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無印良品の文具がシンデレラフィットするトレイを作ったら、お片付けが「快感」になった話

「あれ? はさみここに入ってなかったっけ?」

職場で事務用品が入った引き出しを開けて、使おうとしたら文房具が見つからない。
そんな経験、誰もがあるのではないだろうか?

自分の机というものが「フリーアドレス」なる言葉の元になくなりつつある今、手元の道具も最低限にして、必要な文房具は共用のものを使うなんて機会もまだまだある。
そんな時に、いつもの引き出しを開けると必要な道具が見つからないときの苛立ちは決して無視できない。

「蛍光ペンがない」「伝票が見当たらない」などといった仕事中の探しものに、ビジネスパーソンが年間150時間を費やしているなんて話もあるぐらい、道具の整理整頓は大切な要素なのだと言える。

しかしながら、引き出しを開けたときの現実はこんな感じ。
音にするなら「ドチャッ」って感じで引き出しを開ける際のGで中身は暴れまわり、そもそも何が入っていたのか原型もないくらいにゴチャついてしまう。

はさみはここに入っていた……はず。
ただ、ごちゃごちゃのどこかに紛れているだけかもしれない。
もし誰かが使用していたとしても、もっと漁れば見つかるかも……。

そんな時間ばかりが積み重なることで、さきほどの年間150時間もの探しものタイムが生まれてしまうということなのだろう。

今回はそんな終わりなき業務を自分なりの形で解決するべく、無印良品の定番文具をキレイに片付けることができるアイテムを「rcreative」さんのご協力のもと作成してみた。
ぜひその仕上がり具合を説明させていただければと思う。

トヨタ式の「姿置き」をもっと手軽に

モノを整理整頓して、探す時間を最低限にする。
そんなノウハウを学ぶなら、業務効率が求められる世界から学びを得るのが一番だ。

色々と調べているうちに、「KAIZEN(改善)」で世界に知られるトヨタの「姿置き」という手法にたどり着いた。
「姿置き」は、道具を置いたときの形にあわせてそのシルエットをテープで置き場所に貼り、道具の名前もそこに貼っておくという手法だ。
たしかにこれならどの道具を持ち出しているかもわかるし、戻す位置までわかりやすい。

しかし、正直テープを貼るのも大変だし、引き出しの中でそれをしてしまうと開け締めのGで場所がズレてしまう問題も残る。

AMAZONページより画像引用

そこで次に見つけたのが、キングジムさんの「かたづけマス」というアイテム。
これなら道具の場所をしっかり動かさずに管理することができる。
正直ここまでやっていれば、職場のおかたづけとしては120点満点だろう。
でも、せっかく作るのならもう一歩踏み込みたい。
そこで今回はレーザーカッターを使用したアプローチに踏み込んでみた。

戻すことが快感になる大人のパズル

今回はとことんこだわって、戻したくなる整理にこだわってみた。
まずは無印良品の店舗に趣き、ロングセラーなアイテムを中心にオフィスで便利な定番文具をセレクトすることからはじまった。

更に、そのアイテムを「rcreative」さんに地道に計測してもらい、データ化を実施。
道具が収まるシルエットをデータとして起こしてもらった。

その結果生まれたのがこのトレイ。
要するに、無印良品の文房具の形の穴が開けられたただの板なのだけど、これまた数十年レベルのロングセラーである無印良品のポリプロピレンケース引き出し式の引き出し底面にピッタリとハマる。

既製品をしようすることで、新しいパーツとして用意する必要があるのは「穴あきトレイ」だけとなるので、レーザーカッターだけでカスタムが可能となる。
このへんは、将来的に「欲しい」という人が現れた時のために、全国に店舗を構える無印良品というインフラと組み合わせることができるという意味で地味にこだわったところだったりする。(ぜひ欲しいという方がいればSNSで教えていただければ嬉しい)

