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公立学校職員が見た 学校内部の実情

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うつが教えてくれたこと2

返事が及ぼす影響皆さんは,話したい相手に呼び掛けた時,どんな状況を想像しますか? 「はい」「どうしましたか?」「ん~?」「あいよー」など,返事をされてからその先のやり取りが始まるのではないでしょうか。勿論標準語だけでなく,ここに方言なども加わればそのバリエーションは相当数に上るものと思われます。 ここで,もう一つ状況を想像してみてください。 話したい相手に呼び掛けた時,全く返事が無かったらどう感じますか? あなた『~さん,今お時間よろしいですか?』 相手「………」 あなた

うつが教えてくれたこと1

noteの更新を再開させていただきます。 ここまで,うつのサイン,うつの対処法についてお届けして参りました。 本日から,「うつが教えてくれたこと」と題し,私が罹患した後に気が付いた事,発見した事を綴らせていただきます。 休む事は誰もが行使できる権利仕事を休むと,他の誰かに迷惑が掛かるから休めない。そんな風に考えた経験はありませんか。 自分が担当している業務の真っ只中,休む事に後ろめたさを覚えてしまった結果,私は倒れました。 何故このような思い込みが芽生えてしまったのか,少し

現代教育のスタンダードを変えよう

学校教育の現場に立つ者として,旧態依然とした「トーク&チョーク型」の授業形態には常に疑問を投げかけていました。 これだけネットワーク技術の発展した現代において,何故過去の正義が絶対だと言わんばかりに,アナログ形式に拘るのか。 チョークの色遣いを気にしなさい,文字の大きさや丁寧さを気にしなさい,生徒の身体的特徴に配慮して教室環境は整えなさい… 全教室にプロジェクターとスクリーンとネットワーク環境が整備されさえすれば,そんな事は全部綺麗に解決するのに。 一部情報系のコース・学

当事者が語るうつの対処法7

何も出来ない状態を悪い事と思わない発症当初の私を最も苦しめた感覚がこれでした。 職場を離れた事で同僚に負担を広げてしまった,仕事をしていない事で家族に悪影響を及ぼしてしまうのではないか,体を動かす事すら出来ず妻の心に負担を掛けてしまうのではないか…毎日そんな事ばかり考え,罪悪感に苛まれ続けていました。 しかし,そんな感覚は見事に去年の大型台風に屋根瓦と外壁と一緒に吹き飛ばされ,『病気なんだから仕方ない』と思えるようになりました。 インフルエンザに罹った時,身体がボロボロな

当事者が語るうつのサイン9

動きの鈍化比較的気付きやすいかもしれないが,脳内の信号伝達速度が何かしらの異常を示しているのだろうか,全体的に動きが遅くなり始める。 私が最もキツかった時の生活は☟の通りだ。 ・起床☞ベッドから起き上がるのに5分は掛かる。 ・食事☞味が感じられないため,ゆっくりになってしまう。 ・駐車場到着☞玄関までの距離が永遠に感じるほど足が動かない。 ・階段の上り下り☞1段1段に両足を着かないと歩けない。怪我をしているような感覚。 ・授業☞大好きな時間なので元の状態に戻る。 ・授業終了

当事者が語るうつのサイン7

物忘れの頻度が上がる自分でも本当に怖かったのがこれだ。 モノを携帯しながら歩き,何かの拍子に普段置かない場所にそれを置くと,まず間違い無くそのまま忘れ,自席に戻った時に気が付く。 これは健康な方でも時々起こることだとは思うが,その確率が100%になった状態を想像してみて欲しい。 自分が探し物を持ち歩いていた経路を虱潰しに歩き直し,見つかるまで自席に戻れないという,業務に支障をきたす時間が圧倒的に増加するのだ。 酷い時には家の鍵と車の鍵が付いたキーケースを置いた場所が分からなく

