中年の危機、「世話」という課題

40代になり、特に子供が小学校にあがるとにかく忙しい。
それなのに、身体は無理が利かなくなってきます。
睡眠時間が少なくなると、口唇ヘルペスがずっと治らない、主に足首あたりに原因不明の湿疹ができるなど、
 
もちろん30代も忙しいのですが、身体の無理もききましたし、
何より仕事は一番楽しい時期だし、まだその業界の全体像を見ている訳でもないし、
子供の年齢もまだ小さいので、そんなに子供自身に社会性を求められるわけでもないので、
自分の力でコントロールできる割合が多いような気がします。
 
世の中も、家族も、自分自身の身体も、何一つ思うようにコントロールできない
ということに気づくのが40代なのかな。と思っています。
 
そんな時に、今まで目にも止めなかった本が、視野に入ってきました。
2022/1/26
・『中年危機』:河合隼雄さん…①
・『中年の危機を乗り越える8つの方法』:齋藤 真行さん…②
という本に出会います。
 
河合隼雄さんは、有名な臨床心理学者さんですが、①の本の冒頭では、要約すると
・心理学で「中年」を大切に取り上げたのは、スイスの分析心理学C・G・ユングで、現在のように平均寿命が長くなった時代では、「働け働け」の「効率主義」の考え方で生きることは困難で、ユングの言う「人生後半」の生き方を自分なりに見いださねばならない。
・これからの人生は、一山型のカーブではなく、双子型の山の軌跡をたどることになり、二回目の山にとりかかろうとするあたりが、「中年」に当たる。
・「中年の危機」において、何らかの転回を経験する例が多く、多くの人は大なり小なり抑うつ症的な傾向に悩まされる。
・現代は、社会の変化が激しいので、その変化についてゆくことができなくなるために、中年の危機を迎える人もいる。
・家庭においても、夫婦や親子の関係あり方が以前とは異なってくるため、そのために適応に困難を生じることもある。
・何かひとつの考えや方法を確立して、それで一生押し通してゆくことはできず、どこかで何らかか転回を経験しなくてはならない。

といった、特徴的な時期であると述べています。 


齋藤 真行さんは牧師さんのようですが、②の本では、エリクソンの発達課題※についても触れながら、
・中年期の課題として、自分自身の限界性を受容すること
・それまでに積み上げた人生のすべてをリセットして、全く別の自分になろうと葛藤し、「個性化」を拒否するよりも、
それまで続けてきた働きを個性化・深化させていく
ことをすすめており、

「徹底からバランスへ」、
のシフトの大切さを伝えているあたりは、まさに私の考えと通ずることろがあり、仏教で言うところの『中道』のすすめに通じるところがあるのだろうな、と思いました。
 
仏典でも、「同じ歩みの仲間と共に歩むのは最高の喜び」であると述べられている一方で、独りで生き、独りで死んでいくのが、人間の実相、であると説いています。『犀角経』(犀角はさいかく、と読むようです。サイの角のこと)という経典には、「四方のどこにでも赴き、害心あることなく、何でも得たもので満足し、諸々の苦難に耐え、恐れることなく、犀の角のようにただ独り歩め」という金言があるらしく、なんだか、響きも呪文のようでかっこいいと思って気に入っています。
 
※最後に、中年の危機を語るのに外せない、エリクソンの発育課題について、すごく簡単に述べます。
エリック・エリクソンという心理学者は、
人生のそれぞれの時期に向き合わなければならない発達課題があるという説を唱えており、
青年期(12~20)でのアンデンティティの確立などは有名かと思いますが、
壮年期(40~65)での発達課題として、仕事・家庭・社会的な活動を通して社会に対する責任を果たし、次の世代に関心を持ち、育てていくこと、が上げられ、「世話」という能力が身につくとされています。それが、世代の繋がりをもたず、次の世代に興味を示さず、自分の世代のことばかり考えていると、「停滞」という状態になります。
 
40代、の人生の発達課題が「世話」とは!!
お母さんは育児に追われて、自分の人生、このままでいいのかななどと葛藤することが何度もあると思いますが、
これでいいのだと、「世話」という壮年期の一番大切な課題に取り組んでいるのだと、自信を持って、
私も、今日明日を、頑張って「お世話」させて頂こう笑、と思います。
 


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