全部梅雨のせいにして

季節のせいにしたい。情緒の乱れも、美味しいと思えないご飯も、クソつまんないやりとりも、不意に連絡を取っちゃうあの人のも、どうでもいいことをどうでもいいと言えない空気感も、全部わたしとあなた以外の責任にしたい。

責任を引き受ける梅雨も大変なもんだ。

洗濯物が乾かないと思えば、翌日にはカラッと晴れたりしやがる。俺様以上に不安定なやつめ。

元来、季節のせいにして寂しさを受け入れてきた。虚無感で死ぬほどバイトしたのが去年、誰かのせいにして全てを投げ合ったのが一昨年、自己嫌悪と破滅の素質を呼び起こしたのが2年前だ。

梅雨の時期が愛おしい。天気さえも弱いふりしているみたいだ。思えば、北海道には梅雨はなかった。梅雨前線は北上してこない。東京に出てから、ジメジメとした長い期間に対して、悲しさとか想いやれなさを感じるようになった。

誰かの救いなんてなりたくない。誰も救わなくていいから、誰も私を救わないで欲しい。傘はささずに、このまま雨に流れていけばよいに。つらさも、眠れなさも、会いたさも、よわさも、あなたも、わたしも全部。流せるほど丁度良い雨は次いつ降るのだろう。

本当は、天気に押し付けるほどの、感情も無いけど、そういうフリばっかしたい季節だ。

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