河童19

「あれ。」
どことない違和感に目を開けた。

なにげに開いた目に人影らしきが見えた。

ただの人影なら交替の人かと思うが、見えた影は、疲れきった子供のようにも思えたからだった。

幼き年寄りは身体をおこし、目を凝らして辺りを見回した。
「なに。」
何かが草むらにかくれた。
目の迷いではなく確かに何かが動いた。
「だれ」
呟く声で問い掛けてみた。
村の子供の悪戯だろうか。
帰りが遅いので向かえに来たのか。しかし、大人たちの姿が見えない。子供たちだけで来るとも思えない。
よくよく目を凝らして見ると、草むらからこちらを覗く目があるような気にもなる。
疑いだし、得体が知れぬと気味の悪さが増す。
気にすれば気にするほど気になりだし、益々気になる。
気になるそれは、気にするだけ妖怪変化かと気になる。

こうなると子供の創造力は妄想へと向かい歯止めがない。
幼き年寄りの想像力は、辺りを魑魅魍魎、妖怪変化のすまう場所へと創り変えてゆく。

もう、妄想は現実としてあたりにあらわれているのかもしれない。

「おじさん」草むらから目が離せず、イビキも治まり寝息静かな男に声をかける。
「なぁ、おじさん何かいるよ」

新たなイビキで返事がある。

ガサガサ、草むらが揺れる。
草むらの揺れが合図とばかりに、同時に背筋を伸ばし勢いよく向きを変える。
あとは一目散に赤子のごとく、男のもとへ膝つき這いよる。

「おじさん」
急いで揺り動かし起こそうとする。
「ねえ、おじさん、おじさん、目を開けてくれよ、おじさん」
「うん、・・・交替か。」
男は目も開けず「おきるから揺らすな」重たそうに身体を持ち上げようとする。
「おう、あ、」言葉がまとまらない。
「あ、迎えが来たなら帰っても大丈夫。しっかり寝たから起きて見張る。」
男は身体を起こして、寝違えたのか、首をだるそうにゆっくり動かす。
目を明け、ゆるりと辺りを見回して、
「ん、交代はどこだ。」
幼き年寄りは、
「違うよおじさん。」
声をおさえて話しかける。
「あそこ、あそこ見て。あそこだよ」

指差して男の目を向けさせようとするが、
「どこだ」男はあくびをしながら見当違いの場所をみている。
「違う、そちらじゃなく、あっちだよ」
なんとか指差す方を男がみた。男は、静かにみている。
「ほらあそこ」

草むらをしっかり指差し、男に解らせようと事を話す。
「あそこに何かいるよ。こちらをみているよ」

自分とか周りの友人知人とか、楽しめるように使います。何ができるかなぁー!(^^)!