涙の理由なんかより

わたしが夜に

しとしと泣くのはね

どうしてなんだろう

自分でもね

よく解らないの

昼間には

涙なんて

出てこないのにね

変だよね

きっと、

昼間は

頑張れる自分を

演じられるから？

化粧を落とすと

心の膜まで

剥がれてしまって

つるりとした

生身の想いが

晒されてしまうから？

そんなこと

そんな理由なんて

本当は

どうでも良くてね

あなたの袖に

しがみついて

うぉんうぉん

と

無邪気な

子供のように

大声で泣きたい

だけなのかも

しれません

だからね、

だからって言うのも

変だけど

夜の

素っぴんの

素のままの

わたしは

やさしく扱ってよね

さらさらと

涙を流していても

気にしなくたって

いいのだから

でもね、

もしもね

もしも部屋で

仄明かりの中、

厚化粧していたら

その時は

ただ、

唯々、

そっとしておいて

ちょうだいね

明日になれば

ちゃんと

わたしを

演じられるから

いつか

いつの日か

わたしの涙で

あなたの袖を

びしゃびしゃに

濡らすくらい

大声で

喚けるくらい

心を解放できる

日が訪れたら

その時は

思いきり

強く

壊れるくらいに

強く

わたしを

抱きしめて

ねっ、

お願い

約束よ