見出し画像

市議の恫喝事件について(雑感)

本年度当初、栃木県大田原市の一議員が学校医を脅し、結果、その医師は学校医を降りた。

───────────────
【大田原】斎藤藤男(さいとうふじお)市議 が小学生の長女の学校健診結果を巡って学校医 にクレームを入れ、医師が学校医を辞任した問 題で、市議会の議員倫理委員会は11日、第2回 会合を開いた。市執行部が学校医ら関係者から 聞き取りした内容などを含め、事態の経過を説 明した。

君島敬(きみじまたかし)教育部長らは、斎 藤市議が学校に電話した5月28日から、相馬憲 ―(そうまけんいち)市長が大田原地区医師会 長に後任学校医の推薦を依頼した6月17日まで の一連の動きについて、関係者から聞き取った 内容を報告した。

この中で「学校医が市議から『お前』呼ばわ りで『ネットで医院の評判をいくらでも落とせ る』などとどう喝され、身の危険を感じた」な どとして辞任した、と説明した。次回会合は16 日に開く。斎藤市議に出席を求め、弁明の機会 とする。

一方、地区医師会は11日までに、相馬市長に 医師会の見解を文書で提示した。「学校医の辞 退まで追い詰められるということは、暴力行為 (暴言)の被害を受けたということで、遺憾の 意を表さざるを得ない」「市議会の動向を見守 った後、後任学校医の選定を含め改めて回答す る」などとしている。
           〈新聞の記事より〉
────────────────

中程度の自治体で起きた小さな事件だが、恫喝の言葉に「ネットを使って〜」のくだりがあるのが気にかかる。

ネットでの炎上の恐ろしさは、あびる優が叩かれた頃よりも数段陰湿になってきている。

かつては2ちゃんねるなどの掲示板に書き込んで、正義心に溢れた人が個人特定や電凸をしていたが、その母数は今よりもはるかに少なく、パソコンを持っていたり時間を持て余した人に限られていた。

叩かれる側も、有名人や実名報道された容疑者あたりで、あまり一般市民までは名前が上がらなかった。

だが、現代社会ではどうだろうか。

ほとんどの人がスマホを持ち、子どもたちもタブレット端末を貸与され、ネット環境はインフラ並に身近になった。

東京都知事選で二位になった石丸氏などは、正にそのネットによって人々の意識に刷り込まれ、約160万票を集めた。
考えるチカラを奪い、脊髄反射で行動をコントロールできるのが、ネットの恐ろしい所以だ。

✩✦✩✦✩✦✩✦✩✦✩✦✩✦✩✦✩

さて本題に移る。

今回の記事に上げた市議は、44歳。
格闘技経験者で屈強な男性だ。

一方、恫喝を受けたとされる学校医は70歳代。
普通であれば、悠々自適の隠居暮らしをしていてもおかしくない年齢である。

確かに報酬は発生する仕事だが、在校生の人数✕幾ばくかの単価で報酬額が決まるため、少子化の進んだ現代では、割に合わない仕事と言えるだろう。

簡単に言えばあまりやりたくない仕事であり、半分はボランティア的な面もある。

屈強な44歳が70代の医師に「ネットで医院の評判をいくらでも落とせる」と言ってきた。
それは暗に「情報操作をして、炎上させる」と言っているのと、ほぼ同意義ではないだろうか。
自分のバックには、簡単に情報に乗っかって電話攻撃する奴がいるんだぞ、と。
電話でいきなり怒鳴られたり、電話がひっきりなしにかかってくる恐怖を一度、味わってみるといい。
それがどれほどの脅威かわかるだろう。

開業医はオンコールで待機していないといけないローテーションがあるため、電話線を抜くことはできない。
八方塞がりなのだ。

市議はそこまでわかった上で、恫喝したのだろうか。
だとすれば、たとえ子どものメンタルを守るためとはいえ、やり過ぎだと思う。
そんな父親をみて、果たして子どもは手放しでよろこべるのか。

市議の主張を待ちたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?