神域リーグ2023 ファイナルを終えて
神域リーグファイナル
2023年9月8日、神域リーグ2023ファイナルの3試合が開催された。5月から行ってきた神域リーグの試合もこれで最後。選手の緊張感は当然高まっているだろうが、見ているこちら側も中々緊張するものだ。
ファイナル開始時点でのスコアは以下の通り。
チームヘラクレス:+99.6pt
チームアキレス :+31.2pt
チームアトラス :+13.6pt
チームグラディウス:-57.7pt
ヘラクレスが2位のアトラスを60ポイントほど引き離している状況。トップを取ると順位点が+50ptだからワントップ分くらいリードがあるということだ。アキレスとアトラスはヘラクレスの着順を沈めながらトップを取ることを意識する必要がある。
グラディウスはアキレス・アトラスよりもさらに差が開いており、この2チームもまくらなくてはいけないので、大体3トップ、大きめのトップを取ればトップ2回・2着1回でもまくれるか?という厳しい条件だ。
とはいえグラディウスは、セミファイナルでは奇跡の展開で皮一枚チームゼウスをかわしてファイナルへ進んできた。その勢いを買うとしよう。
さて迎えた第1試合。もうこの試合は初っぱなからトップスピード。アトラスの歌衣メイカがなんとリャンペーコーを引きアガっての倍満発進。昨年のMVPがここでその実力を見せつけてきた。
その後、渋谷ハルが上手く立ち回っているものの不運な放銃が連続する苦しい展開。ただ最終戦を迎えて全員がゲームに集中できていた印象を受けた。
南場に入っても歌衣メイカの勢いは止まらず。渋谷ハルから12000直撃、さらには4000オールツモアガりと一気に下を引き離すアガりを見せる。結局歌衣メイカはなんとこの最終戦で今年度の最高半荘得点記録を塗り替える78500点の大トップをマーク。アトラスの2連覇がグッと近づいてきた。
ただその裏で緑仙が何とか食らいついていき2着を獲得。リードしているヘラクレスにとってはこの2着がどれほど大きいことか…。第1試合が終わった時点でチームポイントはこの通り。ヘラクレスとアトラスの一騎打ちの様相を呈してきた。
チームヘラクレス:+116.5pt
チームアトラス :+112.1pt
チームアキレス :-45.1pt
チームグラディウス:-96.8pt
続く第2試合、アトラスの鈴木勝がマンガンをアガる好発進でこれは…と思ったが、直後の局で因幡はねるが鈴木勝から8000直撃。
そして次の東3局がなかなか事件の展開。因幡はねると鈴木勝がなんとかテンパイを入れようと粘って仕掛けていた局面。鈴木勝は形式テンパイを取りきり、因幡はねるは取れず流局…かと思われたところで親番の或世イヌが現物を見落とし、打ち出した4mがなんと鈴木勝のアガり牌!ホウテイドラ3のアガりが成立し、鈴木勝がまたもマンガンのアガり。
だがここからグラディウスの天開司が一矢報いる。東4局、鈴木勝から3900を直撃すると、南1局親番ではなんと6000オールで一気にリード!南2局でも5200をアガり、この半荘は天開司が5万点超えのトップを獲得。グラディウスの優勝の可能性をわずかに残した。
2着には南場でアガりを重ねたヘラクレスの因幡はねる。ヘラクレスはトップは取れないながらも際どいところで2着に残り、なかなか首位の座を譲らない。第2試合終了時点のポイントはこの通り。
チームヘラクレス:+125.0pt
チームアトラス : +94.2pt
チームグラディウス:-22.7pt
チームアキレス :-109.8pt
さすがに優勝は上位2チームに絞られた第3試合。東1局、グラディウスの朝陽にいなが親リーチも、ヘラクレスの空星きらめがホンイツの仕掛けをアガりきって2000-4000!優勝に一歩近づく。
