Mトーナメント2023 竹内元太プロ・究極の選択の是非
竹内元太 執念のハイテイツモ
2023年7月6日、Mトーナメント2023・予選2ndステージC卓/D卓の試合が開催された。Mトーナメントの予選はMリーグルールで半荘2回戦を行い、上位2名が勝ち抜けるルール。トッププロ達による条件戦が楽しめるのが醍醐味だ。
さてそんなMトーナメントであるが、予選2ndステージC卓・2回戦のオーラス、非常に熱い一幕があった。出場者は浅井裕介・二階堂瑠美・竹内元太・東城りおの4名。1回戦の時点でのポイントは以下の通り。
浅井裕介 +50.1
二階堂瑠美 +6.3
竹内元太 -15.8
東城りお -40.6
そして2回戦のオーラス開始時点での点数状況はこの通り。
二階堂瑠美 40700
浅井裕介 31600
竹内元太 21800
東城りお 5900
この点数のままだと瑠美と浅井が勝ち抜け決定。竹内が勝ち抜けるためには、倍満ツモor瑠美からハネ満出アガりor東城・浅井から三倍満出アガり。東城は瑠美から三倍満ロンorダブル役満ツモか他2人から出アガり。
東城はほぼ役満条件と言っていい状況でかなり苦しい。竹内はギリギリ条件は残っているが、倍満ツモが一番現実的というところで苦しいことは間違いない。しかもオーラスの親番は浅井なのでこの1局で倍満を作らなければならない。
さてそんな状況で迎えたオーラス、配牌は以下の通り。
どう見ても倍満にはなりそうもない手牌。気合いでタンピン形の345三色とかを作るか、チートイツに賭けるか…といったところだろうか。
まあ流局するか…と思って試合を見ていたのだが、竹内の執念によりなんとこのテンパイにたどり着く。
ツモればリーチ・ツモ・タンヤオ・三色・赤でハネ満確定。これに一発や裏が絡めば倍満が見える。そして少しだけ運の良いことに、何もなければ竹内にはハイテイの手番が回ってくる。ということで、竹内は次巡ツモ切りリーチ。
竹内の残りツモ番は2回。1回目でツモった時は一発、2回目でツモった時はハイテイがつく。あとは裏が1枚乗れば倍満、というリーチだ。4sは残り山に2枚。これもツモれない可能性の方が高いが…竹内はハイテイでツモアガり!
あとは裏が乗りさえすれば倍満。緊張の一瞬…。
裏ドラは南。乗らずで3000-6000となり竹内は敗退となった。ただ明らかに悪い配牌から条件を満たす可能性があるところまで持っていったところがそもそもスゴい。常人では不可能なワクワクを最後まで味わわせてくれたことに感謝したい。
さて、まずここまでがC卓2回戦オーラスの状況である。本記事ではここからもう一歩踏み込んで考えたい。
竹内は残りツモ番2回でリーチを打ったが、実は残りツモ番1回でリーチを打っていればハイテイだけでなく一発も同時につき、裏が乗らずとも倍満条件をクリアできていた。
もちろんハイテイにアガり牌の4sがあるなんてことは分からないので、残りツモ番2枚でのリーチは妥当な選択に見えるが、実際のところはどちらが得なのだろうか?あと一歩まで迫っただけに非常に気になるのだ。
Mトーナメント内では解説の渋川難波が「中当たり2回のくじを引くか、大当たり1回のくじを引くか」と例えていたが、まさしくそんな感じである。つまり、
1.残り2回のツモ番で一発orハイテイの手番でツモアガり、裏1枚を期待
2.残り1回のツモ番で一発+ハイテイを狙う
この2択のどちらが得だったのか?…というところを具体的に考えてみたい。
数学的な話
麻雀における単純なツモアガりの確率は以下のように求められる。
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