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Vol.7 先輩としての振る舞い編 -後輩のこと、ちゃんと見てますか?-

このnoteを読んできてくださった方はもうお分かりだと思いますが、
僕は出来るタイプの下級生ではありませんでした。

ここで言う、「出来る後輩」というのは、
先輩の話を素直に聞くことができ、
先輩にとって扱いやすい後輩であるということです。

小生意気であったという表現が伝わりやすいかもしれません。

こういうタイプの後輩は、分かりやすく目をつけられて、
潰されます笑

自分の意見を通したいのであれば、
圧倒的な実力をつけるしかないのですが、
そこまでの実力はそう簡単には身につきません。笑

すると、
自分では色々考えてるつもりでも、
必死にやってるつもりでも、
いつの間にか「あいつはバツだ」とか「幸薄だ」とか「いけてない」とか負のレッテルを貼られてしまいます。

その自分の思いと周囲の評価のズレから、
活動が後ろ向きになってしまう、なんてことがあります。

今実際思い返してみると、
そんないちいち突っかかってないで、
「捨てるプライド」を持ちなさいよ、と思いますし、そんなに強く持つはずのポリシーだったかどうかも分からないんですけどね笑

むしろ、突っかかってくるやつは目をつけられやすいので、
自分が何かミスをしてしまった時に、普段突っかかってる分、何倍にもなって返ってきます
「お前いろいろ言ってるけど、できねーじゃねえか!」ってなるんです笑

どんなに理想を語っても、
経験もスキルもないので、そりゃ出来ないですよね
むしろ、出来ないのに理想を語るやつは一番厄介です笑

なので、組織の中で生き続けるためには、
誰にも何も言わせない圧倒的な実力をつけるか、
プライドを捨てるか、
このどちらか2択だと思います。

僕にはそこまでの実力がなく、
プライドを捨てるまでに時間がかかったので、このコースでの後輩としての期間は、「いけてない」「あいつはバツだ」という評価と共に生きてきました。

その苦しんだ経験は、
僕にとって今では誰にも負けない強みです

上級生の中の誰よりも、
「いけてない」と言われるやつの気持ちが分かるし、
先輩の立場になった今、関わり方次第で「いけてないやつ」はいくらでも羽ばたかせられるし、むしろ組織を離れた時の後輩の姿をこっそり覗いてみると案外楽しそうにやっていたりすることに気づきます。

僕らのコースのある後輩で、
普段は「いけてない」と言われていた後輩がいるのですが、
僕がたまたま、彼の所属する大学のグラウンドで試合をする機会があり、
少し早めに行ってみると、フィールド上にはのびのびとレフェリーをしている彼の姿がありました。
彼の試合後、僕は自分の試合が始まるまで彼と色々話したのですが、
思った以上に考えていたし、自分なりの課題を持っていたり、
「なんだ、ちゃんとやってんじゃんね」と僕は思いました。

以前、ファジアーノ時代の長澤監督が密着インタビューでこれと似たような話をしていました。

なんとか育てよう、なんとか教えてあげようって思っていた選手がいたんだけど、
彼らは全然伸びなくて、移籍をしてしまって、
でも、偶然テレビをつけた時にダメだった選手達が生き生きプレーしてたんだよね
選手って生き生き躍動したら、自分で歩んでいくんだなと思いました
そこからどう躍動させるか、と考えるようになりましたね

先輩の立場になると、
人間どうしても教えてあげようとか、指導してあげようとか、「後輩のため」にやっているつもりが、いつの間にか「自分がまだ満足しないから」とか「もっと教えられるはずだ」とか指導が押し付けになってしまっていることがあるんですよね

ダメ出しなんかも本来は必要なくて、けっこう後輩達はやっちゃったなーという空気を敏感に感じ取っているものです。

後輩のことをちゃんとみて、ちゃんと向き合ってあげれば、
もちろん課題はたくさんありますが、
彼の例で言うと、この前の試合はあまり良いパフォーマンスではなかったけど、今日のセミナーでのプレゼンは色々こだわってやってたよね!
とか、良いところを見つけることができるようになります。

