経済・金融4ー中共と法律
ここでは、中共と法律について検討したい。
建国以前から中共は独自の貨幣を発行しており、それなりの金融政策を実施していたとみられる。
しかし、少なくとも「法」という点においては、あまり重視しておらず、極めてアバウトだったものと推測できる。
法律を軽視する毛沢東
毛沢東は、建国後の憲法について「わたしは覚えていない」と発言し、法ではなく会議を重視する旨の発言をしている(石川、211項)。
国家のトップがこのような認識であるというのは、現在の西側的価値観では理解不能の境地ではある。
しかし、このような考え方は当時の中国の実情に適合したものだと思われる。
建国後の貧弱な法
建国後の「刑法」は、「反革命処罰条例」「汚職処罰条例」の2つしかなかったという(石川、212項)。
この状況は1979年まで続いたようだ。
おそらく、泥棒・ケンカ・性犯罪なども、「反革命」か「汚職」として処罰されたのだろう。
やや無理がありそうな気もする。
性犯罪への厳罰の根拠は??
建国前、中共軍は将兵の性犯罪に対しては厳罰をもって対処し、当該者は処刑していたことで知られる。
一方で、脱走者にたいしては異様なまでに寛大であったとされる。
日本軍であれば、これらは軍法(?)によって処罰されたものと思われる。
しかし、上述のように「法」を重視していなかったと思われる中共では、法をもって将兵を処罰したとは思えない。
おそらく、政治委員・部隊指揮官の判断によって刑の重さが決定されたのではないだろうか。
また、性犯罪に対する厳罰に関しては、中央からの指示があったとみるべきだろう。
参考文献
石川禎浩『中国共産党、その百年』筑摩選書、2021年。
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