黒い職場見学 (B社 その1)

B社で働いたのは、大学を出て直ぐだった。
…「A社とB社の時間的落差が激しい」と言われそうだけれど、まぁ書けるネタを思い出した順なので。
B社は、いわゆる通信業だった。
就職氷河期世代ど真ん中の私は。
もれなく「新卒正社員」として就職出来なかった私は。
氷河期ならではの「新卒派遣」に走るしか無かったのだ。

派遣会社は、B社の子会社…グループ企業とか何とかと言われるアレである。
新卒派遣…要するに学生上がりの何も出来ない若者に仕事を紹介してくれるのだけれど、当時は本当に有り難かった。
本来派遣先にとっては、「誰でも出来る事務とは言え、社会人経験も無い輩を寄越すんじゃ無いよ」ってもんでしょ。
…だって仕方無いじゃん、どこも取ってくれなかったんだからさ…。
だから私は、所謂「新入社員研修」を受けた事が無い。
マナーとは何ちゃら、組織とは何ちゃら〜の教育も何も無い状態。
派遣会社でも研修や講習も無く、登録したその日に「じゃあこの日からB社で働きましょうね」で就業開始すると言う、今となっては夢のような流れで就業したのだった。

B社での業務は、入力が出来ればOK、あとは頼まれ仕事だから〜という内容。
エクセルも関数など使わず、スキャナーで書類を読み込んで掲示板に貼り付けたり、電話の取り次ぎをする位。
定時の9時18時で毎日帰宅。
…正直、何も面白く無かった。
2年目からは事務所を移動したけれど、同じくスキャン三昧。
つまらん〜動きがなくてただコピー取るだけ、スキャンするだけ、時々座席近くのオジサン達の話し相手になるだけ、今で言えば「ちょいセクハラ」な事にも話を合わせる係。
つまらな過ぎて、2年でギブアップ。
特に何も能力は身につかなかったけれど、もしかしたら、まだ若いから正社員への転職が出来るかもしれない…主な転職希望理由は、割とマトモ…と言うか当たり前な考えだったと思う。

但し。
本当の転職理由はそれだけでは無い。
つまらない日々の機械的処理に加え、環境がマズかった。
当時は、禁煙分煙が一切無視されていたのだ。
禁煙分煙が推進されるようになったのは、転職した後も、もっともっともーっと後の話なのだけれど。
超ウルトラ嫌煙家の私には、死ぬほど辛かった。
オジサン達の愛用品は、タールや煙の物凄く強いタイプ。
臭い…目に滲みる…「タバコは、ちょっとぉ(控えてもらいたいんですが)」と言えない空気…まぁこれも今となっては「ちょいパワハラ」に入るのですが。
勿論吸わないオジサン達もいるのだけれど、大抵吸う人は職位が若干上なので、誰も何も言えないのが実情。
1年目、隣の席のオジサンが昇進して多部署へ転属になった時、正直ホッとした…灰皿がいつも私の袖机の上にあり、吐く煙も何だかこちらに向かって吹きかけているように感じていたからだ。

もう20年も昔の話なので、今は勿論色々大幅に変わっているはずだし、改善されているだろう。
それどころか、B社及びこの時の派遣会社が未だに存在しているのかもわからない。
その後を調べようとも思わないし、精々履歴書や職務経歴書の為にサラリと名前と内容だけわかっていれば良いや、という具合。
ただ本当に、「昔の会社ってこんなんだったよね」というネタでしかないね…面白さも何も無いただの記録になるかなぁ、B社編は…。

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