黒い職場見学 (B社 その4)

B社2年目のその場所のお局様は、結構強烈だった。
多分これはネタになる…と、思う。

私は麺類をすするのが苦手。
周囲に人がいないなら…いや、でもやりたくないな、一人でも冷たい麺でもすすらない。
すすらないとなると、熱い物なら数本を箸にとり、もぐもぐと食べていく。
人によっては、「もそもそ食べてて気持ち悪い」と思われるだろう。
フーフーはしますよ、でもそのあとズルズルってのが、私は苦手なのですよ、あの音が…。

昼食会で私はよく、出勤前に買ったコンビニパンやカップ麺を持ち込んでいた。
お金も無いし、作ろうとも思わないし、昼食なんて食べられれば何でも良いと思っている人間だから。
節約や栄養を考えて手作り弁当を持って来る人って偉いね…いやホント尊敬します。
私は訳あって家の台所に立たない主義なので、毎日カップ麺で文句も無い。
それにコンビニで「朝のうちに選ぶ」時間が割と好きだった。
昼休憩に入ってから選ぶのでは、どこもかしこも混むのでね。

で、昼食会でカップ麺を食べていると、お局様が「えー、何ですすって食べないのー?」とツッコミを入れるのだ。
「あー苦手なんですよね、すするの」と答えるけど、お局様は納得しない。
「麺って普通すするでしょ?変だよ!」
…んー、じゃあスパゲティはどうなんでしょうかねぇ…?
カップ麺は手軽で美味しいけれど、毎回お局様のツッコミが入るのが、地味に嫌だった。

そんなお局様が、いつもの手作り弁当ではなくカップ麺を持って来た。
「あ、珍しいですね〜」と、本当にその時は思って声に出したのだけれど。
「いつもあなた変な食べ方してるから、私がお手本見せてあげる!」と言い出したのだ。
…は?
お局様はどんぶりサイズのカップ麺を左手に持ち、右手の箸で麺をすくい、フーフーしたあと、口をすぼめて一気にすすり出した。

「ズルズルズルズルズルーーーーーーッッッッ」

えぇ????
「カップ麺ってのはこうやって食べるんだってば〜」と得意げなお局様。
その後もズルズルと勢い良くすする…吸い込むお局様。
呆気にとられる私…いや、うるせぇし、汚ぇし。
お局様はこれ見よがし、これ聞こえよがしにカップと口の距離を長く取り、勢い良くすすって食べていく。
…んー、バキューム…????

百歩譲って、麺をすする時に入って来る空気と共に食す、という文化がある事は認めよう。
でも、カップと口の距離を作って麺を長くすするのは違うと思う…跳ねるじゃん、普通に考えても。
そしてその音だ…音が大きければ大きいほど美味しくなるなんて、科学的根拠は無いはず。
汚い食べ方だなぁ…いやだなぁ、この音聞きたくない…昼食会は、そういう意味でも苦痛だった。

で、思った通り、スパゲティも「ズルルッ」と最後にすすって食べていたお局様。
うわぁ、やっぱりねぇ。
カップ味噌汁や食後のコーヒーなどもすすっていらっしゃいました、「ズズズーッ」と。
確かに日本やアジアは熱い食べ物が好きだけれど、少し待てばすするような音を立てずに食べられると思うんだけどなぁ。
クチャ音はさすがに無かったけれど、「姉御、強烈」と思ったものでした。

ちなみにクチャ音は、不思議派遣がよく鳴らしていました…ねえねえ、そーゆー所じゃないの?アナタは…。


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