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グレーはグレーのままで


腹に真っ黒な感情を持っている。頭の中で何度もその人を殴った。許せない感情が消えない。

スピリチュアル界隈では、やたらと二極化、次元上昇だと謳われている。黒くて重くて汚い感情をきれいサッパリ手放すことに一生懸命だった。私も軽やかな気持ちで人生を全うしたい。スピリチュアルについては“にわか”の人間故に、そんな言葉に踊らされ少し焦っていた。



怒りの気持ちはなかなか離れてくれない。身体は両手を天に向けて手放しているイメージでいるのに、私のエゴが手放すことを許していなかった。
時々くる沈んだ波の時期に、ふたまわり上のお友達の、Mさんに相談した。
忘れたいのに思い出す。つらい。苦しい。
感情を吐き出すと、Mさんにもそんな過去があると言った。
嫌な気持ちから抜け出したくて何度もネットで検索したり本を読んだりしたと。それでもふっと思い出すことがあるんだと。
解決策は何も言われなかった。ただ、自分もいまだにそうだと教えてくれた。




私は真っ黒な感情を必死になって「白」で塗り替えようとしていたのかもしれない。相手の何もかもを許す必要なんてない。つらい出来事を完璧に消す必要もない。
高次元とは真っ白な天使だと思っていた。二極化、次元上昇、そんなのわからない。私たちは人間だ。そういう人間くさい一面も抱えてもなお、清い存在になっていけるのだろうか。


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