オダギリジョーが私に憑依した日
スマホを持ち始めてから、毎日無数の写真を撮るようになった。
別に何枚撮ろうが私のスマホは重くならない。
二時間くらい過ごした美術館の看板、彫刻みたいに盛られたケーキ、電車の車窓から見える絵みたいな夕空、青信号で交錯するたくさんの人。
心のさざ波がちょっとでもざわついたときに、スマホのボタンを押す。カシャという音と音が生む微振動で、写真を撮っている。
久々の友人との食事。駅前の別れ際。
異国の海辺。ビキニではしゃぐセルフィー。
スマホの写真アルバムを、ひたすらスクロールしてい