引用・所感 〜デザインのめざめ〜

題名:デザインのめざめ
著者:原研哉
出版:河出書房新社

デザインに目覚めるとは、自分の意識とは裏腹に、そこに在るモノ・コトの細部(川上から川下まで、その途中の製作者の想い)に自ずと直感的に気づくことかと。

著者のエッセイを集約した本書では、何気ないモノ・コト(マカロニ/マヨネーズの穴、新幹線、ラーメンどんぶり、ファッション等)がウィットに富んだオチをつけて展開される。

この著者の視点には、ハッとした気づきを得る。
相手は隠れておらずこちらを見ているのに、こちらは見ていない。
ただ、そこに意識を向けた途端、そこにしか目がいかない。
日常が、無意識的で不認知の生活状態、と大いに気づく。

〜以下、引用と所感〜

●こん棒とうつわ。世界を加工し変容させていく道具と、何かを保存し蓄えるための道具。人間が長い歴史の中で創造し進化させてきた道具はこの二つの系統に集約できる。P.26
●たぶんトイレというものは「処理」ではなく行為を豊かにする装置になるはずだ。P.79
●考えるに、デザインはある一面ではマヨネーズの穴のようなものだ。生産という遠大な営みの最後の最後の局面で人類のささやかな幸福のためにひと工夫する。P.87
●つまりこれはアルパカのセーターではなく、セーターになった「あいつ」なのであった。P.111

意識的にor無意識的に行うコトこそ、その人独自の想いが詰まっていて、結果という完成形だけがデザインではない、と(勝手に?)読み取った。

何事も大変な思いをして行動する途中で、少なからず自問自答するはず。(なんでこんなことやっているんだろう、と)
その思いのベースや底辺に表れる意図や原動力こそ強い独自性が溢れる。
デザインはそのプロセスを突き詰める作業かと思う。

●気持ちのいいテーブルを供するためには常にこれを最良の白さに保って置かなくてはならない。P.97

白くするプロセスの手間が分かっているからこそ、白くするプロセスが価値を定義付け、ホスピタリティと言うメッセージの媒体となっている。

サービスを受け取る側が目に見えないプロセスこそ、完成度という点で、神は細部に宿る、ということを言うのかもしれない。

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