河童35

「・・・襲われたのか、何に、」
走ってきた男たちが、息を切らしながら辺りを見回して。
「村の長がいない、歳もかなりだから逃げ遅れたか。」
別のものが、
「いるか、みんないるか。誰も怪我は・・。」
皆が自分の身体、周りのものたちの身体に目を向ける。
たいした怪我はなさそうだった。
「どうなってるんだ。」
残っていた猟師が誰にとなく聞いてみる。
「儂には解らん。皆の姿が見えたら、いきなり走り逃げろと言われた」
応えた武を補足して、息を切らした男が、
「いきなりだ・・・。いきなり叫び声が聞こえた。気づいたときには、やつらがウジャウジャとでやがる。そして飛び付いてくるやつもいた。・・・たいして強くもなくすぐに振り払えるんだが、・・気味の悪さといったら。」
男が話し終わると。
「なにか来たぞ。」
平太の村の男が指差し叫ぶ。
暗闇のなかを何者かが走ってくる。
「きたぞっ射れ」
誰かが叫ぶ。と、同時に誰かが槍のようなものを手に構える。
「いや、待て射るな。」
弓を構えているものもいた。
その者を制するように武が肩に手をかける。
「あれは平太だっ」
武が呆れたように、
「・・ついてきてたのか。」
「わー、まっておくれよ。皆がいきなり居なくなるから、おいら襲われたじゃないか。」
胆がすわっているのか、元気なバカなのか、悪びれた様子もなく駆け込んでくる。
武が一括しようと息を吸い込むと、
「襲われたのか。」
一瞬早く他の猟師が尋ねる。
平太はこくりと頷き、
「ああ、武さんの村のおじさんが助けてくれた。」
武が驚き尋ねる。
「そのおじさんはどうした。」
「逃げてきたから・・わからない」
猟師たちがお互い顔を見回して、
「助けにいこう。長の姿も見えない。」
頷きあい足を踏み出した瞬間。投げた火の向こうから声が聞こえる。
「おーいっ。おーいっ、手を貸してくれ。長が足を痛めている。」
男が背中に人を背負い、不格好に走り近づいてくる。


自分とか周りの友人知人とか、楽しめるように使います。何ができるかなぁー!(^^)!