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バス停 #ほしかったラブレター


あきら。
あなたの名前を呟いてみる。

舞う風花がアスファルトに落ち、溶けていく様を帰りのバスを待ちながらぼんやりと眺めていたら、あなたのことを思い出してしまいました。

通勤の際、あなたといつも同じ時間にこのバス停で一緒になり、いつしか会話をするようになった。
丁度この時分には、バスの車内で朝食を済ませるあなたは、自分の分とは別に私にも温かいミルクティーを買ってきてくれて、私はそれで手を温めながらあなたといろんな話をした。

本当はあなたの方が私のことを先に好きになったはずなのに。
口には出さずともあなたの気持ちを知りながら、はぐらかしていた私が悪いのはわかっている。

あなたが他の人を好きになったという、恋愛相談を私にしたあの日も、こんな風に小さな雪が舞っていたね。
あの日私は〈ああこれで終わったんだ〉と気付かされ、その日のうちに会社へと辞表を出しました。
好きな人の話をするあなたと、どんな顔で接すればいいのかわからなかったから。
もう、同じバスを待たなくて済むように。

あなたが私のことを想ってくれている間に、もし気持ちを伝えてくれていたなら、なんて考えてしまうずるい私がいます。
こんなに引きずるくらいなら、本当は自分から伝えるべきだったのでしょう。

今、あなたはどうしているのでしょうか。
幸せだといいな。
でも、もし寂しくしているのなら……
しめじこ、って
また私の名をあなたに呼んで欲しい。

いいえ、やっぱり私はあなたの幸せだけを願うことに致しましょう。

ほら、またあの時あなたが言ったように、雪は雨に変わってきましたよ。





こちらの企画に参加させていただきます。
山根さんとははじめましてですが、七田苗子さんの作品を見て勝手に参加させていただきました。
よろしくお願い致します_(._.)_

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