黒い職場見学 (A社 その2)

A社でのテレオペ業務の過酷さは、ものの一週間で確実に私を精神的に追い込んだ。
地域差があるとは言え雀の涙ほどの給金と、謂れの無い深く突き刺さる暴言との算数は…小学5年生位になれば利益より損失の方が大きい事だってわかるだろう。

派遣元の営業担当によると、実は研修の段階で数名消えていたそうだ。
更に研修をすっぽかしてやって来て、その場でクビになった輩もいた。
そして、私のように悩んだりせず、更新の意思は無いとはっきり伝えてきた人間も複数名いたのだそうだ。
ははは…どんだけブラック環境なのか、わかってんじゃん皆…。
研修中、杖を使用する人を見かけたけれど、営業に相談するより数日前から見かけなくなっていた。
やはり、それだけ過酷だという事だ。
営業には契約更新をしなくても紹介中断等のペナルティが無い事を確認し、現在の契約期間を以て満了したいと伝えた。
「寧ろ突然消えたり、途中で辞められるより、満了してもらえる方が有り難いんです」と営業は言う…まぁ、途中退社で一筆書かせるのとか、面倒だしねぇ…。

私なりのけじめは、「契約」を全うする事。
派遣人生それなりに経験済みなので、相談という形で異議を唱える事はあっても、一筆誓約書を書かされるのは避けたい。
ただ、その為にはまだもう少し言葉の暴力に耐えねばならず。
終わりが見えているとは言え、やはり、キツかった。
密を避け早めに出社し、年配者達とはなるべく距離を置き、耳を塞ぎ、無視を続け、終業後は逃げるように走って帰った。
つるんで派閥を作るのは元々好きではなかったし、いざとなったら「三密怖いです」と言い訳すれば良い。
割り切って、とにかく大人しく、早く逃げよう…それだけで乗り切った。
勿論帰宅後は、何度も泣いた。

「シルバー率高いよね〜」という社員の声が、ロッカー室から聞こえてきた。
若者も勿論いたが…所謂「普通に就職できない難アリ人間」が集っているのだ…自分も同じ穴のムジナである事は笑えない事実であり、ショックでもあった。
最終的に、数社から派遣社員を集めているとは言え、全体の3分の1が契約更新をしなかったそうだ。
勿論抜けた分は補充する…そして当初は年末までの予定だったが、目標件数を達成したら期限を待たず契約終了になるらしい…そこまでは派遣会社達も想定外だった模様。
何とも…職種的にもアレだったが職場環境的にもアレだった。
…A社が極端だったのだと信じたい…本当に…。

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