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パスケースへの不満を3年かけて取り除いたら、オリジナルアイテムができていた話

「なんかいいパスケースありませんか?」

文具店をやってると1年に何度かそんなことをお客様から聞かれる。
会社で働いていた頃であれば、通勤で交通系ICカードを使うこともあった。
職場で建物に入る前に入館証を出したり、社員証を使って出勤や退勤の登録を行うなんてケースもあったことを思い出す。

ただ、スマートフォンで何でもできる現代。
電車だってスマホひとつあれば乗れるし、そんなに必要なの?と思っていた。
でも、お客様の話を聞いて納得した。
お子さんにスマホを持たせて塾まで電車で行くかとか、会社でどうしても使うカードがあるとか、時代の波の端っこでまだまだ必要とされているらしい。

そう言われて探してみても、なかなか「これ!」といえるアイテムがない。
妥協なくお金をかければもちろんいいものはあるのだけど、お子さんに持たせたり会社で使用するものにどこまでお金をかけるかと言われれば限度がある。
だからといって市販のものだと、プラスチックパーツの半透明の色味が混ざってしまったりとか、こだわりすぎてガチャガチャとしたデザインになってしまったものが気になって個人的に「これ!」と言えるものが見当たらなかった。

そうなってくると喉に引っかかったような感触で、常に頭のどこかに「ちょうどいいパスケース」を求める意識が湧いてくる。
そして気になり続けること3年。
とあるパーツと出会ったことで、悩んできたことを解消することに気づいた。
でもあくまで出会ったのはパーツ
そのパーツを使って自分の思う「ちょうどいいパスケース」を世の中に出すためにはあくまで「オリジナル商品として在庫を持って販売する」必要が出てくる。
でも、いいものができる可能性があるなら、我慢してはいられない。
ということで、今回はそんな経緯で生まれたオリジナルアイテム「REEL & CLIP PASS CASE」をご紹介させていただきたい。

きちんと固定できる、フィッシュクリップ付きのリールパーツ

パスケースを作ることを考えるとき、「リール式」と呼ばれるメジャーのようにパスケースを引き出したり戻したりできる紐の機構を盛り込みたいと考えていた。
というのも、キーバックと呼ばれる海外の警察官が腰にジャラジャラ鍵をぶら下げて、サッと引き出して鍵を開けて、紐が戻って固定しておける仕草が大好きだったからだ。

実際、社員証や交通系ICはいつも定位置に入れておいて、サッと使って使い終わったら元の場所に勝手に戻ったら最高だと思っていたので、ずっとリール式のパーツを探し求めていた。
そんな中で見つかったのが、これまでの画像に登場した丸い形のパーツだ。

こちらのパーツ、元々社員証やパスケースを入れるための引掛けパーツとセットになっているのだけど、表面が黒色で統一されていて非常にミニマル。
文具メーカーのラダイトさんに別注でお願いしたオールブラックの合皮製のパスケースの金具部分を引っ掛ければこのように黒で統一したデザインを実現できてしまう。

リールの紐部分は約70cmあり、入館証や交通系ICカードのタッチにも十分実用的になっている。
もちろん使い終わったら自動で巻き戻るので、パスケースをいつもの位置で管理してくれる。

更にこのリールパーツの素晴らしいところは、このフィッシュクリップ。
黒いレバーでロックを開場するとしっかりとクリップを開くことができる。

そして取り付けたい場所に差し込んだら黒いレバーでしっかりロックすることができる。
事務所で使うクリップのように差し込むだけだと取れてしまいそうで怖いけれど、この仕組みであれば安心感がしっかりとある。

こんな風にリュックの肩紐にパスケースを取り付けしてもいいし、トートバッグの内ポケットやズボンの腰部分なんかに取り付けたりしてもいい。
クリップでしっかり挟むこむことさえできれば汎用性高く取り付けすることができてしまう。

ちなみにリールとパスケースの引っ掛け部分の間には小さな突起があって、外出時に社員証を裏向けのままにしておきたいといった用途にも対応してくれる。
ガッツリ固定されるわけではないけれど、細かい配慮がきちんと行き届いていることが見て取れる。

更にこのリールパーツが素晴らしいのは、リール紐が様々な角度で引っ張られても出し口との摩擦で摩耗しないように360度ぐるぐると回ってくれるという点。
この機構が小さなパーツにしっかりと組み込んであることで、安心感が感じられる。
このように、このパーツがなければとてもじゃないけど、パスケースをオリジナルで作ろうと思わなかったことがご理解いただけるかと思う。
けど、まだこれだけじゃない。
リールパーツには更に公式で拡張機能があることを、とあるきっかけで気づくことになったのだ。

ネックストラップも付けられますよ

パスケースのサンプルをお客様に見せ始めていた頃。
「ネックストラップをつけて首からさげたりできないんですか?」と聞かれることがあった。
確かにそうできたら便利なんだけど、リールパーツにストラップを付ける方法がない……
そう思い込んでいたら、実はメーカー公式で取り付ける方法が存在していることを教えてもらった。

フィッシュクリップの黒いバーのロックはこのように下側に倒すことでロックすることができる。
始め自分はこの方法しかないのだとばかり思い込んでいた。

しかし、よくよくパーツのカタログを読んでみると上側に黒いバーを倒してロックすることもできることがわかった。
そして、この機構は「ネックストラップ」を通すことも考慮して作られていた。

このようにロックを解除した状態で、ネックストラップを通し……

ネジレ防止用のパーツをくぐらせて……

ストラップの反対側とカチッとはめれば……

この通りしっかりネックストラップを取り付けることができてしまう。

実際に首にかけるとこのような感じ。
パスケースの透明窓は名刺などのカードを全部表示できる大きさではないけれど、デザインによっては社員証などを首から下げるのにも役に立つと思う。

地味にこだわらせていただいたのは、黒以外のパーツを極力混ぜないこと。
この手のリールタイプのパスケースには、半透明のプラスチックパーツやちょっと派手なアクセントのあるリールパーツが使われがちだけど、ミニマルなデザインを徹底させていただいた。

また、長さに関しても、調整をすることができるので体格に合わせてご使用いただければと考えている。

デメリットとしては、ネックストラップの先端パーツを通すとき少し傷がついてしまうところ。
使用していて大きく目立つ部分ではないけれど、ネックストラップをずっと取り付けて使用される方は、ネックストラップを外さずにそのまま使っていただければと思う。

また、接触が発生するのはネジレ防止パーツとの接触なので、ネジレ防止のパーツを外して使っていただくのも一つの選択肢としてご利用いただければと思う。

何の変哲もないものを作りたい

パスケース一つにここまで熱く解説する人は少ないと思うのに、ここまで読んでいただいた皆様にまずは感謝を申し上げます。
今回作ったこのオリジナルのパスケースは、「普通に使えるパスケースがほしい」という自分の想いから形になりました。
普通に売り場に並んでいれば「何の変哲もないこうあるべき形」だと思ってもらえれば一番うれしかったりします。
そして、ぜひパスケースに同じような不満を持っていらっしゃったら、一度この「REEL & CLIP PASS CASE」を試していただければ幸いです!

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