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#3 『「ひらがな」で話す技術』 -zoomではラジオ的喋り方が良いかもしれない-

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◎この本に出会ったきっかけ

これまでの偶然出会った2冊とは違い、こんな本ないかなぁと、探して探してやっとのことで見つけた本。

最近は、コロナの影響で、オンラインでのやり取り、Zoomミーティングに参加する機会が多くなりました。僕はその中で、特に画面共有をした状態で、1人から全体に話をする場に多少の違和感をずっと持っていたんです。
というのも、画面共有をしていると数人の顔しか見えないので、人と話している感覚が圧倒的に薄れてしまうんですね。

プレゼンをする時に、これまで僕は視覚を大切にしてきました。
立ち位置、立ち姿、動き方、ジェスチャー、目線の合わせ方、聞き手の目線を引き付けるスライドの構成、、

しかし、Zoom環境で行うプレゼンテーションでは、
視覚情報は、パソコン画面を支配する大きなスライドと、小窓に写った小さい自分だけです。

これは、やり方を全く変えなければいけないと思い、
考えついたのが「ラジオ的話し方」です。

僕はラジオが好きで、運転中であったり、何か作業をしながら良く聞いています。
ラジオは、テレビよりも視覚情報が圧倒的に少ない媒体です。
少ないというかゼロです。笑
それでも、多くのラジオDJは僕らに必要な情報を過不足なく届けてくれます。
「視覚情報」を補完する描写が丁寧になされていて、
その上で、「聴覚」だけにに情報が集中しても心地よく聞くことが出来る、絶妙なバランスを保っていると思ったのです。

そこで僕は、ラジオに関する本、ラジオDJが書いた本をたくさん探し、ヒントを探してみることにしました。

そんな中、これだ!
と見つけたのが、西任暁子さんの『「ひらがな」で話す技術』でした。

◎こんな本だよ

ラジオDJである筆者が、ご自身の経験から導き出した「わかりやすい話し方」についてまとめている本。
具体的な話し方だけでなく、「なぜ分かりやすいのか」という大原則から紹介し、そのヒントを「ひらがな」に置いている。

◎こんな解釈をしてみました

分かりやすく話すために知っておくべき大原則。

それは、
「人は"ひらがな"で話を聞いている」ということです。

僕はまさしく、「この考え方だ!」と思いました。
ラジオDJの話が音だけでスッと入ってくるのは、ひらがなで届けているからなんだと冒頭から腑に落ちました。

どういうことか説明しましょう。笑

ひらがなとは、古くは、やまとことば。
つまり、昔からずっと日本で使われてきた言葉です。

私たち日本人は、言葉を扱うのが非常に器用なので、
ひらがな、漢字、カタカナを使い分けています。

言い換えると、
やまとことば、漢語、そして外来語です。

そして、普段のコミュニケーションでは全く問題がないこの使い分けですが、
漢語や外来語は、やまとことばよりも、理解にコンマ数秒時間がかかっている、
というのがこの話の前提です。

筆者は漢字とカタカナを総称して、「四角い言葉」
ひらがなを「丸い言葉」と定義しています。

例えば、レフェリーでは競技規則上のややこしい言葉がたくさんありますが、
「あの場面、SPAの状況でホールドで妨害あったけど、アドバンかけて、シュートまでいったよね。」

では初めて聞く人は分からないですよね。笑

そこで、
「得点が決まりそうなチャンスで、服を引っ張って相手の動きを止めようとした選手がいたんだけど、引っ張られた選手は倒れなかったから、まだチャンスが続いて、そのままプレー続けてもらったからゴールが決まりそうな惜しい場面になったね。」

と言ってみると、初めてでもなんとなくシーンは想像出来るのではないでしょうか。

サッカーを例に出してしまうと、どうしても外来語は消し切れないのですが、笑
要するに、「5歳でも分かる言葉で話せ」ということです。笑

最初の例では、
初めて聞く方は、「SPA?」「ホールド?」「アドバン?」と話の中にたくさんの穴ぼこが生まれてしまい、
次の話に頭がついていかなくなってしまうのです。

分かりやすく話すために、
ひらがなで話すために、本文で紹介されているのは、次の3つです。
①分解する
②意味を説明する
③翻訳する

先ほどの例で言えば、
妨害する→動きを止める、と分解してみたり
シュートまでいった→ゴールが決まりそうな惜しい場面、と説明してみたり
ホールド→服を引っ張って、と翻訳してみました。

意識しなければいけないのは、
相手が意味を考えるために立ち止まるような言葉を使わない、ということです。

筆者の言葉を借りると、

あなたが漢字交じりの言葉の意味を思い浮かべながら話しても、相手に聞こえているのは、ひらがな化された音だけ。(中略)
大切なのは、自分の話が「相手にどう聞こえているのか」を徹底的に考え抜くこと。「音」で聞いている相手の頭の中がどういう状態なのか、常に想像することなのです。

ということです。


僕の中で、このひらがなで話す感覚、
特に「分解する」ことの大事さをすぐに理解出来たのは、英語で話す時の考え方との間に共通点を見つける事が出来たからです。

アルファベットとひらがな、全く異なるものですが、
根本の「人に思いを伝える」コミュニケーションの部分は同じです。

考え方の共通点は二つありました。

一つは、海外の人とは共有していない「日本人の感覚」を説明するために、英語力の前に、そもそも日本語レベルでの言語化が必要な時がある点。
もう一つは、英語で言葉に詰まった時に、単語に思い出そうと固執せず、別の表現に置き換えることが必要だと感じている点です。

一つ目の日本人の特有の感覚は、
例えば「先輩」。
これをただ、"senior colleague"とか訳してみても、
もしその後に、先輩に〇〇させられたんだよ、、という愚痴を話したところで、単に年長者の同僚という認識で、それ嫌だって主張すればよかったんじゃん?と
全然笑ってくれないかもしれません。笑

でも、「日本では、先にその環境にいた年上のことを敬う文化があり、話す時も目上の人に向けた特別な言葉があったりする。だからフラットな友達とは違い、避けられない上下関係がある間柄なんだよ。」
と事前に伝えてあげると、
「あー、それはお気の毒に。。笑」と言ってくれるかもしれません。笑

でも、日本人にとっては当たり前すぎる概念なので、
先輩とは、何か。
考える機会もないですし、説明する必要もないですよね。
海外の人と話す時に初めて苦労すると知った事ですが、
当たり前すぎる概念を言葉にするのはすごく難しかったりします。

二つ目は、
自分の言いたい表現が、英語ですぐに出てこない時。
例えば、「単語に固執せずに、、、」と言いたい時。
"without sticking to words..."とすんなり出て来なかったとしましょう。

その時頭の中では、別の表現を探す必要があります。
「単語に固執する」とは、「難しい言葉を使うこと」だから、
言いたい事は、「簡単な言葉を使う」ということだ!と変換が出来れば、
"need to use simple words"と中学生でも分かる表現に出来るかもしれません。笑

留学中は、言葉に詰まった時、
逃げずに別の表現を探す度胸と、
その表現を見つけるための分解力と思考力を見つける時間だったなぁと思います。


自分言いたいことがうまく伝えられないな。
英語がうまく話せないな。
と思っている方。

僕もまだまだですが、
概念や、自分の感覚を分解し、言葉にすることで道が開けるのではと思っています。


長くなったので、今日はこの辺で。

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