当事者が語るうつのサイン6

伝えるべきことを伝えたか不安になり何度も確認するあなたの周囲に,言われたことを何度も何度も伝えたり,確認しに来る人はいないだろうか。 そしてその人に対し,「何回同じこと言ってるんだ!(言わせるんだ!)」とイラついていないだろうか。 この関係性は非常に危険度が高まっているサインだ。 何度も同じことを言うのは,脳の処理が追い付いていない証拠であり,平素の会話やミスをした時などに高圧的な言い方をされ続けているが故,自尊心がほぼ無くなってしまっている。 そしてミスを極端に怖がるよ

当事者が語るうつのサイン5

相手の問いかけに対する反応が遅くなる昨日の内容に重複するかも知れないが,パッと振られた話に即座に対応することが難しくなる。 これは勿論言葉が出なくなることにも関係があるのだが,何よりも自分にエネルギーが不足しているため,会話をすること自体に緊張感が生まれてしまうのだ。 私の場合は,呼び掛けても返事をされなかったり,常に高圧的な話され方をされたりということが日常的にあったため,自分が話し掛けてはいけないのではないかという感覚がものすごく強くなってしまったということも影響してい

当事者が語るうつのサイン4

今回から数日に渡ってお送りする内容は,もしかしたら時間が経たなければ分からないかも知れない。 勿論すべて私の例だが,おそらくどなたにも当てはまると考えていただいて間違い無いと思っている。 言葉が咄嗟に出なくなる喜怒哀楽が無くなり始めた時期,この現象が同時に現れた。 中高年の方が「あの~アレだよアレ!アレのことだよ!」と勢いで通そうとする場面を笑いながら展開することがあるが,これが日常的に起き始める。 職場にいた頃,私の元気が無くなり始めた時期に会話をした方々は,おそらく口

当事者が語るうつのサイン3

常に疲れている前回の記事と重複する部分もあるかも知れないが,日々の生活に力が入らなくなってくる。 朝の挨拶,平素の会話,退勤の挨拶の声がとにかく小さくなり,自分ではどうしようもない。 何とか頑張って声量を大きくしようとすると,空元気で空回りしているように感じてしまう。 ただ私の場合幸いだったのは,生徒も授業も大好きで,授業中など生徒と接している時には普段の自分に戻れたことだ。 しかし授業が終わって職員室に戻ると,また力の抜けた状態に逆戻りしてしまっていた。 会社勤めの方の

当事者が語るうつのサイン2

言葉に混じる吐息これは実際の音声を聴かなければ想像が付きにくいと思うので,僭越ながら録音した私の肉声で確認していただきたい。 この寄稿とは別に,音声の単体ファイルを投稿した。 (お聴きいただいた前提で) 何となくお分かりいただけただろうか。常に溜息が混じっているかのような,完全に疲れ切っている声色である。 聞きようによっては別の解釈も出来そうだが,調子に乗り過ぎるとクレームを頂戴しそうなので脱線は堪えることにしよう。 まず間違い無く会話相手から心配されると思われたかもしれ

当事者が語るうつのサイン2用音声(単体試聴NG笑)

テキスト記事の補填用音声です。 単体で聴くとただのホラーです笑 まず記事をお読みいただいてからお聴きください。

当事者が語るうつのサイン1

『サインを見逃さないようにしましょう』 初任者の時代から幾度と無く耳にした言葉だ。 生徒の表情,仕草,服装の乱れ・汚れ,授業中の様子… 何か良くないことが起きている生徒は必ずサインを出す,それをすぐに察知して声を掛けられるようになろう,という意識が,教員には必須である。 この意識は,もしかしたら職場の仲間を救うことになるかもしれないというお話しを,私の実体験をもとにシリーズでお届けする。 机の乱れうつを発症するまでの私は,自他共に認める几帳面な性格だった。 本棚の本はサイ

休職中の今 思うこと

昨夜アップした記事に,これまで存じ上げなかった方からも多くのスキをいただきました。お読みくださった皆様,本当にありがとうございます。 今後は堂々と,鬱病の実情や,療養休暇や休職を通じて自分が気付いたことを発信させていただきます。 では,いつもの文語に戻ります(笑) 晴れた霧私の今の雇用状態は,『学校に籍はあるが,業務が発生しないため,給与が前年度比2割減額されている』というものである。 この点は本当に公務員の恵まれているところだと実感した。 休養を余儀なくされているとはいえ