黒い職場見学 (A社 その4)

強烈なA社で、初めてのテレオペ体験。
あぁ、やっぱり無理なものは無理なんだ、と改めて痛感した。
経験になったかもしれない、でも、同時に確信も持てた。
「無理だ」と思った直感は信じるべき、という事を。

研修中、あまりの段取りの悪さにイラついていた所に、本来出勤日では無いはずの責任者がやって来た。
「お菓子買って来たからね〜疲れるでしょ〜じゃんじゃん食べてね〜」
…は?
正直、何を言っているのか意味がわからなかった。
ド田舎でモラルもヘッタクレも無いとは言え、コロナ禍の超三密状態。
執務室は蓋付きの飲み物と貴重品以外の私物持ち込み不可、付箋であっても何か文字を書いたら溶解ボックスへ入れろと言われたのに。
お菓子?え??どこで食えと??ここでか??は??ゴミどうすんだよ??菓子ゴミは通常のゴミ箱で良いと????

「喋るお仕事だから、のど飴位なら良いんじゃないの?」
寄せ集めの掻き集め集団の中で、唯一マトモなテレオペ経験者がそう言うので、後に私ものど飴を持ち込むようになった。
もうセキュリティなんてユルユルのガバガバ。
携帯電話さえ持ち込まなければ、他は何でもOK状態。
私物のペンケース、リップ、目薬、ハンドクリーム、手鏡、メモ帳など…皆さん持ち込み用透明のバッグから見えまくり。
責任者も何も言わないし、そもそも責任者自らが「糖分補給してね〜」とお菓子を配る。
…そんな物配る余裕があるなら、時給に反映させろよ…。
私は配給初日以外、菓子は全部断った。

そんな訳で、本来持ち込み可能品以外は、ロッカー室へ預ける。
林立するロッカーも取り合いなのだ…便利な所は社員と常駐客向けで、やたら高い所と低い所しか空いていない。
ロッカーの前で上着を着るのにまごつくと、「あのー、いいですか?」と急かされる…私も言いたくなったさ。
朝は混雑を避けて早めに出るのでまぁ問題無いが、帰りは全員一斉に出てくるので、ロッカー室の出入り口は行列さえ出来るのだ。
密です、密…なので「いかにして素早く荷物を取り出せるか」、場所取りと荷物の入れ方を逆算して行動する。
そして逃げるように走って帰る…のだが、年配者達は群がりながらノロノロ歩くので、私はスラロームのように避けねばならない。
…勘弁してくれよ、もう…こんな空間から1秒でも早く逃れたいのにさ。

結局、「期間限定」「繋ぎ」と呼ばれた仕事は、当初予定の3ヶ月も続かず、それでも初回契約の1ヶ月強で終了したわけだけど。
とある客がA社と契約して、A社が複数の派遣会社から人を集めて労働させていたわけだけど。
A社の本業は、人材派遣業…テレオペ人材を他社へ派遣するのが専門らしい。
そんなんだったらさ〜、A社の直接雇用の方が良くねえ?中抜き減る分時給上乗せ出来るだろ?
強烈且つ謎の多い職場A社、もう赴く事は二度と無いけれど、こんなブラックな世界があるなんて、知りたくも無かったし全くの「経歴汚し」でしかなかったよ…。

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