実際にアクリルで作ったトレイを入れてみるとこの通り。
展示品のようにすっきりとケースに文具が並ぶ。
アクリルの厚み程度の穴なので乱暴に開け閉めするとさすがにペンが転がったりしてしまうけれど、費用対効果を考えると必要十分なのではないかと思っている。

また、無印良品のポリプロピレンケース 引き出し式は引き出しを出してしまえるのも便利なポイント。
お店の営業時間中や事務所の使用中はテーブルの上に引き出しごと出しておいて、素早く文具にアクセスするなんて使い方も想定している。

さらにレーザー加工機の得意技である「刻印」をフル活用。
トヨタの姿置きでも見られた「道具の名前」をシルエットの近くに配置することで、どの道具がもともとトレイに置いてあって、どの道具が使われているのかが一目でわかる。
実は文字のフォントも無印良品の日本語に使用されているものと同じものを使用してもらっているので、無印良品の世界観を活かしつつ、テプラなどのテープでの表記以上にミニマルでスッキリとした印象を実現している。

また、ホッチキスの芯やカッターの予備の刃といった細々としたものは、無印良品のペンケースに収める形でトレイ加工の手間を省くとともに汎用性を持たせている。

引き出しを収納として考えた時、こんな贅沢な使い方をするのがもったいないと感じる人もいるだろう。
実際今回の整理トレイは、ひたすらにかっこよさを追求したところがあるし、他に整理する方法はたくさんあるだろう。
でも意外と寄せられた意見の中には、「戻すのが楽しくなる」「大人のパズルですね」「子供も喜んで使いそう」というものがあった。
ジグソーパズルやテトリスのように、隙間があれば埋めたくなるというのは人間の心情なのかもしれない。
実際に無印良品の文具がシンデレラフィットしていく様子は、なんとも言えない気持ちよさがある。
子供だましなものよりも、大人が本気で作ったものを子供は見抜いて使うというし、学習机の中をこういった形でまとめるのはありなのかもしれない。

更に今回は木の板でもトレイを作成してみたところ、無印良品の雰囲気とも合うということで非常に好評だった。
木材であれば端材を使用したりといったアプローチにすることで、環境にも優しいものづくりを一歩踏み込んで行うこともできる可能性もある。
このあたりは提携先を探しながら検討を行っていきたい。

いまあるものを使って、ものづくりをするということ

文具店として新しい文具を探していると、世の中には既に素晴らしい道具がたくさん溢れていることがわかる。
特に無印良品のアイテムは比較的すぐに手に入り、ロングセラーなアイテムも多くて長所も短所も十分にわかっているものが多くある。
なにより、大きく「ハズレ」なアイテムがないであろうことから、職場の文具を無印良品で揃えるというケースもよくあるブランドなのだと感じている。

そんな中で今回は、無印良品の既製品のポテンシャルを最大限に活かすために、穴があいた板を作った。
それは「ものづくり」としては小さな小さなアプローチなのだけど、限られた資源を有効活用することが求められる現代においては、「あり」なのではないかなと思っている。

また、文具のシルエットのデータさえ増やせば、そのデータを組み合わせてアクリルや木材をカットするだけで済むため、オーダーメイドな配置のトレイだって作れてしまう。

既製品を使ったオリジナルアイテムである三角コーン看板

実は既製品を組み合わせるだけでも、十分に美しくて実用性のあるものが作れると思うし、既製品を活かしたものづくり(三角コーンで作った看板等)を続けるうちのお店としては「prefabrication design」、略して「プレハブデザイン」と呼ぶようにしている。
プレハブ小屋で使われている「prefabrication」という英語は、既に作られたユニットを現地で組み合わせて作る手法を表している。
もちろん、既製品を組み合わせることがものづくりの全てではないけれど、そんな提案の一つとして今回は「無印良品の文具を片付けるトレイ」を作ってみた。

まだ商品化するかまでは考えてないけれど、反応が多ければ検討したいと思う。
ぜひSNSなどでご意見をいただければ幸いです。

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