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相談事例と天風哲学(事例17) 22

(自ら決断できない経営者の例-17)
 突然の電話での相談、年齢は40代後半の男性からである。U商工会議所で5回の創業塾を経て、いよいよ卒業の段階になり、来週は各自が自分の思いを発表するとのこと。

 奥さんに聞いてもらいたく、発表会に来てもらうよう話をしたところ大反対された。現在、サラリーマンで娘が大学生とのこと、お金がかかり安定収入を蹴ってまで創業することはないとの反対だったらしい。どう対応したらよいのかの相談内容であった。
 
 創業塾においては、自らの創業に対する想いなどをペーパー化し具体的な計画書として作成していく発表するということは一般的なカルキュラム内容である。その中で設備資金、運転資金などを確定し、その資金を調達、その後事業の中で返済できるかどうかの検討を行い、将来に対する夢とそれを実現化していくための計画作成で自信を抱き独立開業しいていくものである。
 
 創業塾の卒業段階になれば、当然計画書を作成し、夢と自信を抱きながら出発する晴れの門出である。にもかかわらず、奥さんに反対されたからと言って他人に相談するということは・・・、この重要な段階で何を考え、何を迷っているのか理解に苦しむ。
 
 実は同じように多くの経営者が経験を積みながら、設備投資や新商品、あるいは新たな事業進出の場合の意思決定においても右に行くか、それとも左か、迷い悩み相談に来るケースも多々見受けられる。
 事業者自身が経営の重要な意思決定の段階で他人に聞くこと自体が間違っているのではいのか。
 
 ただ、専門家等の意見を聞いて自分の考え方の相違などを検討し参考して、自らの意思を貫く材料とするならば問題はないが、専門家の意見に従うことなどは言語道断である。
 
 この点について天風氏は次のように言っている。「自分でする仕事は自分で決めろ、自分でどうすればよいかわからないなら、しない方が良い」、「自分で考えて考え切れないことはするな。経営において右に行くか、左に行くのか重大な岐路に差しかかたとき、他人に聞いて判断するようならやめてしまえ」と、明快な回答である。
 

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