ファンとプロデューサーの物凄い力

Essential Management School Art, Sports, Entertainment.

今週のInput: オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件https://www.amazon.co.jp/dp/B081C1XYPW/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_CMH7YH1F8AC6DTXSZQRT


自己分析

私の、オタク・ファンとしての自己分析はこうだ。

’79年頃のアニメオタク(松本零士作品・ジブリ以前の宮崎駿作品など)
70年代アメリカのフュージョン音楽オタク
バンドのファン:YMO・ゴダイゴ・TOTO・EW&F
ドラッカースクール推し (ドラッカー推しではない)
・・・時間がある時で止まっているが、コミットメントのエネルギーが半端ないことに気づく。

さらに、このオタク・ファン対象に対しての自分の行動を分析してみる

・ボランディア広報活動をする
・本やビデオやレコード等、持っているのに再発版が出るとまた買ってしまう。
・専門誌を隅々まで読んで幸せになる。
・グッズがあるとあるだけ買ってしまう。

ココに割いているエネルギー・時間・コスト。人数が集まれば、立派な経済圏を形成しうる。クリエイターーファンのWIN-WIN経済圏なるものが自分とも関係があることに気づいた。

クリエイターーファンのWIN-WIN経済圏の住人のファンたちはマズローの欲求5段階をかけのぼって突き抜け、第6段階までたどり着く

クリエイターーファンのWIN-WIN経済圏のファン側の人々は、マズローの欲求5段階説のどこにいるのだろうか?

マズローの第1、第2段階:まず、第1段階の生理的欲求や第2段階の安全の欲求が担保されていない状況では、自らが生きることだけで精一杯でオタクやファンどころではないはずだ。もし、そのような状況でオタクやファンをやっていると、生きることをそっちのけで、どこか犠牲が発生して廃人的な生活となるので、WIN-WIN経済圏にはおそらく参加できないことだろう。
オタク≒変人・犯罪者の可能性というイメージの元になった人たちは、この段階にあった犠牲を伴った人たちだったのかもしれない。

マズローの第3段階:集団に属して安心感を得たい、好きなものの仲間が欲しいという人たちがいる。結構マジョリティーななずだ。この人たちは、第3段階の社会的欲求段階だといえる。ここがファン・オタクの入り口だ。この段階はまだ、単なる消費者だ。

マズローの第4段階:SNSで「いいね!」がほしいというのは、第4段階の承認欲求段階だろう。ここで発信が始まるが、情報の大海の中での影響力はほぼない。

マズローの第5段階:ファンやオタクであることによって、自分にしかできないことを成し遂げたい・自分らしく生きていたいという人たちもいる。これは第5段階の自己実現欲求だろう。このあたりになると経済圏を形成する影響力もでてくる可能性がある。

マズローの第6段階:そして、もはや自分が楽しむのではなく、推しとそのファンを楽しませるような働きかけを行うという人たちが台頭してきた。これは、第6の段階:自己超越だろう。これはクラシックな欲求5段階説を超えている。

クリエイターーファンのWIN-WIN経済圏のファン側の人々は、マズローの欲求5段階説の第3段階から入り、推しに出会って活動を始める人は、もはや第6段階にいると言えそうだ。

クリエイターーファンのWIN-WIN経済圏のファン側の人々は、高い欲求段階にある、ゆとりのある高度文明の中に生きる人たちだということがわかる。この人たちの持っているエネルギーは大きいはずだ。何かに活かせたらと思う。

オタク・マニアは、なぜ早口になるのか?

自分は、時々、ろれつが回らなくなって、どもることがある。

なぜかなぁと吃音や話し方のセラピーなどを調べたこともあった。
でもよく考えてみると、ろれつが回らなくなって、どもるのは、マニアックな話をしている時だ。きっと早口になっているのだ!そして、頭の回転に発音する器官が追いついていないのだろう。
気になって、オタクの早口と、脳血流量の相関についての研究をネットで調べてみたが、今のところ、それに真正面から向かった研究は見つかっていない。(あれば教えてください)
なのでここでは「自分のオタク領域の話をする時に人は、脳の活性が高くなり、結果思考が高速回転して、発音するための声帯・舌口の周りの筋肉などの運動のスピードがそれに追いつかない」という仮説を置いておきたい。

とにかく、頭の中でなにやらすごいことが起こっている可能性が高い。 この頭の中のすごい状態を何かに活かせないだろうか。

クリエイターの抱える課題とソリューションとしてのWIN-WIN経済圏

2020年に売れた本の上位22位までが鬼滅の刃。
映画・コミックス・書籍・音楽・動画配信:全部鬼滅だった。

デジタル化によって、売れているものの一極集中化が進んでいる。デジタルによる視野狭窄の加速だ。大ヒットはより大ヒットする。一方で、たとえ良いものでも、気づかれない・選ばれない。徹底的な不平等が起こっている。圧倒的に不平等かつ、一つが圧倒的であることに危惧を覚えた。
音楽は発売されたものの95%が売れていない。出しても10枚しか売れないCDも多いという。

