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春高2023決勝振り返り

人生で1度はやって見たいことの1つだった、春高決勝生観戦。これ、何回でもやりたいやつでしたね。せっかく東京にいるからと観に行ったけれど、最高の時間でした。それの振り返りと感想を長々と。

去年の年明け、とにかく暇で、人生で初めて春高を予選からネットで見ていたけれど、そこでこんなに面白いんだ!と、どハマり。その中でも夢中になったのが鎮西高校の舛本選手。

元々、熊本出身なので、熊本代表の鎮西高校の成績はずっとチェックしてたんですよ。毎年、全国レベルの選手を生み出すし、それこそ最近でいうと全日本の宮浦選手は高校の時からよく名前聞いてたし。熊本でバレーをやってた人間からすれば鎮西高校は絶対届かない雲の上の存在で、負けることすら想像できない。だから、憧れもあって応援してしまう。

プレースタイルはとにかくシンプル。変なコンビはやらずに各ポジションの王道を極めるバレー。これだけバレーが進化をしていく中で、ある種時代に逆行する、エースに全てを託すバレー。ハイキューを読んでる方、白鳥沢高校をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。白鳥沢高校のスタイルは確実に鎮西高校がモデルだと確信してるので。監督似てるし。

そんな鎮西高校は去年、決勝で2-0であと1セットというところから逆転負けをしてしまい、準優勝。その試合の中心にいたのが舛本選手で、1人で50得点以上を挙げていた。しかも当時高校2年生。これ、来年度どうなるんだと見ている誰もが思っていた。

それから1年が経った今年。舛本選手は世代No. 1プレイヤーと称され、鎮西高校は当然の如く優勝候補として扱われていた。しかし、トーナメントは、どこが勝ってもおかしくない、強豪校まみれのブロックに位置づけられていた。

加えて、舛本選手は膝を悪くしていた。聞くと、1週間前に復帰したばかり。これは苦しいのでは、無理しない方がいいのではと、良くも悪くも注目されていた。

シード権により初戦となった2回戦。1セット目松本国際に8-17と9点差をつけられるも、粘って追いつきまさかの逆転。そのままストレート勝利。全国大会レベルの試合で9点差をひっくり返すのはかなりの至難の技だけれども、舛本選手が徐々に調子を上げて、それを達成してしまった。

続く翌日、地獄の1日と呼ばれる3回戦と準々決勝が同時に行われる日。3回戦の東北戦。今大会のベストバウトと呼ばれるくらいの大熱戦。フルセットで迎えた試合終盤、24-22で鎮西がマッチポイントを仕掛けるも、エースの舛本がブロックされ24-23に。タイム明け、東北のエース安食がスパイクを決め同点の24-24。焦る鎮西が確実に決めに舛本に託すがまさかのそれもブロックで東北が逆転し、24-25のマッチポイントを逆に仕掛ける。もう、どう見ても東北の勝つ流れ。でも、そこで踏ん張り、逆転し、準々決勝進出。

フルセットで体力を消耗した中迎えた、準々決勝福井工大福井戦。1セット目、21-24でセットポイントを仕掛けられるも驚異の粘りで逆転し、1セット目を取る。2セット目取られてフルセット突入するも、最終セットを確実にものにして、ベスト4進出。

前日に計6セットを戦い抜いた体力が心配される中立ちはだかったのは京都の名門、東山高校。去年、全日本に選ばれた207cmのミドル麻野選手もいる。事実上の決勝と呼ばれるほどの組み合わせ。勝負は最終セットまでもつれ込んだ。そして、最終セットで舛本がギアを1つ上げ、誰も止められないほどの活躍。サービスエースまで飛び出し、勢いそのまま決勝進出を決めた。

初戦以外全てフルセットという体力が削られまくる展開。強豪ぞろいのトーナメントが示していたように、全てがベストバウトと呼ばれるほどの熱戦を繰り返してきた。大注目を浴びていた。

そんな中迎えた決勝。駿台戦。去年のリベンジがかかる中、1.2セット目を連取する去年と同じ流れ。しかし、3セット目を取られてしまい、4セット目も序盤から突き放されてしまう。そこでチームに明らかな変化が出た。舛本中心に組み立てていた攻撃が、舛本に一切トスが上がらなくなる。誰もが、フルセットになることを見越して、体力を温存することにしたんだと察する。そして、4試合連続となるフルセットで迎えた最終セット。全てのトスが舛本に上がり続けた。もう、相手も分かって3枚ブロックにつく。それでも、ものともせずに打ち抜く。しかし、3セット目から光りまくっていた駿台の圧倒的な守備力と、的を絞らせないコンビバレーがハマり、駿台の優勝となった。去年のリベンジは果たせなかった。

最終セット、正直無慈悲だと感じた。舛本対駿台と揶揄されてもおかしくないほど、舛本にしかトスが集まらない。鎮西は、全員が舛本に託していた。スパイカーにとって、こんなに苦しい状況はない。けれど、エースとして、どんなに3枚揃えられようとも決め続けていた。膝の不調がどのくらいか分からないけれど、言われなければ分からないほど、動き回っていた。スパイクだけじゃなく、ブロックも、守備も、サーブも、全てのプレーがチームに貢献しづけていた。これが世代No. 1プレイヤーと呼ばれるのかと感心させられっぱなしだった。

そして、なにより驚くのがその身長。あまり触れられていなかったけれど、182cmという、全国で戦うには物足りない身長。自分も、同じ身長でバレーをやってたから分かるけど、日常では当然高身長だけれど、バレーの会場において、182cmは決して恵まれた体格ではない。そんな身長で、ブロックの上から打ち抜きまくる。こんなことあるのかと。その身長で戦えるのかと。本当に感動した。

データが取られることが当たり前となった現代バレーで、こんなにシンプルな形で勝ち続けることはすごいなんて意見も見かけたし、もっと攻撃を増やせば優勝できたと言う人もいた。でも、生で見た感想はそうではなかった。点を取るのに、相手の虚をつく必要なんてない。読まれててもいい。バレていてもいい。分かっていても止められない。これが最強だと。読めなかったから決められる得点は、読めた時点で止められる可能性が生まれる。でも、分かっていても止められない攻撃はどうしようも無い。唯一の対抗策は、忠実に守備をすることなのだろう。

鎮西の攻撃はシンプルでとにかく基本に忠実に。それを磨いて絶対的なエースを毎年生み出している。それを止めるには、やはり忠実なレシーブしかないのではないか。駿台はそれができたから勝機を見出せた。試合を見ながらそう感じた。舛本の4連続バックアタックを必死に上げ続けた駿台。あの瞬間、上げる方も打つ方も拾う方も、全員どうかしてると思ってしまうほど、全員がすごかった。

鎮西は、監督が変わらない限り、方針やスタイルは変わらないだろうし、不謹慎な表現にもなるけど、多分あの監督は生きてる限り、監督で居続ける。俺が高校の頃からずっと辞める辞める詐欺をしている。でも、毎年、少ない部員で全国レベルのチームを作り出す手腕はただベテランってだけじゃないんだろうなと思う。

今日生で観て、バレーボールの魅力を再確認できた。ハイキュー→全日本男子の流れで簡単に男子バレーの沼にハマれるから、みんなハイキュー読んでほしいし、全日本の男子のプレーを見てほしい。そういえば、会場で見かけたけど、今年は、オリンピックの最終予選が東京で行われるらしいですね!!!何がなんでも生で観ることを決めているし、テレビでの生中継もあるのでみんなで応援しましょう。

バレーボールは世界一面白いスポーツだ。

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