中共の軍事組織

ここでは、中共軍に関する基礎文献と毛沢東の論文を使用し、中共の軍事組織の分類について述べる。


中共の軍事組織を分類する

資料ごとの中共軍事組織の分類を、ざっと箇条書きで書く。
注意しておきたいのは、これらはあくまでも「分類名」である。
そのため、「正規軍」「地方軍」という名称の組織があるわけではない。
たとえば、115師は正規軍に分類され、山東縦隊は地方軍だと思われる。


平松茂雄『中国人民解放軍』岩波新書

内戦期の中共軍事組織は、民兵・地方軍・野戦軍(主力軍)から構成され、「三結合の武装力体制」を構築したという(8項)。

毛沢東「抗日遊撃戦争の戦略問題」

(毛沢東『抗日遊撃戦争論』中公文庫)

正規軍
遊撃隊
自衛軍
(127項)
抗日自衛軍(142項)

ここでは、遊撃隊は「正規軍とは異なる独自の組織」ではなく、未熟な正規軍として描写されているように見える。
将来的に正規軍へと発展してゆく存在として描かれている。
ちょうど、大人にたいする子どものような存在だ。

また、自衛軍・抗日自衛軍というのは、民兵に相当する組織だと思われる。
抗日自衛軍の任務は、地方の警備(漢奸の弾圧と情報の保秘)と堅壁清野の実行だという(143項)。

毛沢東「中国の赤色政権はどうして存在することができるか」

(毛沢東選集刊行会『毛沢東選集 第1巻』三一書房)
以下は、いずれも同書88項から。

「正式赤軍」
「赤衛隊」

「正式赤軍」について、同書では「相当の力をもつ」と表現されている。
一方、「赤衛隊」は「地方的性格をもつ」という。
特定の地方出身者から構成され、その地域を防衛する任務を持つ部隊か。
そして、赤衛隊だけでは「○○団(判読不明文字)には対抗できる」が、「正式の白色軍隊」には対抗できないという。
○○団とは、政府側民兵だろうか。
「正式赤軍」が政府軍と対戦し、「赤衛隊」は政府側民兵と戦っていたのではないだろうか。


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