最初からなんでもできるわけではないんです。
いつの間にか、「このくらいのことは出来るだろう」とか自分の指標を押し付けていたりするのですが、そうすると、どうしてもそれと比較して悪いところばかりが目についてしまいます。
これを指摘すると、一見アドバイスした風になるのですが、その指摘を聞いた後輩はほとんどの場合前に進むことが出来ません。
なぜかと言うと、その指摘は自分と後輩、一般論と後輩を比較したものなので、一つの指標にはなりますが、後輩個人の成長や得意なことに気づいてあげることが出来ません。

例えば一つ前の例で言えば、
彼のプレゼンが良かったのは、彼が自分の中で多くのことを調べて結びつける作業が得意で好きで、それを前向きに取り組むことが出来たから、という理由があります
これは彼の試合だけを見て、パフォーマンスがいけてない、という目線では気づくことは出来ません。

一つ得意なことを見つけて、それが認められると、
まず自信がつきます。
僕にとってのレフェリーやプレゼンみたいなものですね。
自信がつくとその活動に前向きになるので、その分野のことに関してもっと探求し、得意分野になります。
すると不思議なことに他の分野もそれに引っ張られるように、全体的によくなっているものなんです。

彼が細かいことを調べたり、分析したり、それを組み合わせるのが得意ということから、
今年度僕が開催していた仲間の試合の映像分析企画を来年度彼に引き継ごうと思っています。人の試合を分析して、そこで見つかった課題を共有したり、議論のファシリテーターとなる役目です。
実際今は引継ぎ段階ですが、僕が気づかなかったような観点からの話や、アイデアを準備してきてくれたりしてすごく頼もしいですし、
彼が来年度この企画をやり続けてくれれば、いつの間にかコース内での地位も確立され、レフェリーのパフォーマンスももっと伸びていると思います。

コースでどう見られているか、というような重荷がなければ、のびのびやればできるじゃん、というのを僕は見てしまってますからね笑


もう一つ、僕には印象深いエピソードがあります。
昨年の夏に行われたこのコースでの合宿での出来事です。

この合宿で、提出物の書き方が雑だったり、書き方が間違っていたり、メールの返信が正しく出来なかったりと、私生活の面から
「いけてない」という評価をされてしまっていたある1年生がいました。

周りはみな、口を揃えて「いけてない」と言うのですが、
僕は逆の立場を知っているので、笑
ここまでのミスはほとんど知識がなくて教えてもらっていないことからきてるのではないか、と思いました。

僕ら先輩が、分からないなら聞けばいいじゃないか、と言うのは簡単です。
でも入ったばかりの1年生、聞いたら怒られるんじゃないかと思ってなかなか聞きにくいものです。

僕はその合宿の3日目に彼と同じグラウンドで試合をすることになりました。
私生活面での前評判が悪く、僕は同期から「ちょっと頼むね」的なことを言われて臨むような有様でした。

僕はグラウンドに着くと、
彼とフィールドの外を回りながらこんな話をしました。

「今日一個だけ俺と約束をしてほしいんだけど、
分からないことがあったら全部俺に聞いてほしい。
でもその代わり、聞いてきたことに関しては俺は全部答えるし、怒らない。
もし今日その約束を守ってくれたら、宿舎に帰った後、仮に大人から何か指摘されようが、上級生から何か言われようが絶対にお前のことは守るし、責任は俺が取るから、
これだけ約束してもらっていい?