しかし次局、親の咲乃もこと白雪レイドが2軒リーチとなり、ここに手詰まった空星きらめが白雪レイドに8000放銃。さらにアトラスの咲乃もこは東3局で8000をアガって2着に浮上。そして東4局でも2000-4000ツモで咲乃もこがトップ目に浮上。アトラスが一時的にヘラクレスをまくる。
南1局、空星きらめが3900のアガりで少し回復。そして南3局、親番の白雪レイドが2本場で4000オールをアガりトップに浮上。優勝は厳しいがアキレスも一矢報いる。
そして運命の南3局3本場、ここで朝陽にいなと咲乃もこがリーチでのめくり合い。ここで咲乃もこが朝陽にいなに120000を一発放銃。これでヘラクレスが優勝ポジションに浮上。咲乃もこは最後まで粘ったが、南4局は流局で終了。アトラスは一歩届かず、ヘラクレスの優勝が決まった。最終ポイントは以下の通り。
チームヘラクレス:+101.2pt
チームアトラス : +99.6pt
チームアキレス : -45.4pt
チームグラディウス:-68.7pt
ヘラクレスはトップは一度も取れなかったがラスも引かずに手堅くまとめてギリギリの優勝をつかみ取った。2位のアトラスとは結果的に1.6ポイント、つまりは1600点差だったことになる。どこかで流局のテンパイ・ノーテンが変わるだけで優勝チームが変わってしまうほどの僅差。やっぱりドラマが生まれてしまうものなのだなあ、とシミジミ感じ入る次第である。
神域リーグは続くのか
前年の第1回に続いて、今期の神域リーグ2023も大盛況の内に幕を閉じた。これで2年連続の開催となった神域リーグ。なんでもそうだとは思うが、やはり1回目よりも2回、3回と続けていく方が難しい。
だが今回の神域リーグ2023は昨年度より1チーム増やして試合数・選手数を増やし、またセミファイナルを追加するなど、新たな試みを取り入れつつ非常に上手く進行した。
昨年から引き続き出場している監督・選手、今年から新たに神域リーグに加わった面々。お互いに立場の難しいところもあったかもしれない。昨年度のチームのままが良かったという人もいたかもしれないが、今年も結局は大変面白いチーム戦を見せていただけた。
神域リーグに参加した方々、それを裏で支えてくださった方々のおかげと思う。関わった全員に感謝を申し上げたい。
閑話休題。他方、2年神域リーグを開催したことで、徐々に開催のノウハウも確立できてきたのではないだろうか。また、当初懸念されていた麻雀配信で打牌批判をする人間などが居るといった問題も、リーグ開幕前の天開司の警告によってある程度落ち着きを見せた。
加えて、チームのメンバーが変わっても面白いドラマを繰り広げられることが今回の大会で証明されてように思う。つまりは来年度以降も神域リーグのできる素地が今回の大会で形成されてのではないだろうか。
近年、Mリーグの開催、雀魂の流行などによって裾野の広がっている麻雀界隈において、神域リーグはライト層のファンを取り込んでいくという側面に歩居て非常に大きな位置づけの大会になってきたように思う。
Mリーグが一大コンテンツとなっている現状の麻雀界、そのオフシーズンを盛り上がるためにMリーグ側も「Mトーナメント」という大きなイベントを打ち出してきた。ただ神域リーグもそれに匹敵するイベントではないかと個人的には考えている。コンテンツの枠組みを超えて、麻雀界のためにも存続して欲しいイベントの一つであると個人的には考える。
コンテンツとしても確立できつつあり、麻雀界の未来のためにも神域リーグは必要である。来年度以降の開催も期待したいし、また実際にやってくれるだろうと強く想像している。
終盤戦のシステム
最後に書いておきたいのでちょっと書いておくことにする。神域リーグのセミファイナル・ファイナルにおける試合形式である。すなわちそれぞれがお互いの試合結果を知らないまま戦う…というシステムについてである。
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