このままでは、売れないミュージシャンや漫画家が努力して、いつか売れるようになるという美しい話は現実には起こらないことになる。

多様な素晴らしいものがもっと知られて、喜ばれて、多くのクリエイターがクリエイションを続けられるような社会であってほしい。

ここに、ファンの力が活かせる。

SNSなどで、思いっきりエッジの立った「推し」「ファン」「マニア」の発信をして、ファンとしての力をアートの多様性の支えに活かすのだ。FB, Twitter, ClubHouse, Instagram...場はたくさんある。

鍵になるのが、「肯定ファースト」の風土。こんな「推し」「ファン」「マニア」であることをカミングアウトしても大丈夫、むしろそれで「カリスマファン」になるくらいになればと思う。


クリエイティブは日本を支える重要な輸出産品ーアニメを例にー

高度で複雑な総合芸術であるアニメは日本の輸出産品の優等生:ブロックバスターを作れる国・地域・人々は限られている。世界に200くらい国があるが、新薬を創出できる国・飛行機を開発できる国・宇宙開発ができる国はごく一部に限られる。意外にも、アニメやサブカルチャーを(輸出できるレベルで)創出できる国も限られていて、日本とアメリカの2カ国しかない。例えば医薬は、国内市場がシュリンクする中で、海外売り上げが支えているかどうかが鍵になっているが、日本のアニメも同じだ。特に、動画配信のアニメは、船や航空機に積まなくてよい、貿易コストが極少の輸出産業の優等生だ。日本は最近まで観光立国を目指したが、COVIDー19ひとつで崩れる脆いものだった。アニメに対する期待に拍車がかかる。

日本のアニメにみる競争優位性の源泉:アニメは完全な空想を立体的に描くことができる高度で複雑系の総合芸術だ。独創的な世界観・ストーリー。それを表現する技巧。こういったものは一朝一夕にはできない。

敗戦で自己文明に自信を失った日本人がマンガでこの総合芸術の土台を作り続け、マンガで表現しきれないものをアニメーションの技巧で表現することおおよそ80年。

そして、ここにはアーテスト・クリエイターだけではできない仕組みがあった。プロデューサーのサイエンスとの関係を通じた作品の創出プロセスだ。

プロデューサーは売れるサイエンスを持って売れるようにする
クリエイターは結構、滅茶苦茶なのでユーザーとWIN ~WINができない。経済圏を作れない。

プロデュースがサイエンスをもって広げる設計をしていくことが必要だ。
ジブリも、鬼滅も、君の名は もそうだ。
アニメ以外でもホンダもそうだ、ソニーもそうだ。海外ではアップルもそうだ。

私のプロデュース→推し体験

画期的ながら売れ行きの芳しくない乳酸菌食品があった。その研究者は天才。世界でただ一つの乳酸菌を見つけて、その研究パートナーを医学部に絞って高いインパクトファクターの論文をいくつも出していた。

ただそれを売る側が、お酒と清涼飲料と乳製品しか売ったことがなく、医学部との研究成果を用いて世の中に出していく効果的な術を知らなかった。

医薬品の製品戦略の経験があった私は、この食品と研究、そして研究者をプロデュースすることになった。それはちょうど、アニメのクリエイターとプロデューサーの関係のようだった。

私(だけではないです、実際は)のプロデュースによって、この乳酸菌食品は、感染症学会などで賞賛されるようになった。政府に働きかけ、日本で初めての「免疫」という表示がされた機能性表示食品となった。パンデミックも手伝って、爆発的に売り上げが伸びた。画期的であることが世の中に伝わった結果だった。

私はこの役職を1年以上前に解かれている。でもなお、研究者から相談を受ける。専門医から問い合わせが入る。仕事としてプロデュースから始めたが、もはや仕事ではない。この乳酸菌食品は、今、私の「推し」だ。
「推し」というのは、自発的にプロデューサーになることというのに近いのではないか。

戦略提案

日本には、とてもユニークな新たな作品を作り出すアーティスト、クリエーターが大勢いる。優秀なプロデューサーも大勢いる。ユニークな新作がどんどん出せる。

強みの源泉は創出力だ。そして、それはアーティストの純粋な創作力のアートの部分と、それを世に届けることができるサイエンスを持ったプロデューサーの力の両方からなる。

そして、プロデュース的なアプローチにシフトする「推し」をもつファンの増加。これは経済圏ともいえるが生態系ともいえる。この生態系そのものに価値がある。そして、生態系は簡単には模倣できない。ブルーオーシャンが続くと思われる。

これこそが日本経済の柱として活かすべきものなのだ。

仕事としてプロデューサーがサイエンスで世に出すことに成功すると、無数のコミットメントの高いファンがオタクになり、マニアになり、推しとして盛り上げてくれる。有形・無形の投資がファンによって行われる生態系は丸ごと価値がある。そして、この投資は、その源泉となるアーティスト、クリエイターがさらなる独創的な創造をできるように循環してアーティスト、クリエイターに有形・無形に還元されていくことが重要だ。プロデューサーと、マズロー第6段階にあるファンの「推し」を動力として、アーティスト・クリエイターの創造の価値を増幅する。

人の往来が難しくなった今日。この生態系は今日と明日の文明を支える重要な柱だといえる。アニメを筆頭に、日本の強みである現代クリエイティブをプロデュースして輸出の主役とするのがとるべき道だと考える。これにどう関わっていくか。自分のオタク・ファンの部分をどう強みとして活かせるか、考え始めた。



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