この2日間、色々怒られて苦しかったと思うんだけど、
それはもう過去のことだからしょうがないじゃん?悔やんでも変わらないし。
だからさ、今日から頑張って、「なんかあいつ最初はいけてなかったけど、後半良かったじゃん」って言われたくない?
だから今日からがんばろうよ」

僕は常々思うことがあって、
世の中の上の立場にいる人がよく、「あいつがこれ出来ない」、「いけてない」という発言を耳にしますが、
「じゃあまずそのこと教えたの?」ということです。

下の人間は知識がないんです。
何をやっていいか分からないんです。
だから、知らないことを絶対に責めちゃいけないんです。
あなたの常識はあなたの後輩の常識ではないんです。

だから、何をやらなきゃいけないのか、なぜやらなきゃいけないのかをしっかり丁寧に教えてあげなければいけないと僕は思っています。
特になぜそれをやらなければいけないのか、は一番大事だと思っています。
断片的な知識ではなく、その理由を伝えることが大事です。

後輩に知識を教えると、言われたことだけをやるようになります。
後輩にその背景を教えると、言われたこと以上のことをしてくれる場合があったり、次の場面で指示が必要なくなっていたりします。

よくある例で、
魚を釣ってあげるのか、
魚の釣り方を教えてあげるのか、というものがありますが、
後者は再現性があるので、もう僕は魚を釣っている姿を見守っているだけで良くなるわけです。笑

後輩とのエピソードに戻ると、
彼はこのコースでのルールや、レフェリングのこと、たくさんのことを質問してくれました。
だよね、やっぱり知らないよね、と思いながら
僕は全ての質問に丁寧に答え、その理由を話しました。
そうなると、これまで起きていた種類のミスなんか起きないんです。

私生活がクリアになって初めて、
今度はようやくピッチ上でどうするか、という話ができるようになります。
僕は彼の試合を見て、
彼がピッチ内でどう動いていいのか分からないことが、悪いパフォーマンスに繋がっていると感じ、
彼と必要最低限のルールだけ決めました。

「全ての場面で、選手と選手の間を見に行ってごらん」
「見えたファウルは迷わず笛を吹いてごらん」

彼は基本的に真面目な性格なので、
実はこの全ての場面で選手と選手間を観にいくというのは体力面、集中力共にかなりキツいことなのですが、
僕が伝えた通りに頑張って動いてくれました。

実はその試合の直前に、僕が彼の前で試合をしていたのですが、2019年のベストゲームを引き出せたというくらい僕自身のパフォーマンスも良く、両チームもほんとに最後まで戦い抜いた良い試合をしてくれました。
彼には、そのイメージも残っていたのかもしれません。

彼はびっくりするくらいのパフォーマンスを見せてくれました。
どこに動いていいか分からなかったのが明確な意図を持って走るようになり、
選手の間が見えるように動いているので、ファウルの判定がしやすくなり、自信を持って笛を吹きます。
ほんとに素晴らしい試合でした。もちろん彼にはちゃんとそれを伝えました。

僕が嬉しかったのは、この試合を見ていたある講師の方が、
夜の研修会で「あいつ良かったよ」ということを全体の前で話してくれました。
やはり認めてもらえると人は伸びます。

彼は結局この大会の決勝戦の副審に任命されました。
「いけてなかったやつ」がです。笑
僕は親みたいな気持ちで嬉しかったですね。笑

今では彼は、研修会の場でも積極的に発言をするし、
発言や積極性では周りをリードしてくれる存在になったな、と思います。

頼もしいものです。


後輩のことをちゃんと見てあげること
分からないことを責めないで、教えてあげること
彼らの中で変化があったら、それをちゃんと褒めること


これが本当に大事なことで、これは誰にでも共通するものだと思います。
1人でも後輩がいる先輩のみなさん、
ぜひもう一度後輩のことを見てあげてください。

見えなかった姿が見えてくるはずです。


今日はそろそろどこかが焦げ付きそうな内容になってきてしまいました笑

傷が深くならない内に終わりたいと思います。笑

それでは。

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‘98年生まれ 暁星高校から慶應義塾大学文学部へサッカーのレフェリーとして活動しています。これまで学んだことを卒論としてまとめていきます。『卒論-僕がレフェリーから学んだ10のこと-』

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