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愛の行方

■いよいよ少しずつ引越しの準備を始めている。正直まだ実感が湧いていないところもあるが、ともかくやらなければならない。今回は物をバシバシ捨てようと思っている。生活をしつつその場を畳んでいくというのは結構難しい。どこから手をつけたものか途方に暮れてしまう。でかいものから片付けて楽になってしまいたいが、でかいものは引越しギリギリまで使う。使うからこそでかいのだ。

 苦しいが、やるしかない。1動作するごとに、15分固まってしまう。そんな自分が目に見える。その目は虚無を見つめている。否、その目は虚無である。そんな自分がありありと想像できる。荷造りのことを考えているだけで、この文章を書くスピードまで遅くなってしまう。

 とりあえずまず、一旦布団を畳もう。そうすればスペースができる。埃は舞うが仕方あるまい。考えるよりまず手を動かすことだ。そんなことはわかってる。必要なのは気合いだ。諦めるという選択肢はない。これは引越しなのだ。諦めたらそこで試合終了というわけにはいかない。仮に諦めても試合は続く。であるならば、初めから諦めるという選択肢はないのだ。おぉ、引越しとはまるで、まるで人生のようではないか。我が友よ。揺り籠から墓場まで共に進む我が人生よ。お前は生から死への引越しだとでもいうのか。ならば友よ、死とはまるで、新たなる命へと生まれ変わるようではないか。我が友よ。それが引っ越すということなのか!

 なんとなくモードを作るために、カーペットをまず丸めてしまうというアイデアが湧いた。これは生活の象徴だから、これを畳んでしまえば、もう引越しモードなのですよ、と自らに刷り込むことができる。これはいい案かもしれない。少し大変かもしれないが明日やってしまおう。

 いやいや、待て。そんなことしても引越し日まで邪魔なものが増えるだけだぞ。本当に大丈夫か?しかし確かに、生活の土台をひっくり返してしまうというのは自分の性格的には合ってる。モードが切り替わればやらざるを得ないという気分にもなる。だがしかしまぁ、定石からいえばカーペットなど最後の最後だろう。そんな定石が本当に存在するのかどうかは知らないが。でも他にどこから手をつけていいのかわからない。だったら、先のことは考えずに思いついたところから揺り動かしていくしかない。全部同じだ。この文章もそう。絵もそう。曲もそう。ひっくり返せるところからひっくり返していく。おもむろにテープルとか立ててみたり。そうだな。イメージが湧いてきた。どのみち一回全部ひっくり返さないとダメなんだもんな。うん。そうだな。よし。そうします。よーし。頑張るぞーーー。

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