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ITニュースWEB 23/03/24

インターネットで飛び交う、今週1週間のIT・科学・経済のニュースを 独自の視点で振り返る「ITニュースWEB」は、、、

ついに国産量子コンピュータ初号機が始動、計算速度は最高スパコンの10万倍!?

理化学研究所が中心となって開発を進めてきた国産初の量子コンピュータの運用が3月27日から開始するという話題が飛び込んできました。

国産量子コンピューター初号機、27日に利用開始(03/24)
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230324-OYT1T50084/

コンピュータには「ノイマン型コンピュータ」と「非ノイマン型コンピュータ」があるのをご存知でしょうか。

ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの違いを知る!
https://itmanabi.com/neuman-type-computer/

我々が日常で使っているパソコンやスパコン「富岳」などは、「ノイマン型コンピュータ」といって「与えられた命令やデータを一つずつ順に実行する」コンピュータです。簡単に言えば、ひとつの命令やデータの操作が終わらないと次の操作ができない構造になっているものです。これに対して「非ノイマン型コンピュータ」は同時に複数のデータや命令を操作することができるもの。人間の頭脳はまさに「非ノイマン型コンピュータ」ですよね。ここに類するものが「量子コンピュータ」になります。

量子コンピュータとは
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20220518.html

つまり量子コンピュータはこれまで順番に計算していた操作を量子の性質を利用することで同時に一度に大量の命令を実行させることができる構造になっています。なので、計算させる内容にもよるのですが、これまでのスパコンの数万倍の速度で処理することができるということで世界各国で実現を目指してきました。日本では理研のほか富士通と大阪大学も研究開発を進めてきました。

計算速度スパコンの10万倍、量子計算機実用化へ新技術(03/23)
https://dempa-digital.com/article/416775

因みに量子コンピュータの構造を一般のノイマン型コンピュータでシミュレーションした装置は世界中に実現し始めているのですが、本当に量子を使った量子コンピュータを実現させるためにはいわゆる「量子の二重性」(同時に複数の処理ができる)を実現させる必要があり、そのためには絶対零度にするなど特殊な環境が必要になるため実現性に乏しいものでした。なので現在でもカナダのD-WAVE社やIBMなど数える程度の海外の場所でしか実現されていません。そんな中ついに日本でも理研が完全なる形で国産初の量子コンピュータを実現させ、これからサービスを始めることになったというわけです。

100GHz100コアの「スーパー量子コンピュータ」実現へ(03/06)
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2303/06/news174.html

今回のサービスではクラウドを通じて大学や研究機関の利用が可能になるということです。またこれまで量子ビット素子の組み合わせで加速させてきた処理速度に、光通信技術を光量子コンピュータに応用することで43GHzのリアルタイム量子信号の測定に成功し世界最速を実現させたということで、ここからこれまであり得なかった100GHz/100コアのスーパー量子コンピュータ実現も視野に入ってきたということで、日本が世界に先駆けて量子コンピュータ分野でも抜きに出る可能性が出てきたというわけです。

そんな中来週28日(火)にはテレビでもわかりやすい「量子コンピュータ」の世界を紹介してくれそうな番組が放送されるようです。

「カズレーザーと学ぶ〜超難解な「量子コンピューター」を大解説!」
https://www.ntv.co.jp/kazu/articles/3115xd0hegvai4y98hck.html

これは楽しみです。chatGPTでAIに親しむことができるようになったいま、量子コンピュータにも興味を持っておくのも良いのではないでしょうか。


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