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コロナ禍の報連相

仕事を進める上で、上司から報連相が悪い!と叱られた経験のある人はたくさんいると思います。とかく言う私も、相手が興味がないことを長々と話して、注意されたこと多数。報連相は実はとても難しい問題なのです。

報連相が難しい原因は多々ありますが、一番の理由は「相手が何を知っていて、何を知らないか」そして「相手が何を知るべきで、何を知る必要がないか」がわかっていないためです。つまり報告する前に、これを整理するかしないかで、その後の惨事が起きるか否かが決まります。

これをコンサルっぽく田んぼの田の字で書いてみるとこうなります。

A:相手が知らない    かつ 相手が知るべきコト
B:相手が知らない    かつ 相手が知る必要がないコト
C:相手が知っている   かつ 相手が知るべきコト
D:相手が知っている   かつ 相手が知る必要がないコト

Bを話すと、「ふーん、そうなんだ」
Cを話すと、「まぁ知ってるよ」
Dを話すと、「そんな話して、何の意味あるの?」

という感じになり、で・・・それからどうしたの? という話になります。
つまり、Aを話さなくてはならないのです。

しかし、田んぼの田の字で書くのは簡単ですが、この境界線がどこにあるのかがわかりません。「知ってる」 と 「知らない」 の境目、および 「知るべき」 と 「知る必要がない」の境目がわからないのです。

この境目を知るためには、普段から報告する相手が、何を考えていて何を考えていなさそうかを観察しておかねばなりません。かつて盛んだった飲みニケーションは、それを補完していたといえます。まぁ昔のサラリーマンは毎日とまではいかなくても、上司と飲みニケーションをしていたわけですから、相手が何を考えて、何を考えていないかがわかったのかもしれません。

たとえA(相手が知らない かつ 知るべき)がわかったとしても、報告の仕方として、Aをいきなり話すと嫌われます。まずは、Cあたりから話を軽くして、ふんふん、俺も知ってるよ。的な反応を得た上で、Aに入るとスムーズに話が進みます。

この話は、コンサルタントやビジネスプロデューサーが経営者と話すときも有効です。多数の経営者と会っていると、経営者が何を知っていて何を知らないかが、だんだん勘所がついてきます。そして何を知りたいかまで雰囲気が掴めます。一方、コンサルタントといえども、経営者と話さず現場で作業だけしていると、いつまで経っても経営者が何を考えているかはわからないかもしれません。現場のカウンターパートは何を考えているかがわかっても、経営層についてはわからないままになり、後でプロジェクトが拗れたりします。そのためにも普段のコミュニケーションはとても大事です。

コロナ禍の状況の中では、今後、この「境目」がどんどんわからなくなってくるでしょう。そうなると、もっとジョブを定義して、範囲を明確にして...という感じになるわけですが、それはまるで、異なるコンピュータやソフトを会話させるのに、プログラミングで苦労する話と同じです(結果としてAPIがでてくることになります)。

人間の世界も、在宅となって普段のコミュニケーションが激減し、仕事はネットワーク上で結ばれるようになれば、コンピュータと同様APIを定義しないといけなくなるでしょう。

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