と痛みの複雑な関係をまとめます。 どれだけの人が天気と痛みの

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          睡眠と怪我とパフォーマンス【怪我予防】

          前回睡眠と痛みの関係について紹介しましたが、今回は睡眠と怪我、それから睡眠とスポーツパフォーマンスの関係をまとめていきます。 睡眠は人の習慣であり、生物に必要なものであり、しかし変動しやすく容易に人体に様々な影響を与えます。 そして重要なことはどの人にでも共通する項目であることです。 だれにでも共通する項目は臨床応用しやすいため臨床においても大きな意義を持っています。 睡眠に怪我予防効果はあるか?

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          睡眠と怪我とパフォーマンス【怪我予防】

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          腰痛と睡眠の関係がありすぎる

          サブスクリプションではサイト内のすべての記事を読むことができます。 臨床においてあまり意識されてはいませんが、しかし管理が不十分だと思われるものの一つに睡眠があります。 慢性疼痛患者の多くは、疼痛を持たない人に比べて、睡眠開始までの時間が長い、睡眠中の覚醒が多い、総睡眠時間が短い、安眠できないなど、少なくとも1つの睡眠に関する不満を持っています[1][5]。 これは慢性腰痛患者に絞っても同様で、半数以上の慢性腰痛患者はなんらかの睡眠障害を抱えています[2][3]。 こ

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          プラセボと同じだけノセボを知らなければならない【医療従事者はどのようにして患者を傷つけるのか?】

          臨床においてプラセボ(Placebo)効果が生じることは多くの医療従事者の頭の中にあると思います。しかしながらノセボ(Nosebo)効果については過小評価されているように感じます。 治療が害よりも利益を大きくすること追求することであることを前提にするのであればプラセボ同様にノセボについても考慮することが求められます。 ノセボ

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